4/08、DDP4、排泄経路

今日は、糖尿病治療薬のDPP-4阻害剤の使い分けについて教わった。
例えばPDP-4阻害剤であるジャヌビアは腎排泄型であり尿中未変化体排泄率が約80〜90%であるのに対し、トラゼンタは肝代謝型でCYP3A4による代謝を受けるため、尿中未変化体排泄率が約0.6%である。すなわちジャヌビアは患者さんの腎機能に影響を受けるため、常用量は50mg(効果不十分で100mg)、30≦Ccr<50では25mg、Ccr<30では12.5mg、と腎機能によって用量調整が必要である。トラゼンタは腎機能に影響を受けないため、患者さんの腎臓の状態によらず1日1回5mg投与となっている。
患者: トラディアンスBPの処方。この患者さんはR5.1.31にエクメットLDが処方されたが、その後入院し、退院時(R5.3.16)にエクメットLDがトラゼンタ/メトグルコ/シュアポストに変更になった。同年4月に、ラシックスとトラゼンタが中止になり、トラディアンスAPが追加され、R6.4.4、AP→BPに変更された。腎機能を見てみると、eGFRの数値が退院時で45.3、R6.4.4には54.6と慢性的に低く、CKDの可能性が考えられる。エクメットはジャヌビア同様、腎排泄型のDPP−4阻害薬であるため、入院時に腎機能が悪いことを指摘され、トラゼンタに変更になったと推察される。その後、糖尿病治療薬としてはループ利尿薬とDPP−4阻害薬の組み合わせが、SGLT2阻害薬とDPP−4阻害薬の合剤になり、合剤中のSGLT2阻害薬の含有量が増加していることから効果不十分であったと考えられる。しかしトラゼンタは開始から合剤になっても5mgで変わりなく、実際に腎機能が良くない患者さんでも用量調整不要であることが分かる。
DPP−4阻害薬の使い分けには、効力や効き方など医師の判断材料は様々であるが、代謝経路もその1つである。特に高齢者では腎機能が低下している場合が多いため、代謝排泄経路に関する知識は投薬するうえで欠かせないと感じた。