4/27 マクロライド 長期投与

今日こられた患者さんでマクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンが通常の半分量で長期間に渡り投与されている方がいた。抗生物質は耐性菌の出現を抑えるために通常は長くても2週間程度の処方しかしない、しかし今日の患者ではそれ以上の長期間投与されていたため、その理由について学んだ。
マクロライド系の長期投与はびまん性汎細気管支炎(DPB)や慢性副鼻腔炎に対しての効果が示されているだけでなく、気管支喘息やCOPDに対しても効果を示す可能性があることが分かっており、様々な呼吸器疾患の治療に使用される。
このような効果はマクロライド系の殺菌作用以外の作用により示されていると考えられている。なぜなら、治療成績が除菌効果と無関係であること、マクロライド耐性菌である緑膿菌感染例でも有効であること、血中濃度がMICより低くても効果を示すことから、除菌作用以外の機序によるものと考えられている。現在では、気道上皮細胞からのムチンタンパク質の分泌抑制などの気道分泌抑制作用、好中球遊走能や活性酸素種産出抑制などの好中球機能抑制作用、細菌タンパク質合成抑制などの細菌機能に対する作用、により効果を示していると考えられている。
このように抗生物質だから長期はだめと短絡的に考えるのではなく、患者にとり有用であると考えられる場合は長期に渡り投与する可能性があることを知っている必要があることを学んだ。