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便秘でお悩みのあなたに~薬剤師が本音でオススメする市販薬⑯

薬の専門家である薬剤師におススメの市販薬をセレクトしてもらうこのコーナー。
今回のテーマは「便秘」です。
便秘でお悩みの方も多いのではないでしょうか。内科学的には3日間排便がない状態を指すようです。便が出なくてお腹が張って苦しいだけでなく、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛などの辛い症状になったり、さらに重い症状になったりと、なかなか侮れません。
便秘に効く市販薬は比較的、種類豊富に販売されています。

今回も5名の薬剤師さんにおすすめの便秘薬をお聞きしました。
アドバイスしてくれる薬剤師はこちらの皆さんです。
(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順)

オイルデル(小林製薬)

便が固くて出にくいと困っている方におすすめ。
麻子仁という生薬が主成分で、便の周りを油の膜でつつみ、ツルンと出しやすくするイメージ。
漢方の成分ではあるがカプセル剤なので、漢方の粉のにおいが苦手という方でも飲みやすい。PTPシートなので持ち運びにも便利。
1回2回、1回3~4カプセルを服用するが、はじめは3カプセルから様子を見るほうが良い。
空腹時に飲む方が効果が出やすい。
(日陰ましう)

ウィズワン坐剤(ゼリア新薬工業)

医療用の新レシカルボン坐剤が市販化されたもの。高齢者や妊産婦でも使え、習慣性が無い点がオススメ。微細な球の状態で発生した炭酸ガスが直腸に働きかけ、おだやかなお通じを促します。坐剤を肛門から挿入した後、およそ10~30分で効果を発揮。
(ゆきつばめ)

ワカ末漢方便秘薬錠(クラシエ薬品)

https://www.kracie.co.jp/products/ph/1202051_2220.html

腹部膨満感が強い便秘に用いる漢方薬である、調胃承気湯を錠剤化した製品。腸管の蠕動運動を促す大黄や便を柔らかくする芒硝を含み、甘草が腸刺激による痛みを緩和する処方。構成生薬が少ないことから効果発現も早く、少ない服用回数で効果が期待できる
(ふらんすぴあの)

ピコラックス(佐藤製薬)

腸を動かすことで排便を促しますが、お腹が痛くなりにくいのが特徴です。100錠入りで1603円、病院で処方される薬と同じ成分・用量ですが、便秘の程度にあわせて服用する錠数が調節可能です。
作用が出現するまでに8時間前後かかりますので、就寝前に服用するのがおすすめです。
(小豆田くら子)

イチジク浣腸(イチジク製薬)

浣腸液(グリセリン50%)という薬剤を肛門から注入して肛門に溜まっている硬い便を柔らかくして排出しやすくする薬剤です。または、便意がないけれど溜まっている感じがするという場合に薬液を注入することで、便意を呼び、排便を助ける薬です。高齢者や乳児などで、自分で腹圧をかけて排便をすることが難しい場合にも排便の助けになります。(30g2個入/180円ぐらい)初めて使用するときはイチジク製薬HPで使用方法の動画が公開されているので、一度確認してみてください。
(宇野さらら)

便秘で困っている方へのアドバイス


普段から水分を多めに摂取
するようこころがける。
(日陰ましう)

今回は慢性的な便秘で悩んでいる方への対処薬という事でウィズワンシリーズの坐剤を紹介しましたが、ウィズワンシリーズには3種類の内服薬もあり、便秘薬が初めての方でも安心して使える商品もあり、お客様のニーズに合わせた選択が可能です。ただ、便秘は薬の使用のみに頼らず、水分補給や、野菜、キノコ類などの食物繊維を摂る、運動なども併せて行うのが良いと思います。
(ゆきつばめ)

朝食を食べると、胃に刺激が与えられ、腸の蠕動運動が促されることで排便が誘発されます(胃結腸反射)。ここで、朝忙しいからと便意を我慢せず、必ずトイレの時間を確保しましょう。我慢を繰り返すことで次第に腸の感覚が鈍くなり、便意を感じにくくなることで便秘につながるといわれています。(ふらんすぴあの)

腸は眠っている時に動きますので、起きてすぐにコップ一杯程度の白湯やお水を飲むと、便秘の改善につながります。
便が固めのことが多く水分摂取不足の場合には、カフェインやアルコールを含まない水分をこまめに摂取しましょう。運動不足の場合には、適度な運動をすることで便秘の改善につながります。偏食の方は食事をバランスよく摂取できているか確認してみましょう。
日常生活を見直し、薬を服用しても改善しない場合には病院を一度受診することをおすすめします。(小豆田くら子)

便秘の辛さはなった人にしかわからないという意見をよく聞きます。便が溜まって便意が強く来るときの腹痛は激痛で失神する人もいると聞きます。過去には、大量の便が排出できず腸閉塞で死亡した方もいます。そうならないように、食物繊維を多めに取り、腸内細菌を育てましょう。食生活の改善や水分摂取に注意することが一番大切です。それでもだめな場合は一度医師の相談することをお勧めします。(宇野さらら)

監修者コメント

坐薬、浣腸、内服薬、いろいろな成分や剤形の便秘薬が出そろいました。
どの薬が自分にぴったり合うかどうかは、薬剤師や登録販売者とぜひ相談してみてください。
一番大切なことは、ふだんの食生活に気をつけること。水分補給も大切ですね。

<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。