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暮らしの薬学【衣類用洗剤・洗浄編】~②衣類用洗剤の成分

衣類用洗剤はただ、汚れをおとすだけでなくて、タオルをふんわり仕上げたり、いい香りを放ったりするものもあって、きれいにするだけでなく、気持ち良さを高める効果もありますよね。
今回は衣類用洗剤の成分について解説します。

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衣類用洗剤の主役もやっぱり界面活性剤!

衣類用洗剤の主成分は界面活性剤ですが、さらに界面活性剤の働きをアップさせる助剤も配合されていていろんな汚れに対応しています(暮らしの薬学【衣類用洗剤・洗浄編】~①衣類がきれいになるメカニズム)。
実際にどんな成分が入っているでしょうか?・・・・衣類用洗剤の「アタック抗菌EXスーパークリアジェル」の「成分」には“界面活性剤(27%ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級アルコール系(陰イオン))、安定化剤、pH調整剤、酵素、蛍光増白剤”があります。容器には「品名」“洗濯用合成洗剤”、「液性」中性、と表示があります。
「液性」は汚れの相性を考えるのに重要です。例えば、台所用洗剤の液性には(暮らしの薬学【家庭用洗剤・洗浄編】~③洗剤の成分、分類参照)、酸性・中性・アルカリ性がありましたよね。お風呂の水アカなどの汚れはアルカリ性なので、酸性の洗剤のほうがよくて、レンジの油汚れなどは酸性の汚れなので、アルカリ性の洗剤を使うとよく落ちます。
一方、衣類の場合は、皮脂や油汚れが多いので、ほとんどが中性か弱アルカリ性です。

衣類用洗剤の形態は、粉末タイプと液体タイプ、そしてジェルボールタイプなどがあります。粉末タイプは“アルカリ剤”(炭酸ナトリウム)が配合しやすく、そのアルカリ剤のおかげで洗浄能力が高いです。
では粉末タイプの衣類用洗剤の成分はというと・・・・「トップ プラチナクリア」の箱には「品名」“洗濯用合成洗剤”、「液性」弱アルカリ性、そして「成分」には“界面活性剤(16%αスルホ脂肪酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンエーテル、純せっけん分)、水酸化剤、アルカリ剤、工程剤、漂白剤、蛍光増白剤、酵素”と表記されています。
ここに配合されている“アルカリ剤”は頑固な汚れ、皮脂やタンパク汚れなどをしっかり落としてくれます。ただし、衣類の素材によっては繊維を傷めてしまったり、色落ちしたりするので、衣類洗剤を選ぶときにはこの配合成分や液性を確認することが重要です(暮らしの薬学【衣類洗剤・洗浄編】~③洗剤の選び方と洗い方で詳しく説明します)。

衣類用洗剤は以上のような洗浄成分以外に、柔軟剤、洗濯ものにいい香りをつける芳香剤、消臭剤、ダニを寄せ付けない成分が配合されているものがあります。

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Q.柔軟仕上げ剤(柔軟剤)って洗剤と同時に入れて洗濯したらダメなんですか?

界面活性剤は、水に溶けると電気的にマイナスになるもの(陰イオン系界面活性剤)、プラス(陽イオン系界面活性剤)になるものそしてその両方になるもの(両性界面活性剤)と、電荷をもたないもの(非イオン系界面活性剤)に分かれます。多くの衣類用洗剤は、陰イオン系もしくは非イオン系界面活性剤が配合されています。
例えば、「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸」という陰イオン系界面活性剤は、電気的にマイナスなので、洗濯した後に「マイナスの電気」が帯電し、「静電気」や「繊維のごわつき」が起こってしまうのですが、柔軟仕上げ剤(柔軟剤)の主成分である陽イオン系界面活性剤が中和することで繊維同士の滑りをよくし、心地よい肌触りに変えてくれます。
また、静電気を防ぐ働きもあり、ほこり・ゴミ・花粉なども付着しにくくなります。
ですが、衣類用洗剤でしっかりと汚れを落としてから、柔軟剤を使用しないとお互いの効果を打ち消し合ってしまう(中和してしまう)ので一緒に入れてはいけません。柔軟剤を入れるタイミングは、洗いのあと、すすぎの手前です。

全自動洗濯機には“柔軟剤専用投入口”にいれておけば、先ほどのタイミングで自動的に投入されます。

もっと勉強したい人に~参考リンク


柔軟仕上げ剤で衣類がやわらかくなるのはなぜ?(日本石鹸洗剤工業会)
柔軟剤を入れるときはいつ?(レノア)

<参考図書>
よくわかる最新洗浄・洗剤の基本と仕組み
これでわかる!石鹸と合成洗剤50のQ&A

<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。