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暮らしの薬学【医療機器・絆創膏編】ファーストエイドに欠かせない~①医療機器とは?“絆創膏”が医療機器?”

ミズホ「子供たちが指を切ったときとか、擦りむいたときのために、我が家には絆創膏が必需品なのよね~。子どもたちはいつも“バンドエイドちょうだい”っていうのに、あるとき“サビオちょうだい!”っていうからびっくりして。そんな呼び名もあるね~。」

薬剤師ナナコ「絆創膏は家庭内で一番よく使われている医療機器ですね。絆創膏の歴史は長いので、地域によって流通している商品の売れ筋も違うので、「バンドエイド」「カットバン」「サビオ」などよく呼ばれる代名詞となる商品も様々です。絆創膏について正しい使い方や、傷を治す概念についてもおさらいしてみましょう


“絆創膏”が医療機器?”

医療機器というと、機械を操作して健康チェックするとか、医療用の器具のイメージがありますね。医療機器の定義について法律(医薬品医療機器等法第2条第4項)を調べてみると「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で 定めるものをいう。」とあります。
絆創膏には、治療や予防に使用することを目的として承認を受けた製品が、“医療機器”として存在します。一方、治療や予防を目的としたものではない、つまり皮膚を摩擦から守るような製品は、形態が類似していても“雑貨品(衛生医療雑貨とも呼ばれる)”となります。また、パット部分に薬剤がしみこませてあるものは“医薬品”に分類されます。(絆創膏の分類については、次回・暮らしの薬学【医療機器・絆創膏編】~②絆創膏とは?絆創膏の種類を参照)
すべての医療機器はその製品に不具合が生じたときに人体に与える影響(リスク)によって4つ(クラスⅠ~Ⅳ:数字があがるごとにリスクが高くなる)に分類されます。絆創膏はクラスⅠで極めて低いリスクに属し「一般医療機器」と表記されます(キズパワーパッドは「管理医療機器」です)。電子式血圧計はクラスⅡの低リスクに属し「管理医療機器」と表記されます。コンタクトレンズ(カラーコンタクトレンズを含む)は、クラスⅢの中~高リスクに属し、「高度管理医療機器」と表記されます。クラスⅣは高リスクに属しこれも「高度管理医療機器」です。

Q.液体絆創膏ってなんですか?

「液体絆創膏」は、“水絆創膏”とか、“塗る絆創膏”とも呼ばれているものです。においや形状が接着剤に似ており、製品によっては「刷毛」をつかって患部に塗り乾かして被膜をつくり患部を水などの外的要因から守ります。テープで貼り付ける絆創膏と違い、水に強くて剥がれにくいので、傷、ひびわれに水が浸入するのを防ぐにはとても有効です。絆創膏が一般医療機器であるのに対し、液体絆創膏のほとんどが「指定医薬部外品」ですが、この液体に医薬品成分(ピロキシリン、トリクロロカルバニリドなど)が入っている場合「第3類医薬品」になります。
液体絆創膏は、小さな切り傷、ひびわれ、さかむけやあかぎれなど小さな傷の消毒・保護を目的としているため、深い傷口や大きな傷には使用できません。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク

●やさしい医薬品医療機器等法―医薬品・体外診断用医薬品・再生医療等製品―(じほう)

https://www.jiho.co.jp/Portals/0/ec/product/ebooks/book/47004/47004.pdf

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。