見出し画像

上手に飲めたね!子どものお薬~①お薬の飲ませ方(乳幼児~小中学生まで)

小児の場合、嚥下機能、薬に対する理解等々が年齢とともに変化していくので、薬の飲ませ方も年齢に合わせて変える必要があります。

1.誕生~離乳食前:まずはお口の中に入れよう


1歳未満では何でも飲み込もうとするので、薬を飲ませることはそれほど難しくありません。
まずは、口の中に薬を上手く入れさえすれば飲めます
スプーンも良いのですが、こぼすことがあるのでスポイトがお勧めです。
また、哺乳瓶の乳首やストローでもOKです。
粉薬は団子にして、口腔内に塗ってあげた後、ミルク等で流すこともできます。

2.離乳食開始~3歳:食べ物との混合もあり


離乳食を始めると、「味」に対して徐々に敏感になり、好き嫌いが出てきます。
また自我が芽生えて、徐々に服薬を嫌がる傾向が上がるため、この年代で薬を嫌がると最も大変です。
水に溶いてそのまま飲めるなら良いのですが、嫌がる場合は食品との混合を考えます
混ぜる食品はお子さんの好みに合わせて選んで下さい。
ただ、薬によっては混ぜると逆に苦くなる場合があるので注意が必要です。食物との相性は薬によって異なるので必ず、薬剤師に尋ねてください。

3.3~6歳:ほめて飲ませる


4歳以降で飲めない場合、食物と混ぜても気づかれるので、なぜ薬を飲むのかを理解させることが大事です。
薬をきちんと飲まないと病気が治らない。病気が治らないと「保育園に行けない」、「運動会に参加できない」等の様に、好きなことができないことを説明します。
同時に、飲めた時に褒めてあげることが大切です。ほめることで、次からもっとうまく飲めることがあります。
また、年齢が上がると体重が増え、散剤では量が多くなるので嫌がることがあります。
6歳援前後になると錠剤が飲める場合があり、特に小児用の小さな錠剤だと逆に錠剤の方がのみやすいこともあるので、剤形を変えることも一考です。

4.小中学生:服薬の意義を理解する


小中学校になると自分で飲めるようになりますが、むしろ問題となるのは症状が良くなって薬の服用を止めてしまうことです。
喘息等の慢性疾患では薬の服用によって状態が改善するので、自己判断で服薬を止めてしまう事があります。
しかし、慢性疾患では寛解した状態を継続することが重要なので、この年代では継続して服用すること、または処方された薬を飲み切ることの意義を子どもにも説明する必要があります。

まとめ


年齢によって飲ませ方は変わりますが、変わらないことは「食前服用」です。
薬の袋には「毎食後服用」等書いてありますが、お子さんの薬で食後でなければいけない薬はほとんどありません。
お腹が空いた食前だとさっと飲め苦味を感じませんが、食後ではお腹いっぱいで嫌がります
食後にこだわらず飲ませやすい時間で大丈夫です
また、保育園に通っているとお昼に飲ませることが出来ません。
お昼の分は帰ってすぐ服用し、夜の分は寝る前に飲ませてください。
4時間以上あければ心配いりません。
それでも難しい時は1日2回などにしてもらうように医師に相談してください。

<この記事を書いた人>
松本康弘
熊本大学薬学部卒。大手製薬メーカーの研究所勤務を経て、現在はワタナベ薬局上宮永店(大分県)で管理薬剤師を務める。小児薬物療法認定薬剤師。著書に『極める! 小児の服薬指導』(日経BP)、『小児の服薬指導Next Step』(じほう)がある。