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暮らしの薬学【日焼け止め編】~②日焼け止め商品の選び方

前回は紫外線の有害事象と対策する意義について説明しました。
では、日焼け対策商品にはどんなものがあるのでしょうか?
直接皮膚に使用する日焼け止め商品(サンスクリーン)とその選び方について説明します。

日焼け止め商品(サンスクリーン)とは

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日焼け止め商品(サンスクリーン)には、UVカット効果を示すPA値やSPF値が表示されています(日本化粧品工業連合会が定めたもの)。
PA(Protection Grade of UVA)はUVAを防ぐ効果を表します。+によって三段階に表示され+の数が多いほど効き目があります。

SPF(Sun Protection Factor)は紫外線防御係数と呼ばれUVBを防ぐ指標で、数値が高いほど防御効果があります。SPF値が30ぐらいまではその防御効果がどんどん上昇しますが、それを過ぎると極端に緩やかな上昇(プラトー)になるため、30あたりが一般的な目安と言われています。日本では、以前、SFP値が100を超えるものが販売されていましたが、SPF値が高いものは紫外線吸収剤の含有量が高くなり、肌への負担が大きくなるので、現在では、SPFは50を目安に、50をこえるものは50以上(50+)と表示されるようになりました。
紫外線防御する働きをする成分つまり、紫外線防止剤には、紫外線を吸収する“紫外線吸収剤”と散乱する“紫外線散乱剤”の2種類があります。

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紫外線吸収剤と紫外線散乱剤

紫外線吸収剤は、紫外線を効率よく吸収できる有機化学物で、化学的な仕組みでエネルギーを吸収し、熱などのエネルギーに変えて放出し、紫外線が皮膚の細胞に浸透するのを防ぎます。紫外線にはUVAとUVBがあるように、それぞれに有効なまたどちらにも有効な吸収剤があります。紫外線吸収剤は、汗に強いものが製造しやすく紫外線防御力も高目ですが次に説明する散乱剤に比べ肌への影響が大きいです。

紫外線散乱剤は、粒子径が15~20nmの超微粒子の無機粉体が使われ、物理的な仕組みで紫外線を散乱、反射させます。散乱剤(パウダー)が肌を均一に覆って紫外線を肌表面で反射、散乱させて紫外線の影響を防ぎます。皮膚表面では物理的な反射で紫外線の進入を防ぐだけなので、化学的に活性がなく肌への影響は少なく安全性が高いと言われておりベビー用サンスクリーンに使われています。
PAやSPFの表記の組み合わせで商品がいろいろありますが、どのくらい太陽にあたるのか(量、時間、期間、場所)、また使用する人のスキンタイプや年齢を考慮して商品を選択します。日常の洗濯物を干したり買い物をしたりするためならば、SPFも中程度(SPF15ぐらい)で、お肌のことを考えるのであれば、紫外線散乱剤だけのものでもいいでしょう。一方紫外線の強い季節にかなり長時間戸外に出る場合(炎天下でのスポーツ 、ハイキング、海水浴など)には紫外線吸収剤配合でSPF値の高いものがよいでしょう。

Q.紫外線防止剤ではない商品は何をみればわかりますか?

A.紫外線散乱剤だけのものは“ノンケミカル”とか“吸収剤未使用”などの表記がされています。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク


●紫外線環境保健マニュアル2008
 http://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_manual.html
●資生堂(紫外線のこと|キッズのためのキレイクラブ)
 https://corp.shiseido.com/kids/jp/uv/index.html
●資生堂「日焼け止めの正しい使い方」
 http://anessa.shiseido.co.jp/shigaisen/howto_milk/
●化粧品成分オンライン(紫外線防御剤)
 https://cosmetic-ingredients.org/uv-prote


<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。