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つらい頻尿、我慢しないで・・~薬剤師が本音でオススメする市販薬㉘

頻尿でお困りの皆さん、大変つらいですよね。頻尿は日常生活に大きな影響を与え、ストレスや不快感の原因となることがあります。
夜、何度もトイレに起きなければならず、睡眠の質の低下で日中の眠気や疲労感が強くなることがあります。
また、外出の際にトイレが見つからない、トイレに間に合わないといった不安から、行動範囲が狭まってしまうこともありませんか。
頻尿が原因でイライラしたり、不安を感じたり、自信を失ったり、精神的な不安から、仕事や学校、人付き合いにも集中できずに社会生活にも支障が出ることにも繋がっていきます。
そこで今回は「頻尿」でお悩みの方にオススメできる市販薬を薬剤師の皆さんにセレクトして頂きました。

◎今回推薦してくれた薬剤師のみなさん(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/百里香ひかた/ゆきつばめ ※五十音順)


まず小林製薬のユリナールに2票。

ユリナール(小林製薬)

顆粒と錠剤があり、15歳以上、1日2回食前または食間服用。顆粒6日分12包入2,500円、12日分24包入4,800円、錠剤6日分60錠入2,500円、12日分120錠入4,800円(税抜)。

清心蓮子飲として9種類の生薬を配合、膀胱排尿筋を弛緩させる作用がある。レンニクなどの生薬が膀胱排尿筋を柔らかくして膀胱を広げ、尿をしっかりためられるようにすることで頻尿を改善、カンゾウやブクリョウなどの生薬が精神の高ぶりを抑え、オウゴンやジコッピなどが患部の炎症を鎮める。
小林製薬から販売されている頻尿改善薬には「ユリナール」(清心蓮子飲)の他、「ボーコレン」(五淋散)、「ボーコレンエージプラス」(猪苓湯合四物湯)、「モレテクト」(八味地黄丸)などがあるが、商品名と使用されている漢方薬が一致せず、商品の販売チャンスを逃しているケースがあるのではないかと思い、今回はこちらの商品を挙げてみました。
(ゆきつばめ)

ユリナールの錠剤をオススメ。
成分として主に清心蓮子飲を配合しており、加齢などで固くなった排尿筋をゆるめて、尿をためやすく、また排尿時には残尿感を残さず尿を排泄できるようにする作用があります。また抗炎症作用もあわせもちます。漢方ですが、錠剤で服用しやすいのも特徴です。
(小豆田くら子)

頻尿に効く漢方製剤は他にもあります。

「クラシエ」牛車腎気丸料エキス錠(クラシエ薬品)

八味地黄丸という漢方にさらに2つの生薬が配合されており、体力のない高齢者でも使用可能。
錠剤なので漢方の粉のにおいが気になる方でも飲みやすいのでおすすめ。
1回4錠を1日3回服用なので、粉の方が簡単に飲めるという人は粉薬を選ぶことも可能。
(日陰ましう)

「クラシエ」漢方八味地黄丸料エキス錠(クラシエ薬品)

血や水の不調を改善する地黄、頻尿を改善する山茱萸、体内の水分量を調整する茯苓と沢瀉新陳代謝を良くして体を温める附子などが配合された漢方薬です。疲れやすくて手足が冷えやすい、頻尿や排尿困難などの症状がある人に向いています。ただ、地黄はとても良い働きをするのですが、胃腸に負担がかかることがあるので、胃腸が弱い人では食欲不振などが出てくることがあるので注意が必要です。
粉薬が苦手な人にもオススメできる錠剤タイプです。
96錠(8日分) 1,936円(税込)
(百里香ひかた)

バップフォーレディ(大鵬薬品)

1日1回1錠を服薬する。今回のこの薬は男性は飲めないということをまずお伝えします。女性の尿意切迫感や尿漏れには効果があります。要指導医薬品であるために薬剤師がいる店舗でしか購入できませんが、処方箋なしで購入できる医療用の成分です。(7錠入り/2,750円(税抜価格2,500円)
(宇野さらら)

頻尿にお悩みの方へのアドバイス

その他、生活習慣の改善として利尿作用のあるカフェイン、アルコール、炭酸飲料などの摂取を控える、夜間の水分摂取量を減らす事も必要。
(ゆきつばめ)

膀胱には尿をためる機能(蓄尿)と尿を排出する機能(排尿)があり、年齢を重ねると膀胱の筋肉が固くなることで蓄尿機能が落ち、頻尿となります。また排尿筋が低下することで排尿機能が落ち、残尿感を感じやすくなります。ほかにも頻尿には様々な要因があり、男性では前立腺肥大症が原因となることも少なくありません
頻尿は日常生活に影響を及ぼすため、原因に応じた適切な対処方法を実践する必要があります。薬を飲んでも改善しない場合には医療機関を受診するようにしましょう。
(小豆田くら子)

夜間、1時間おきにトイレに行くなどしていると寝不足で集中力も落ちてしまいよくありません。しかしながら、おしっこの問題は恥ずかしさもありなかなか相談できないと思います。薬局で相談をしてみて、薬で改善できれば、それが受診のきっかけになるかもしれません。
(宇野さらら)

頻尿に効く漢方は空腹時の方が効果があるので、食事の30分前か、食後2時間後に服用した方が良い。
(日陰ましう)

コーヒーやお茶に含まれているカフェインには利尿作用もあるため、コーヒーやお茶を飲みすぎないようにしたり、寝る前には控えるようにしてみるか、またはカフェインの入っていない麦茶やルイボスティーに替えてみると良いでしょう。
(百里香ひかた)

監修者コメント

バップフォーがスイッチOTCとして2021年に発売されました。医療用の成分 プロピベリン塩酸塩は抗コリン作用とCa拮抗作用の2つの作用で膀胱の異常収縮を抑制し、尿意切迫感を軽減させます。ただし、70歳未満の女性しか使用できません。また、抗コリン作用がありますので、緑内障の方や排尿困難の方は使えません。
その他の市販薬は清心蓮子飲、八味地黄丸、牛車腎気丸などの漢方があげられました。
昼過ぎからのカフェインを含んだ飲料は避けた方がいいですね。

<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。