暮らしの薬学【局方品・消毒編】~③消毒剤の保管方法・使用上の注意
ミズホ「いざという時のために消毒剤の買い置きって必要よね~。でも、消毒剤っていつまでもつのかな~?そもそも買い置きできるものなのかな~」
消毒剤の使用期限
消毒薬の使用期限は、その容器に記載されています。開封した後でも、原則的にはそれらの容器に記載の使用期限まで使用することはできますが、使用方法や、保管方法によってその以前に効果がなくなってしまう場合もあります。主な消毒薬について説明します。
次亜塩素酸ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウムの使用期限は、製品ごとで異なっています。たとえば、医薬品では11か月~3年間と幅があります。また、室温保管でも可能な商品もあれば、冷所(1~15℃)保管すべき製品もあります。使用前に表記の表示をよく確認しましょう。
さらに、次亜塩素酸ナトリウムを希釈して使用した場合、直射日光下での保管では数時間で分解し、また、気温が高いほど分解しやすくなります。しかし、遮光容器内では希釈後の次亜塩素酸ナトリウムは比較的安定です。したがって、希釈後は、気密の遮光容器に保管し、1か月間程度で使い切ります。この際、冷所保管が指示されている製品では、その希釈液も冷所保管が必要です。
ポビドンヨード
ポビドンヨードの50~100倍希釈液などは、洗面器などの開放容器中ではすみやかに分解します。したがって、この場合での使用期限は24時間とします。
アルコール、速乾性手指消毒薬
アルコールは揮発性があるので、他の容器に移しかえずに使用を勧めます。て用いる場合では、移しかえる容器の気密度によって使用期限が異なってきます。
速乾性手指消毒薬は容器内のアルコールが揮発しにくい構造になっているので、その有効成分(アルコール、クロルヘキシジン、ベンザルコニウム塩化物など)はいずれも、数年間にわたって安定です。開封後の速乾性手指消毒薬の使用期限も、製品容器に記載の使用期限を確認します。
クロルヘキシジン、ベンザルコニウム塩化物、両性界面活性剤
クロルヘキシジン(ステリクロン®、ヒビテン®など)、ベンザルコニウム塩化物(ザルコニン®、オスバン®など)および両性界面活性剤(サテニジン®、テゴー51®など)では、10%液などのみならず希釈・滅菌済みの製品であっても、製品容器に記載の使用期限まで使用可能です。ただし、希釈・滅菌済み製品で、注ぎ口に手指などが触れた場合には廃棄してください。
Q.次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムと違うの?
「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は、名前が似ていますが、異なる物質です。「次亜塩素酸ナトリウム」は、アルカリ性で、酸化作用を持ちつつ、原液で長期保存ができるようになっています。「次亜塩素酸水」は、食塩水または塩酸水を電気分解することで作られる酸性の水溶液で、同じく酸化作用により除菌に用いられます。比較的刺激が少ないので、肌が荒れやすい人、強いにおいが苦手な場合でも使えるので、汎用されています。
また、「次亜塩素酸水」のことを「pHを調整した次亜塩素酸ナトリウム」と称して販売する例があり、アルカリ性の「次亜塩素酸ナトリウム」と酸性の「次亜塩素酸水」が混同されやすくなっています。(暮らしの薬学【家庭用洗剤・除菌/漂白編】~②除菌/漂白成分の種類と性質)
もっと勉強したい人に ~ 参考リンク
●開封後の使用期限(健栄製薬)
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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。