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親のススメで薬学部に進学…

進学の相談相手はだれ?

  「薬学部に行こう」と軽いノリでお伝えしていますが、薬学部への進学は意外に大変です。一般的に「医療分野は仕事が安定している」、「一定以上の収入があり、食いっぱぐれがない」、「資格や手に職をつけることは将来性がある」などと思われています。
 医療分野には、医師や看護師の他に理学療法士、作業療法士、診療放射線技師などのコ・メディカル職があります。医学部は学力や高い学費がネック。看護師は夜勤など仕事がきつそうというイメージがあります。
 薬剤師のイメージは、調剤薬局を利用する経験から「わかりやすく処方薬の説明をしてくれる」、「医師に聞きにくいことが相談できる」、「薬に関する綺麗な仕事」などがあるようです。
 高校生に大学入試の「相談相手はだれ?」と聞くとご両親と答えるそうです。中でもお母さんの比率が高く60%超えるダントツ・トップです。これは大学生の就職相談でも同様の結果があります。
 ご両親は、これまでの社会経験から得た知識をベースに相談に応えられるのでしょう。

看護師のように「高校生1日薬剤師体験」が欲しい

 高校生の受験相談に対し、本人に進路の希望がなければ「薬剤師はどう?」と提案されるかもしれません。薬剤師に関する十分な知識があるわけではなく、「子供は苦労しないで暮らしてほしい」との思いがあるのです。
 「親にいわれたので薬学部を受験した」という薬学部生が以外に多いといいます。
 そんな学生から「学生実習後のレポートの提出」、「予習・復習などでキャンパスライフを楽しんでいる余裕がない」、「こんなに忙しい学部だとは思わなかった」という声が聞こえてきます。文系志望からの方向転換であれば、無謀といえるほど大変です。
 進学するのはあなたですから、薬学部がどんなところか、薬剤師や創薬研究はどんな仕事をするのかという程度の知識をもっていてほしいですね。
 オープンキャンパスに参加して薬学部の学びについて情報を収集。薬局見学や大学病院の薬剤部が企画する薬剤部見学の機会もあります。参加して薬剤師の仕事に触れてもらえればと思います。
http://www.med.oita-u.ac.jp/yakub/nhk.pdf
https://www.pharmaizm.co.jp/contribution/experience/
https://www.pref.toyama.jp/documents/34425/oshigototaikenhigh.pdf
https://www.jiaikai.or.jp/imamura-general/about-hospital/information/information/?id=1596

難易度が近い薬学部を比較してみました

 下の表は私立大学の偏差値47.5から37.5の薬学部のデータです。受験先を検討する段階で薬学部を選ぶということは、国立大学や私立トップ校を狙うのは無理でしょう。ライバルは「化学大好き」、「好きな化学の力を活かした仕事がしたい」という人たちです。薬学部を目指すなら、早い段階からの準備・計画が必要なのです。
 そこで受けやすい薬学部を選びました。

偏差値47.5から37.5の薬学部

 入試からストレート国試合格率までをまとめ、メイン入試だけ競争倍率を紹介しています。
 B大学は入試倍率1.5の競争率でした。この入試を突破した学生のストレート国試合格は57.5%(対入学者数)です。
 F大学は5.11倍の入試でしたがストレート国試合格率は44.0%でした。
 入試とストレート卒業率の関連性は薄いようです。

大阪大学薬学部をサンプルに、入学から卒業・国試受験・就職までを紹介してみました。

学生数が少ない国立大学はわずかな違いで比率が変化します

2019年度入学の学生について、3大学の進級状況を表にしました。

 A大学は、1年次から2年次への進級の際4名減少。
 B大学は、2年次で5名減少、3年次進級時に29名も減少しています。
 C大学は、2年次で65名減少し、5年次にはストレート進級生が約半数になりました。ストレート国試合格したのは約40%の124人です。
 薬学教育に重要な有機化学が苦手という人がいます。1・2年次の学びが理解できていなければ、その後の学びに影響します。薬学を学び続けるのが難しいと判断したら、進路変更を考えてもいいですね。できるだけ早く。
 薬学部の3年次はまだ初期の段階に感じますが、高校時代の友達は就活に入っていく時期です。進路を変更するのなら早めが肝心です。
 一方、薬学出身者の仕事にやりがいを感じたら、ぜひ薬学部に進学してください。その場合、化学・物理・数学の力をつけておくことをお勧めします。

ストレート卒業、ストレート国試合格率

 ストレート卒業、ストレート国試合格率を気にする受験生が多いといいます。ストレート卒業よりもストレート国試合格の値を評価したいと思います。
 ストレート卒業は、調節が可能ですが、ストレート国試合格率は、資格試験という共通の指標があるからです。
 下のデータは、7大学の在学生数(「ストレート進級生」と「留年を含む在学生」)の推移を示しています。A大学とB大学は国立です。

流石に上位校は好成績です

 B大学は、6年次まで一人も脱落することなく進級。卒業したのは23名でした。そして第107回薬剤師国家試験の合格者は20名、合格率は74.1%(対入学時)です。
 この大学は非常に優秀な学生が学んでおり、トップレベルの薬学部でもストレート国試合格率は75%〜80%程度なのです。
 ストレート卒業率やストレート国試合格率は文部科学省が公開する資料で確認できます。
https://www.mext.go.jp/content/202309011-mxt_igaku-100000059_01.pdf

修学情報だけでなく、入試データやこれから卒業を迎える学生のデータも掲載されています

 志望校のストレート卒業率を確認して、志望校の入試突破のために頑張ってください。
 今回は、ご両親のアドバイスを受けて薬学部を目指す人が多いと聞き、受験生の目線で紹介させていただきました。
 次回は「薬学部の学び」をご紹介の予定です。