将棋自戦記#2~第5期指す将順位戦第2局~vsアカサビさん

 みなさんnoteではご無沙汰しています。最近は四人将棋の方の記事もすっかり書かなくなって、一人で勝手にうしろめたさを感じている今日この頃。そっちの筆は相変わらず進みませんがいずれ書きますのでごゆるりとお待ちください…。

 さて本題ですが、今回は指す将順位戦の第2局です。もちろんお叱りを受けるようなことがあればひっそりと削除しますので、生暖かい目で見守っていただければと思います!

局前の準備~アカサビさん編~

 前回の勝利の後、すぐに第2局を指したくてうずうずしていました。居ても立っても居られない私は、早速アカサビさん対策を練ろうと過去の棋譜を確認していきました。
 事前に手に入れていた情報として、アカサビさんが棒銀党であるという話がありました。実際、アカサビさんの将棋は棒銀の採用例が多いのですが、気になるのは対振り急戦。見てみると▲4六銀左戦法のような斜め棒銀系の急戦はもちろん、▲4五歩早仕掛けを採用している対局も多く対策は必至です。ノーマル振り飛車の急戦は勉強量がものを言う側面があるので、付け焼刃の対策では間に合わなさそうです。初手からの動きに応じて、以下のように作戦を組み立てました。

 先手番の時
 ①▲7六歩に△3四歩なら▲7五歩から石田流
 ②▲7六歩に△8四歩なら▲2六歩から角換わり
 後手番の時
 ③▲2六歩△3四歩に▲2五歩なら△3三角~△3二銀
  →▲3三角成なら角換わり
  →その他の手なら△4四歩からノーマル四間
 ④▲2六歩△3四歩に▲7六歩なら△5四歩からゴキゲン中飛車

 基本的には普段の指し方と大きく違いはありませんが、実戦は③になりました。このパターンが今まで採用していなかった新しい指し方です。元々角換わりは先手番の戦法として勉強を始めた経緯があり、今まで後手番では採用していなかった経緯があります。ですが、角換わり棒銀に誘導できた方が対抗形の急戦よりは勝率が高くなるかと思い、②・③を本命に考えていました。石田流とゴキゲン中飛車に棒銀というのは比較的少ない指し方だと思いますので、①④になっても不満なしという訳ですね。
 それにしても、私は振り飛車党として指す将ライフを送っていたつもりなんですが、本命が角換わりというのはアイデンティティ崩壊の危機ですね。実際、私の事をオールラウンダーと認識されている方は多いのではないかと思います。ですが「角換わりも指す振り飛車党」というのが自己認識。それって本当に振り飛車党なの??というツッコミは是非保留して頂ければと思います(笑)。

予定通りの序盤戦

第5期指す将順位戦B級3組
令和2年6月24日21時
於・将棋倶楽部24 大阪道場「レーティング対局室」
▲アカサビ △やきそば(持ち時間各15分、秒読み60秒)
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角
▲7六歩 △3二銀 ▲3三角成△同 銀
▲8八銀 △3二金 ▲7七銀 △6二銀
▲7八金 △8四歩 ▲3八銀 △4二玉
▲6八玉 △6四歩 ▲2七銀 △6三銀
▲2六銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四歩
▲1五歩 △同 歩 ▲同 銀 △同 香
▲同 香 △1三歩 ▲1二歩 △2二銀打(第1図)

 緊張の面持ちで対局開始。すぐに後手番になったのを確認。6手目△3二銀まで予定の指し手を選び、まずはここでお祈りです。角換わりになーれ!という願いは叶い、戦型は先手の角換わり棒銀に。するすると手を進めますが、端棒銀を受けるところまでは予定でも、具体的な自陣の陣形は決めきれていませんでした。特に右側はどのように手をかけるべきか分かっていなかったのが実際のところ。どのように進めても、当然▲1五歩から仕掛けられます。△1三歩には▲1二歩と垂らされますが、ガッチリ△2二銀打までが予定の進行。短い角換わり歴の中では比較的経験のある形で、棒銀の攻めをひたすら受け続け、機を見てカウンターを決める狙い。さばきはありませんが、若干振り飛車チックな作戦かもしれませんね。

画像1


慎重に攻めの糸口を探る

第1図からの指し手
▲5八金 △7三桂 ▲1九香 △8一飛
▲7九玉 △6二金 ▲6八金右△9四歩
▲9六歩 △8五歩 ▲1一歩成△同 銀
▲1三香不成△同 桂▲同香成 △1二歩
▲1四成香△2二銀上▲5六角(途中1図)△1三歩
▲1五成香△5四香 ▲4五角  △4四歩
▲1八角 △6五桂 (第2図)


 先手は▲5八金と整えてから▲1九香と数を足します。この局面になって「想定局面なのにその先の指し手を決めていない!」という事実に気づきます。何を指そうかと2分半悩み平凡に△8一飛。早く桂も跳ねて横効きを通したいという一手です。堅さ重視に駒を寄せた陣形を組むアカサビさんを見て、反撃手順を作れるよう右辺の整備も行います。そして迎えた43手目。アカサビさんの手が止まります。長考の末▲1一歩成を決行!深く先を読めるわけではありませんが、私も確認をしながら1手1手を受け止めます。成香を一旦追い返し、先手の攻めも落ち着いたかというところで再びアカサビさんが長考に沈みます。私はこの間△6五桂からの攻めを考えていましたが、手が進まないと先は読めないなと局面の難しさを感じていました。アカサビさんは秒読みに突入し、そこで指されたのが▲5六角(途中1図)でした。

画像2


 実際の狙いはアカサビさんのみが知る所ですが、次に▲4六桂~▲3四桂の手順が嫌でした。先に△1一銀や△5二玉などで当たりを避ける手も考えましたが、銀を打ち付けてまで駒を密集させた意味が無くなってしまうので少しシャクです。▲4六桂を打たせない手としては△5四香が有力とみていましたが、右銀が出る味がなくなるのはどうか。また折角の香車を手放すのもどうかと悩み決断ができません。「△1三歩~△1四歩と成香を外し、その間に▲3四桂まで跳ねさせて△同銀▲同角に△3三香・・・」というのを読み筋に、本譜は△1三歩を選びました。ですが素直に△5四香が良かったかもしれないですね。実戦は▲1五成香と引かれて△5四香。この交換は後手も得することができたと思います。角を追って勢い△6五桂(第2図)。攻勢に出る余裕が出てきたので、この時点では有利を感じていました。

血の気が引いた▲5五桂

第2図以下の指し手
▲6六銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲8七歩 △8一飛 ▲5五桂(途中2図)△7二銀
▲3六歩 △5五香 ▲同 銀 △4五桂
▲6六銀 △3九角 ▲3八飛 △5七角成
▲同 銀 △同桂左成▲同 金 △同桂成(第3図)


 ▲6六銀とさせれば攻めやすく、△8六歩から飛車先を交換して後手よし・・・と考えていたのですが、実際は△5七香成から清算して△3九角とする攻めが速かったようです。▲5八飛と回る手に△4八銀が常套手段ですね。△8一飛を悠々と指したところで▲5五桂の勝負手が飛んできます。

画像3


 △同香で何でもないようですが、▲6三角成△同金▲7二銀の勝負順が怖すぎます。かといって他の手も難しい・・・。悠然と指していたのが一気に血の気が引き、次には冷や汗が出てくるのを感じます。考慮時間は1分ですが、とても長く感じられました。悩みに悩んで△7二銀と収める手を選びます。つづいて▲3六歩で角道が遮断され、△5五香と取る手が実現。△4五桂と打ち返してホッとしました。そこからは待望の△3九角からガジガジ攻めて第3図に至ります。後手からの攻めが続けられそうです。
 しかし戻って△5五香に▲同銀の局面。我が家のAIに教えを乞うたところ△1九角が激痛だと示していました。これは次の一手などにも出てきそうな気持ちいい角打ちですね。冷静にこういった手も見逃さないようにしたいものです。

画像4

続く先手の反撃、凌ぐ後手

第3図以下の指し手
▲8四香 △8三歩 ▲3五歩 △同 歩
▲2八飛 △5八金 ▲4六角 △4七成桂
▲6四角 △5二玉 ▲7二角成△同 金
▲5四歩 △4三金 ▲6五桂 △5四金 (第4図)


 次の▲8四香もハッとする一手。さすがに△同飛とは取りづらいところ。AI君に後で聞いたら取っていいよと素っ気なく返されましたが、私には選べない手です。△8三歩と弱く受けて、次の△5八金がどうだったか。べったりと敵陣に迫りましたが、不要不急の一手だったような気もします。続く▲4六角も勝負手で、▲6四角が分かっていても受けにくい。催促するように△4七成桂としましたが、この辺りは常に△8四歩と香車を取る手があったと思います。仕方のない先受けの△5二玉に、▲7二角成はこう切るものでしょう。ただこれで後手の攻めが切れ模様になったのは幸運でした。対局中はずっと自信がありませんでしたが、△5四金(第4図)が攻め駒を責める受け。この辺りで再び優勢を意識し始めています。

画像5

角打ちから勝ち切って今期2勝目

第4図以下の指し手
▲7三桂成△6四金 ▲7二成桂△4六角
▲8八玉 △6九銀 ▲5八飛 △同成桂
▲7七金打△7八銀成▲同 金 △6九成桂
▲8一成桂△7九角打▲7七玉 △6八角上成
▲同 金 △同角成 ▲8八玉 △7八飛
▲9七玉 △7九馬 ▲8六玉 △7五金打
まで、118手でやきそばの勝ち
(消費時間=▲15分、△15分)

 第4図から▲7三桂成△6四金と一直線の展開。こうなれば飛車を渡す前に手抜けない攻めを続けて後手が勝てそうです。不用意に駒を渡さなければ、飛車を渡した瞬間も詰めろになっていない気がします。逆に言えば、攻めが失敗すれば痛い目に遭うので慎重さが求められます。慎重すぎても勝機を逃すので、本当に将棋というのは恐ろしいゲームですね!
 先手の堅陣に△6九銀とひっかけ、続いて△7九角打を期待に△6九成桂と節約して攻めます。何となく詰みそう!という危険な思考でしたが、△7八飛と打った先で△7五金(打も可)から飛車の効きが通っての詰みを発見することができ、最後は即詰みに打ち取ることができました。ペースを握っているようで落ち着くことのできない、非常にハラハラとした一局でした。

画像6

次戦に向けて


 本局は予定の作戦をぶつけることができました。ただ、予定の局面から先を考えていなかったのは良くなかったですね。細かい折衝ではミスも多かったと思いますが、結果的には形勢を大きく損ねることなく勝つことができました。ただ形勢はよくても手綱を握ったという感覚は全くありませんでした。今回は相手の攻めを受けきる方針だったので当然かもしれませんが、今後は緊張で慎重な手ばかり選ばないようにしたいですね。
 それにしても本局は同時刻に同じB級3組の対局があったはずなのに、観戦者が最大15人くらい来てませんでしたか???見に来てくださった皆さんには改めて御礼申し上げます。ギャラリーの数だけ緊張しますが、観られるのは好きなので(語弊)この調子で頑張ります。
 次回ですが、第3局のお相手はボロネーゼさんです。第1局で角換わりから凄まじい攻めを見せていたのが印象的です。角換わりを教わりたい気持ち半分、そろそろ準備をした上で振り飛車を投入したい気持ち半分。棋譜を拝見させて頂いて、じっくり考えて臨みたいと思います。
 今は将棋界の盛り上がりがすごいですから、指す将順位戦もどんどん盛り上がっていけば良いですね!練習対局なんかも本当に気軽に声をかけて下さい!ここまでお読みいただきありがとうございましたm(__)m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?