将棋自戦記#6~第5期指す将順位戦第6局~vs天GAMIさん

  こんにちは。夏真っ盛りで焦げてしまいそうなやきそばです。指す将順位戦の5回戦を指したのが8月6日(木)のこと。そして本局の天GAMIさんとの対局は8月11日(火)と、一週間足らずで2局とハイペースな進行となりました。対局が終われば「自戦記を書こう!」とnoteを開く習慣ができつつあるのを自覚する今日この頃。早速本局の自戦記をはじめていきましょう!

局前の準備~天GAMIさん編~

 この見出しも恒例になりましたが。ただ本局は詳しく天GAMIさんの棋譜を調べる時間もなく、ざっと流し見程度で準備に臨むことになります。準備期間は1日弱と短かかったですが、天GAMIさんとは以前「晴王戦」というネット大会で対局したことがあり、その経験を活かしていく方針でした。少し脱線しますが、この晴王戦をはじめとしたいわゆる「Twitter棋戦」というものがあります。将棋ウォーズを中心に利用しながら色々な形式の大会に気軽に参加できて、これまたとても良いものです。ただ、24主体で交流や棋力向上を目標にしている指す将順位戦はまた毛色が違うもの。自分なりに区別して臨まなければなりません。そういう意味では天GAMIさんとの対局は別物ですね。そこで改めて戦型を考えていくことになります。
 天GAMIさんは四間飛車と相居飛車の二刀流で戦うオールラウンダーな方。全体的にソツなくこなすバランス型という印象です。しかし、戦型選択にはこだわりを持っている方なので、天GAMIさんの土俵に引き込まれると非常に危険。序盤派だとも力戦派だとも呼ばれる私ですが、イメージとしては以下のような方針で戦う予定でした。

先手番
・▲7六歩△3四歩には▲7五歩から石田流
 →相振り志向には左玉に変化
・▲7六歩△8四歩には▲2六歩から角換わり調の出だし
 →横歩模様には無理やり角換わり
 →一手損角換わりには陽動振り飛車も一考。
後手番
・振って来たら左玉
・振って来なければノーマル三間かゴキゲン中飛車

 ふんわりしていますがこんな感じです。特に後手番は振り飛車に絞って考えていたので、序盤数手の細かい手順までは気にしていません。三間とゴキ中のどっちを選ぶか、という点では最序盤の手が関係してきますが、あくまで振り飛車を中心に角換わりを視野にいれる普段通りのスタイルです。自分の指し慣れた戦型なら力が出るだろうという読み。指し終わってから気づきましたが、本局はついに先手番を貰いました!よって一番シンプルな(?)石田流の対抗形へと進んでいくことになります。

elmo囲いとにらめっこ

第5期指す将順位戦B級3組
令和2年8月11日21時50分
於・将棋倶楽部24 大阪道場「レーティング対局室」
▲やきそば △天GAMIさん(持ち時間各15分、秒読み60秒)
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △4二玉
▲6六歩 △6四歩 ▲7八飛 △6二銀 
▲5八金左△6三銀 ▲4八玉 △3二玉
▲3八玉 △4二銀 ▲2八玉 △8四歩
▲3八銀 △8五歩 ▲7六飛 △3一金
▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7七角 △5一金 ▲6八銀 △6二飛
▲6七銀 △8二飛 ▲5六銀 △8四飛
▲8八角 △8二飛 ▲7七桂 △8四飛
▲9七角 △5四銀(第1図)

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 第1図は何の変哲も無さそうな序盤の図。しかしここにたどり着くまで紆余曲折がありました。相振りではなく対抗形になったことに安堵しつつ、天GAMIさんの作戦選択を見守る私。elmoに囲ってさあ大変!急速に市民権を得ているelmo囲いですが、対峙した回数は少なく急戦でも持久戦でも恐ろしい存在です。特に△6二飛とスイッチして右四間飛車にされると、場合によっては完封負けもあり得ます。本譜も一度▲7七角型を組んでから▲8八角~▲9七角と本組みに戻す非常に不思議な手順。▲7七角型から仕掛ける手が見えず、△5一金型でじっくり行く形なら急な仕掛けも無いだろうと踏んで無理やり組み替えていきました。後手が一人千日手の待機策で飛車を移動させていることを察知し、途中からは間に合うと見ていました。第1図以下の仕掛けが成功したので結果オーライといったところでしょうか。

これにて先手ヨシッ!(現場猫)

第1図以下の指し手
▲7四歩 △同 飛 ▲同 飛 △同 歩
▲6七銀(途中1図)△9五歩 ▲6四角 △7九飛
▲6五桂 △同 銀 ▲同 歩 △7五桂
▲5六銀 △6六歩 ▲8二飛 △6七歩成
▲同 金 △同桂成 ▲同 銀 △7七角成 (第2図)

 ▲7四歩からの開戦はやってみたいところ。対して△同歩なら▲6四角と出て先手好調との読み。△同飛の決戦も読みにはあったもののイメージは2番手で、指された瞬間は先手歓迎。ですが実際強く出られるとelmo囲いを活かされないように戦わねば・・・と警戒する気持ちが芽生えます。飛車交換はもはや捌け形ではなく、攻め合いの諸刃の剣の時代なのかもしれません。その心境が色濃く表れたのが途中1図の銀引きでした。

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 代えて▲6四角と出るのが自然な一手。水匠も推奨する(激うまギャグ)石田流らしい指し回し。しかし続いて△6六角から攻め合いが心配で、角を使わせない狙いで銀を引きました。飛車の打ち合いで遅れてしまう展開なので疑問手感は否めません。▲6四角△6六角には▲6五桂△同銀▲同銀で十分勝負になりますし、▲7八歩と桂馬取りを受ける手もあったようです。本譜は手順に▲6四角と出られたため先手も指せる形に持ち込めました。

 その後は飛車の打ち込みこそ先行されましたが、変化にもあった▲6五桂が手順に実現。△7五桂~△6六歩もまだ時間はかかりそうで、▲8二飛と打ち込んで先手ヨシッ!と指さし確認な気分でした。ですが△6七歩成に▲同金と飛び込んだのが悪手で形勢を損ねます。▲同銀△同桂成▲同金は金が浮く状態なのがイヤ。銀が残れば▲5八銀と引く余地があり味が良い!とい理屈でした。しかし今冷静に金が残る展開の図を見てみるとこれで全然大丈夫だったような気がします。本譜は△7七角成と銀取りをかけられ忙しくなってしまいます。この辺りの判断は要反省ですね!ご安全に!

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苦心の攻防

第2図以下の指し手
▲5八銀打△4四馬 ▲8一飛成△9九飛成
▲9一龍 △9六龍 ▲4六香(途中2図)△5四馬
▲7三角成△6二歩 ▲7四馬 △8七龍
▲5六銀 △8九龍 ▲6六桂 △6三馬
▲同 馬 △同 歩 ▲5四桂打△同 歩
▲同 桂 △4八金(第3図)

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 ▲5八銀打とがっちり数を足したものの、後手から△6七馬など怖い筋が多く、劣勢を意識するところでした。ですが本譜は△4四馬と引き上げる手がありこちらにも手番が回ることになります。桂香を拾って▲4六香と打ち込んだ途中2図はさすがに先手良しだと思いたいのですが、なかなかelmo囲いを崩す手段が見当たりません。途中2図以下△5四馬▲7三角成△6二歩の局面で▲2六桂が我が家のソフトの推奨手。しかし対局中は▲3四桂と活用しても崩しきれるビジョンが見えず、断念してしまいます。elmoというよりは、舟囲い崩しの手筋を勉強する必要がありそうです。
 そこからも攻めの見通しが立たず、▲5六銀は当初▲4五銀~▲3四銀と香車を拠点にガリガリ行く狙い。しかし▲6六桂~▲5四桂打の手順が見え方針変更。馬を追いかけたうえで桂馬をつかってelmo囲いに手を付けて行くことにしました。しかしこの▲5四桂打が実際には悪手だったようで、代えて▲5五桂の方が玉頭を攻めて味良い攻めだったとのこと。攻め一方の▲5四同桂に△4八金(第3図)が厳しい反撃で、再び攻めのターンが天GAMIさんに移ってしまいました。

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湯切りの如く攻めを切らせるか。

第3図以下の指し手
▲4二桂成△同金右 ▲3九銀 △1五歩
▲4八銀 △1六歩 ▲1八歩 △2五桂
▲2六歩(途中3図) △1七歩成▲同 歩 △同桂成
▲同 桂 △1六桂 ▲2七玉 △4九龍
▲同銀左 △5四角 ▲3六歩 △3五香
▲4五香 △2八金 ▲3七玉 △5五歩(第4図)

 △4八金はかなりうるさい攻め。角を持たれている以上下手なことをすれば先手玉はあっという間に寄ってしまいます。受け方にひたすら苦労し、一旦▲4二桂成を挟みつつ秒読みまで入って▲3九銀を決断。ガリガリと攻めが続きそうですがそれでも背に腹は代えられません。続いて△1五歩から端を詰められ△2五桂と殺到を見せられます。こちらは▲4八銀で金の回収にこそ成功しましたが、とにかく玉が狭く怖い形。どうにかハッチを開けようと強く▲2六歩と突きだします。

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 龍切りを入れたり入れなかったりで△1七角とぶちこまれるような手が心底怖かったですが、本譜は軽く△1七歩成から攻めを決行。これもまた生きた心地がしません。ただ、△1六桂と打ち込まれた辺りで後手の攻めを切らす順がありそうだと思い始めます。△5四角に▲3六歩で受けたのがその一環で、△同角には▲3七玉で寄っていないという読み。△3五香も怖い手ですが▲4五香が玉の脱出ルートも兼ねて非常に味が良く、この辺りで形勢の好転を意識しました。

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連敗を3で止める。

第4図以下の指し手
▲8一飛 △4一金寄▲5三桂 △3八金
▲同 銀 △5二銀 ▲4一桂成△同 金
▲5三金 △5六歩 ▲5二金 △3六香
▲4六玉 △3五銀 ▲5六玉 △3三玉
▲4一飛成△3八香成▲3一龍 △2四玉
▲2五金
まで、125手でやきそばの勝ち
(消費時間=▲15分、△15分)

 第4図で手番がこちらに移り、二枚飛車から攻めていきます。▲5三金の打ち込みで勝ちを意識しましたが、直後の局面では詰みがあったようです。(▲4一桂成に代えて、▲4一飛成△同銀▲同龍を△同玉では頭金のため、玉を逃げるしかなく王手が続き詰み)
 しかし上述手順の▲4一同龍が見えず、▲5二金と少し緩い手を指すことになりました。△3三玉の局面も即詰みはありそうですが、やはり手堅く▲3一龍。ある程度自玉の安全が保持できるなら、無理に詰まさない方が自分の棋風には合っていますね。最後は確実な詰み手順を選んで勝ち切ることができました。

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改めて振り返り。次戦に向けて。

 本局は一番指し慣れた石田流で戦うことができました。失着はいくつかあったものの、思考放棄をすることなく手を組み立てて勝つことができたので、内容にも十分満足しています。ただ、普段の対局からもっと頭を回しておけば、このような大事な対局での読みの精度もぐっとよくなるはずです。レートを溶かす日々に終わりはありませんが、普段の将棋こそ15人くらいに見られている感覚で指さなければいけませんね。
 これで星取りも3勝3敗のタイに戻すことができました。昇級戦線からどんどん後退しつつあった私ですが、3敗をしばらくキープできるなら再び日の目を見るときが来るかもしれません。折り返してこれで残り5局。ベストの5連勝が理想ですが、目標は4勝1敗(7-4)といったところです。指し分けの自分にそんなパフォーマンスができるか怪しい・・・!棋力向上の結果としてそんな白星が集まるような未来があれば、嬉しいですね。
 次局のお相手はk2lowさんです。実はあまりk2lowさんの情報は手元になく、これからゆっくり棋譜などを調べていくことになりそうです。勝ち越しを賭けた非常に大事な一戦(11局全部非常に大事)になりますので、次までにいい充電期間を作ることができればいいなと思う次第です!今回も長々と書いてしまいましたがこの辺で!毎度の拙文をお読みいただきましてありがとうございました。

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