将棋自戦記#7~第5期指す将順位戦第7局~vs k2lowさん

 みなさんこんにちは!気が付けば8月が終わるなんて信じたくない今日この頃。やきそばです。昨日の8月29日に行われた指す将順位戦第7回戦の自戦記を書いていきます。毎度の拙文を読んで下さる皆様に感謝しつつ・・・少しでも文章をお楽しみ頂ければ嬉しいなとも思います!

局前の準備~k2lowさん編~

 5回戦・6回戦を短期間で指した後、日程調整には幾分の余裕があり本局までの時間は比較的ゆっくり過ごすことができていました。k2lowさんについては何となく振り飛車党(四間飛車党?)という情報をキャッチしており、序中盤は羽生の頭脳で四間飛車vs急戦のお勉強。終盤は5手詰ハンドブックで脳みその筋トレを行っていました。
 しばらく経ってから、本腰を入れて対策に取り掛かることに。今期の前半の白星は、初手からの手順を分析から戦型予想をする手法でもぎとってきました。ですが黒星先行となり、苦戦する中で振り飛車党相手にはあまり効果が無いのではということに気づきます。そこで今回は駒組みの手順にはこだわらず、単純に先後と戦型だけを分析して作戦を考えることにしました。
 k2lowさんの直近2-3か月分の棋譜を拝見して分かったこと、それはk2lowさんが「対抗系党よりの四間飛車党」だということでした!四間飛車という戦法はメジャーですから、当然対策も急戦・持久戦と実にバリエーションが豊かです。それでいてk2lowさんはほとんどの戦型で勝ち越し!付け焼刃の急戦では対応されてしまいそうだという事がわかりました。そのうえ相振り・対抗形(居飛車)も両方指すタイプと来ました。どちらかが勝率が低い…という感じもなく、まさにソツなく指しこなす方という印象。それでも自分の土俵に持ち込めそうな戦型を探し、以下のように作戦を決めました。

自分が先手番のとき
・▲7六歩に△3四歩なら石田流→端を詰められたら棺桶美濃で頑張る
・▲7六歩に△8四歩なら先手中飛車
自分が後手番のとき
・k2lowさんが▲7六歩→▲6六歩から振り飛車なら左玉
・k2lowさんが▲2六歩→▲2五歩なら力戦覚悟で相居飛車
・k2lowさんが▲7六歩→▲2六歩ならゴキゲン中飛車

 内容的には普段と大きな違いはありません。四間飛車vs急戦の戦型を如何に避けるかを考えた結果でもありましたが、気になる点があったのも事実です。というのも前節の第6回戦でk2lowさんは対早石田のオープニングを経験したばかり。私が石田流を指すことが認知され、対策を練られている可能性は十分ありえます。ですが私が居飛車を持つ対抗形を避けるためには、上記の戦型選択しかないと見ていました。結果的に本局は後手番(これで6局中5局!)を引くことに。やはりこの準備段階の不安と期待が楽しいですね!

ウキウキなゴキゲン中飛車

第5期指す将順位戦B級3組 7回戦
令和2年6月29日22時
於・将棋倶楽部24 大阪道場「レーティング対局室」
▲k2low △やきそば(持ち時間各15分、秒読み60秒)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩
▲2五歩 △5二飛 ▲4八銀 △5五歩
▲6八玉 △3三角 ▲5八金右△4二銀
▲7八玉 △6二玉 ▲7七角 △7二玉
▲8八玉 △8二玉 ▲6六歩 △7二銀
▲6七金 △5四飛 ▲7八金 △5二金左
▲9八香 △3五歩 ▲9九玉 △3四飛
▲1六歩 △9四歩 ▲8八銀 △5三銀(第1図)

 22時に対局開始。後手番になったのを確認して2手目に△3四歩、4手目に△5四歩と少し確かめるように着手しました。k2lowさんは対中飛車においては穴熊を採用されるイメージ。本局も予想していた通りの穴熊になりました。さて私は今期3局目となる穴熊でしたが、▲6七金を見届けてから△5四飛と浮いたのが最初のターニングポイント。中飛車から穴熊へ組み替えを好む私ですが、組み替え方は2パターン。本譜のように△5四飛~△3五歩~△3四飛とするルートと、△3二飛と回ってから角を引き、△3五歩から3筋の歩交換を入れつつ組み替えるルート。後者は3回戦のボロネーゼさんとの対局で採用しましたね。そのときにも、1回戦のとよしさんとの対局でも(先後は逆ですが)前者のルートを視野に入れていたのですが、本局でようやく浮き飛車パターンを採用するに至りました。穴熊に組ませつつ△5三銀と上がった第1図では、十分経験がある形で気分的に指しやすさを感じていました。

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やっぱり中盤はわからない!

第1図以下の指し手
▲2六飛 △4四角 ▲4六飛 △3三桂
▲5六歩 △5四銀(途中1図) ▲8六角 △2五桂
▲5五歩 △同 銀 ▲2六飛 △3六歩
▲2五飛 △2四飛 ▲同 飛 △同 歩
▲5七銀 △5六歩 ▲6八銀 △2八飛(第2図)

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 途中1図は△5四銀と上がったところ。直前の▲5六歩への対応が分からず、約2分半かけて選択した銀上がりですがこれがどうだったか。5三の地点がわかりやすくキズになってしまううえ、本譜の▲8六角の覗きが発生してしまうのがとても気になりました。とはいえ△同歩ともしづらく、この銀出は仕方のないことだったかもしれません。結果的には続く▲8六角に△2五桂と跳ねたのが悪手だったようです!▲3一角成を先受けしていて個人的には味が良い手だと思っていましたが、跳ねた桂馬の働きが悪いのがやはり良くなさそう。代えて正着は△3六歩だったそうで(AI調べ)▲同歩や手抜きには△4五銀、▲同飛からは飛車交換があったとのこと。なるほど!これは見えませんでした!
本譜は桂と歩の交換で駒損しつつも△2八飛と先着してなんとか戦えるかなといったところ。石田流に組み替えた時点に比べて差が縮まったなと少し焦っていました。

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自己主張を強く

第2図以下の指し手
▲1七桂 △3七歩成▲5四歩 △4七と
▲4五桂 △5七歩成(途中2図)
▲5三歩成△5一金引▲6三と △6七と
▲7二と △同 金 ▲6七金 △5八と(第3図)

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 第2図から3分弱の長考を挟んでk2lowさんは▲1七桂と逃げます。桂馬を拾われないようにした手ですが、ここでは△3七歩成とと金を作って攻める手段がありました。以下▲5四歩~▲4五桂の攻め筋は迫力満点ですが、構わず△5七歩成!と飛び込んだのが個人的には自慢の手順!感想戦では▲1七桂の局面で▲5四歩からの攻め筋を実現させれば一手早かったという話になりました。
 本譜は続く▲5三歩成の踏み込みに△5一金引とかわすのが指のしなる一手(クリックですが!)。と金攻めを続けて△5八とと入った第3図は後手の△5一金型が攻めづらく後手良しの判断。このままどうにか穴熊を攻め切りたいところでした。

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縮まる形勢、伸びる背筋

第3図以下の指し手
▲3一飛 △6八と ▲同 金 △4一金打
▲3九飛成△2七飛成▲5三桂成△6七歩
▲7八金 △3八歩 ▲4九龍 △6六銀
▲6三銀 △7一金(途中3図) ▲4四龍 △同 歩
▲5二歩 △6一金左▲6二角 △5八飛
▲7一角成△同 金 ▲6九金 △7八飛成
▲同 金 △6九銀 ▲7九金 △6八歩成 (第4図)

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 第3図から▲3一飛の攻めを見落としていた私はここで対応に苦慮。△6八と~△4一金打に合計3分ほど消費します。▲3九飛成と自陣龍を作られてからははっきりとした攻めを見繕うことができず、どんどん形勢が縮まるのを肌で感じていました。先手も▲5三桂成が間に合い、▲6三銀には△7一金(途中3図)と必死の粘り。一段金は好形と聞きますが、底に3枚も張り付いた形は滅多にお目にかかれませんね!
 反省点としては途中3図直前の△6六銀がやはり感触の悪い手で、代えて△2八龍と入って次の△3九歩成を見せるのが良かったそうです。続けて▲4四龍と飛車角交換から来る追撃をなんとか耐えつつ、△5八飛に期待を懸けますが▲6九金がまた好防の一手。たまらず飛車を切って△6九銀~△6八歩成と畳みかけます。(第4図)
 これでいつでも▲7二飛といった強手が発生するようになってしまい、失敗が許されない空気が盤上を漂っていました。この辺りで冷静になろうとする一心で椅子に座り直し、背筋を伸ばしていたのを思い出します。落ち着きがありませんね!

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追撃を見切って4勝目

第4図以下の指し手
▲6九金 △同 と ▲6二銀不成△7二金打
▲7一銀不成△同 金 ▲6二銀 △7八金(途中4図)
▲7一銀不成△9三玉 ▲6二飛 △8八金
▲同 玉 △7九銀 ▲7八玉 △6七龍
まで110手でやきそばの勝ち
(消費時間=▲15分、△15分)

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 k2lowさんが秒読み一杯まで考えて選んだ手は▲6九金!こちらを取ってくれるならと△同と、で迫ります。代えて▲同金△同との手順が感想戦で検討されましたが、はっきりとした手順は見つかりませんでした。以下は▲6二銀不成から追撃が来て寄せられる展開も覚悟。本譜は▲6二銀と再度打った局面で先手に斜め駒が無い事に気づき、これ以上の攻めがないとみて途中4図の△7八金と詰めろをかけることができました。この見切りは我ながら冷静に指せたと思います。最後は即詰みの局面まで指し切ってk2lowさんが投了、どうにか勝ち切ることができました。

振り返りと、次局に向けて

 本局は自分の指しやすい展開に持ち込んで指すことができました。今期の中飛車採用局ではいずれも捌きに失敗したところがあったので、しっかり飛車を捌いて穴熊相手に攻撃を仕掛けることができた点は良かったと思います。一方で有利を感じてからの手の選択が曖昧で、中盤が反省点だと言えます。速度計算を意識しながら、もっと広く深く読めるようになりたいですね。また本局は事前準備の方式を少し変えましたが、それも功を奏したと思います。相手の棋風や戦型選択をある程度知ったうえで、詳しい分析の手法を決めていくということが今後は必要になるかもしれません。ですがそろそろ事前準備にコストをかける余裕も無くなって来た気がします。果たして残り4局を走り切ることはできるのでしょうか・・・!?
 今期の星取りはこれで4勝3敗と勝ち越しに転じました。2連勝、3連敗、2連勝。日本シリーズや七番勝負ならこれで勝ちが決まるのですが、昇級レースだと1つ勝ち越しただけでは全然届きませんね・・・!星が伸びるのに期待して、変わらず詰将棋や棋譜並べなどやっていくことができればなと思います。一時期下がっていた(?)モチベーションも復調気味で、勉強時間をもうちょっと確保しながら棋力向上に努めることができればいいなと思うばかりです。こればっかりはサボり癖が治らないですね!まあ趣味である以上自分のやりたいようにやるのが健康的ですが!
 次節まではもう少し期間がありますが、次の対局相手は動点Pさん。この方とも別のネット大会で指した経験があります。ただそのときは切れ負けの将棋だったこともあり、まだまだ動点Pさんの全貌には触れられていません。準備の工夫は忘れずに、自分らしく楽しく指すことができれば一番ですね!また頑張っていこうと思います!長文駄文が続きますが、今期を完走するまでどうぞお付き合い頂ければ幸いです!今回もありがとうございました!!

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