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NEWS「円安2」

l  現状

円安に歯止めが掛からない。為替介入が実施され一時は$1=¥140台まで円高になったものの現状では150円を近辺に近づいている。当初は円安は是認していた経済界からも急速な円安に対する危機感や見通しの不安定さを懸念する声が上がっている。また、日銀の黒田東彦総裁や鈴木俊一財務大臣からも急速な円安を懸念する旨の発言があった。為替は一般論として経済状況から生じる需給や金利差などを反映して決まるとされる。しかし、円安が始まった頃は上記の条件からであったかもしてないが、現状としてはこれらだけでなく投機筋からの影響もあり為替相場としては不健全な状態に陥っている。日銀としては現在の金融政策を変更する予定はないため当面は円安が進行する公算が大きい。

l  実感

皆さんの生活は年初に比べて厳しいものとなっているに違いない。年初は$1=¥115程度であったが、現状では150円近辺で推移している。年初から今日まで(YTD)では30%近くも円安が進行したことになる。日本はこれに加えて、ガソリン価格の上昇もあり家計はかなり圧迫されている。家計における食材や日常品などに対する支出は10~20%程度増加しているのではないだろうか。
一方で、特に輸出企業を中心に円安を追い風に前年比で利益が増加している企業もある。例えば、ユニクロやGUなどを展開するファーストリテイリング過去最高益を達成している。他にも過去最高益に迫る企業は多く存在し、これは政府の税収を助ける可能性がある。岸田総理は円安メリットを生かす企業を支援すると表明したが、構造的には円安で恩恵を受ける側より損を被る側が多いためピンぼけ政策である。
 

l  円安動機

ここまで円安が進行する原因として、各国の利上げが挙げられている。世界各国ではコロナ禍からの急速な回復による経済の過熱や物流の混乱のみならずロシアのウクライナ侵攻等により急激なインフレが発生し中央銀行はこれを沈めるために積極的に利上げを敢行している。これによりドルを調達する動機が強まり円売りを加速させた。現に日本の貿易収支の赤字幅は拡大の一途を辿っている。また、諸外国に比べて日本はコロナ禍からの回復が遅れていることも一因である。
対米ドルに対する円安が報道では取り上げられているが、他にもカナダドルやユーロ、ポンドに対しても円安が進行している。最近では為替介入が行われ市場に対して牽制をした様に見えるが、功を奏すかを判断するには少し時間がかかりそうだ。

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