NEWS「動く菅前総理」
● 活発な動静
この記事を読んで頂いているということは皆様の政治に対する関心は高いと拝察します。そしてそんな皆様の中には最近、菅義偉前総理の活動が活発化していることをご存知の方も多いでしょう。総理を辞任して以降は無役を貫き更には自身に近い議員を中心とした勉強会を立ち上げることも拒んできた。この様に総理経験者としてその行動に注目が集まるのを理解して表立った動きは示してこなかった。一方で、メディア出演や国内外の視察を行っており永田町の外での活動が多くなっていた。その菅前総理が年明けより岸田政権に対して苦言を呈する機会が増えている。
● 岸田総理批判
国内外の視察の際に行われる会見の中で岸田総理に対する発言が物議を醸している。1月10日のベトナムのハノイでの発言が特に注目されている。そこで記者団に対して「派閥の意向が優先され国民の声が届きにくくなっている」と述べた。背景にあるのは岸田総理が未だに派閥を離れていないということである。自民党では総理の座に就くと派閥を一旦離れるという慣例がある。安倍元総理も総理に就任した際には自身の派閥である清和会を離れた経緯がある(菅前総理は元々派閥に属していない)。
また、18日にはラジオ日本で「国政選挙で公約したことを実現していくことが大事」と発言した。この発言は物価上昇に対する支援が不十分であることが背景にあると考えられる。
菅前総理は総理を辞任して以降、表立って現政権に対する評価をしてこなかった。しかし、岸田内閣の支持率が低空飛行している中で飛び出したこの発言に永田町では「岸田おろし」が始まったのでは無いかとの憶測が広がった。
● 思惑
今回の発言では様々の憶測が広がったが。私の見立てとしては菅前総理の性格が出てしまったと考える。河野太郎氏によれば菅前総理の性格は「せっかち」なところがあるそうだ。朝に指示した内容の進捗状況をその日の夕刻に質問してくるらしい。この様に自分の気になっている事柄については感情が先走ってしまう傾向がある。今回の発言も岸田総理が派閥を受けていないことを予てから内々に気にしていたことが表出してしまったのであろう。合わせて年末には防衛増税が世間を賑わせた。
この様に総裁選に出馬した時とは異なる岸田総理の姿に喝を入れる目的で発言したと思われる。菅政権は短命政権であったが、国民が直に恩恵を受けられる政策を多く実行してきた実績があり菅前総理もそれを自負にしている。岸田総理になって以降、多くの課題が遅々として進まない現状にある種の苛立ちを覚えていた可能性はあるが、永田町界隈で広がる「岸田おろし」は間違っていると思う。
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