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NEWS「波紋を呼ぶ”禁断の移籍”」

● 経緯

政界では岐阜県のある人物を巡りちょっとした騒動になっている。今井瑠々(るる)氏である。立憲民主党岐阜県総支部長を務めていた今井氏が突然、自民党への“移籍”を表明したのである。政策軸で言えば相対する政党に鞍替えしたのだから、野球で言うところの巨人から阪神へ移籍といったとこであろう。
 泡沫候補ならここまで注目されなかったであろうが、今井氏は先の衆議院選挙で全国最年少の出馬となっただけでなく、同じ選挙区出身の古屋圭司氏に惜敗率83%と肉薄し多治見市では古屋氏よりも多くの票を獲得した。言わば立憲民主党の期待の星が突然、鞍替えしたのだから永田町界隈は騒然としたのである。

● 移籍の賛否

禁断の移籍とも言える今回の鞍替えであるが、立憲民主党の関係者からは非難轟々である。立憲民主党側は離党届を受理することなく除籍処分を付したが、政策活動費の返還については「良識のある判断を」程度に留めた。一方で自民党としては、好敵手を懐柔出来たことで当面の脅威は去ったと同時に立憲民主党に対して打撃を与えることに成功した。
私見としては、現状の立憲民主党の魅力を鑑みると致し方ない。立憲民主党の支持率は自民党に大きく後塵を拝している。民主党が政権を失って以降、良いとこなしで来ている。節操が無いと言えばそうであるが、将来を考えた時に立憲民主党よりも自民党に所属した方がメリットが大きいと考えても無理は無い。但し、立憲民主党の看板を掲げながら水面下では自民党入りを画策していたとなると投票してくれた人や支援者に対して筋が通らない。また、党に対する事前の断りもないところは人として何か欠けている気がする。

● ジレンマ

この移籍は野党でいることのジレンマを孕んでいる。実際、民主党系の議員が自民党に鞍替えした例は多くある。現在、総務大臣である松本剛明氏や静岡県選出の細野豪志氏などである。鞍替えの主たる理由は自分の政策実現のためである。確かに、同じ理想を持ち政治哲学が近しい人たちの集合体が政党であり、2009年の様に政権交代を出来たら最高の形である。しかし、現状として政権交代の可能性は低いため理想が高くとも政権与党でなければその理想を具現化できない。
 自民党は2009年に下野した。結党以来、権力に全く手の届かない場所に落とされた(細川政権時代は議会第1党であった)。自民党議員はこの当時を苦々しく語っている。自分達がやりたい事がやれない苦しさを存分に味わった。この経験が今の自民党の政権運営に反映されている。まだ若い今井氏にとって野党にいることのジレンマを克服するためには鞍替えしかなかったのかもしれない。

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