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新しい朝が来た

「最後のログインから28時間です。心配していました。」

ああ、余計なお世話だなぁ。と思いながらふと思い出したようにスキャナーを立ち上げる日々。ここは初めて通る道だから、きっとUPCを稼げるだろう。

12/7はMDが各地で行われた。千葉とか、なんか西の方でとか、いろんな場所でだ。羨ましい。僕はこの日、有給の申請を出したにも関わらず却下され、午前休のみとなってしまった。

午前休を潰して訪れた場所は病院である。

内科医から一ヶ月前に受けた血液検査の結果を受け取る。数値は概ね改善していた。Ingressって痩せるゲームだったはずなんだけどなぁ。ゲームを始めた6年前から比べると10kg近く太ってしまったのだ。理由は、運動すると米がより美味しく感じられることと、仲間と飲む酒が美味いからだ。

Ingressを始めてからというもの、もともと薄かった地元の友人、所謂ツレ(ごめん初めてこの言葉使ったわ) との関係が完全に薄れて無くなっていった。

ソロで遊んでいた半年間を除いて、かれこれ五年以上付き合いにもなるエージェントたち。僕は未だに彼らの本名を知らない。

ありがたいことに、方々からの忘年会のお誘いを受ける。体が一つでは足りない。そして肝臓の数値が気になる。尿酸値も高い。「何故痛みが出ないのか」と医者に首を傾げられ、実家の母には「50で透析だぞ」と脅されているのだ。無理はできない。


………………身もふたもない話でだいぶ文字数を使ってしまった気がする。

Ingressが7周年を迎え、始めた頃からは予想もしなかったことが次々と起きる。

スキャナーは様変わりし、強くてニューゲームモードが生まれ、アノマリーは半死半生。Google+が消えて、コミュニティは古き良きインターネットに輪廻する。人々は出会い、つがいとなり、そろそろ子を授かっているところもあるだろう。

クソっ、なんて世界だ。

そんな変化に揺れる我々エージェントたちの中にも揺るぎないものはある。あの時から細々と続くコミュニティの繋がり。普通に生きてては見られなかった景色。ポータルがなければ近づかなかった寺、島、山、記念碑の意味なんて知る由もなかっただろう。

我々は探求者として、これから先も活動していく。知らない街の、思いもよらない場所に照準を定めながら、まだ見ぬ美味いものに想いを馳せるのだ。

変わらない我々の試み

ゲームの中期を過ぎた頃、誰もが頭を悩ませる事はなんだろうか。と問うと、コミュニティに所属している人々は口を揃えてこう言う。

「新人がいねぇ!」

仮に居たとしてもすぐ辞めてしまうのだ。

せめてアノマリーまでいて欲しい…あの熱い戦いを体験したら早々やめられなくなるはず…とは思うのだが、そもそもそこまで熱心でないユーザーが遠い場所まで足を運ぶのは稀だろう。

我々の使命は、そこにある精神的な障壁を少しでも取り払う事であり、首に縄をかけて現地に引っ張る事ではないはずだ。初参加者をリピーターに。リピーターを常連さんに変えていく努力が必要なのだ。では、その実現に何が必要な要素はなんなのか。個人的に考えていることを文字に起こしてみよう。

成功体験>>>>>疑問解消>>>貢献意識>>帰属意識

というところだろうか。

帰属意識と貢献意識をすでに持っているエージェントは放っておいても地元のコミュニティが誘って吸い上げてくれるので大丈夫。問題なのは「何をしていいかわからないと言う人達」なのだ。

そういう人立たちに対するケアが一番大変だし、やりがいがある。なによりも彼らに成功体験を積んでもらうためにあれやこれやと考えることがとても楽しい。

ただ、ぶっちゃけてしまうと、実はアノマリーにおいては勝ちも負けも成功体験に結びつけうる出来事に過ぎないんだよなぁという思いがあるのは事実。要はその後の処理なのだ。タダでは転ばないという気持ちが重要であるし(勝つに越したことはないよ)、もっと言えばアノマリーに限ってだが、勝負の前に経験する出来事の方が初参加者にとっては重要なのかもしれないと思っている。

ま、詳しくは書けないんだけどね。聞きたい人は飲み会に誘ってねw

ゴチャゴチャ書いてますが、一人でも多くの人に楽しんでもらえるように、僕は参加者に対する敷居を少しでも取り除こうと考えている。僕のいるステージは完全にそこなんだよ。

これはきっと、このゲームが終わるまで続くだろうし、終わってからも僕の心に残り続ける財産になるだろう。詳しいことは陣営の秘密に触れることになるので言えないけれど、できればレジスタンスの面々にも同じように頑張って欲しいし、あちらはあちらでやっていることがあるだろうからどんなことをしているか知りたいと言う気持ちが強い。 きっとそれぞれが何らかの想いを持って活動を行なっているのだ。

いつか全て話せる日が来るといいなと思いつつ、僕はまた数時間ぶりにスキャナを開くのだった。また遊ぼうね、みんな。


本投稿は、Ingress Advent calendar2019 ( https://adventar.org/calendars/4696 )に寄稿するための記事です。よかったらリンク先にも記事があるのでご覧ください。



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