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ダンゴムシはしばかなくて良い

こどもたちがピクミンをやっている。
長男がいろいろと指示を出しているのを聞いていると、「ダンゴムシはもう死んでるから。しばかんでエエ」といったあたりでエッと思った。

以前モンゴルへ行った話を書いたが、そのとき、100名弱の参加者のうち、京都のスクールをメインにした子供たちが7割、福岡が2割、東京、その他が計1割、くらいの編成だったように記憶している。

京都といいつつ、大阪の子も多かった。そんなわけで、気質もあり、関西のイントネーションが飛び交う道中であったのだが、
あるとき、「関西の子スゲー怖い」と思われていたことがわかった。
「しばくぞ」と言われるのがめちゃくちゃ怖い、と。

関西地方の方言に慣れていないと(あと純京都人、市中の上京区ど真ん中生まれ育ちの子も密かにそう思っていたらしい)「しばくぞ」=殺すぞくらいの意味に聞こえていたようで……

ダウンタウンが東京に進出して以降、関西弁、といいつつ彼ら芸人さんが操るのは大阪でも南部のほうをベースとし、かつさまざまな要素がミックスされた「大阪の芸人ことば」とでも言うようなものであるが、昔ほどは関西弁に対し、偏見やアレルギーは減っている。

が、まだその頃、三十年近く前というのはどちらかというと関西弁はガラが悪く、計算高いようなあまりよくないイメージでとらえられていたように思う。

それに、関西はポンポンとやりとりしないとリズムが悪い、リズムが悪いのはエレガントでは無いような雰囲気がある。
関西の子がいつものようにぱぱっとまくしたてるのに、関西以外から来た子がどう対応しようか、とっさに考える間、口籠ったときに、関西の子が一瞬戸惑うのも「ちょっと怖い」と思う一因だったのかなとも思う。

勝手のわからぬ海外で寝食をともにするうちに、すっかり距離感も縮んで仲良くはなったものの、どうしても違和感が残ったのがこの「しばく」というワードだったようで。

関西人としては、軽く「まったくもー、このおちゃめさん☆」くらいでも使う「しばくぞ」。
照れ隠しで言う場合もある(男性が照れながら言う「しばくぞ」はかわいい)。

その「しばくぞ」が、関西弁話者の母から生まれ、バイリンガルに育てようとしたが、夫や祖母仕込みのおっとりした東京イントネーションしか話せない息子から出た……!
何故!?

疑問はかんたんに解決した。よゐこの配信である。
息子はよゐこやすゑひろがりずの配信を聞いているうちに、耳馴染みのいい関西弁をマスターしていたのだ。
まずは歯切れのいい罵倒から……!

私の理想は、「そんなんあかんよー」とか、たしなめたりするとき(要は、かまってくれるとき)だけ、やさしく関西弁になるバイリンガルだった。
そんな子もてると思わん?思わんか?あかんか?

しかし……まあ、そうよな……子供はテンポのいい言葉から学習してしまうよな………

そんなわけで、ゲームのときだけ、
「あかん!あかんて!」
とか、よゐこの語彙でのみ話せる関西弁バイリンガルが爆誕した我が家だった。

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