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木の芽時

春は体調不良の季節だ。

亡き祖母も、具合を悪くして寝込むのはだいたい春で、母が「木の芽時はアカンていうねん」と言うので「木の芽時」という言葉を覚えた。

さて私は先日、スマホパッカーン事件により分離した、画面と本体をセロテープで繋いだ機体から、晴れて新しいスマホを手に入れた。

SamuraiRei2というハイパーマイナー機種から、書院ぶりのSHARPユーザーだ。うれしい。

いそいそと機種変更の手続きなどをし、Wifi経由ですべてのアプリが新しいスマホに引っ越ししているのを見つけて、テクノロジーの進化すごいなと思っていたら、NEWなほうのスマホから音が鳴った。

音が。

なんの音かはわからん。

シムは差し替えたので電話なのだろうが、トップ画面に何も表示されない。会社の電話でもなさそうだ(アプリ経由で電話が取れるようになっている)。

こういう時に加齢を感じる。電話であろうと思うが、着信画面にならないし番号も出ない。一回取ったらしつこくかかってくる勧誘とか、心の準備のいる電話だったら怖い。いやだなーいやだなーと稲川淳二風につぶやきながら、アプリ一覧を出して電話のマークをタップしたら、意外にも小学校の保健室からの着電で、娘が嘔吐したための回収要請であった。おおお。

息子が日曜に熱を出してはいたが、ふろ上がりにパンイチもしくは全裸で徘徊した上に、夏のパジャマを着て布団をかぶらずに寝ていたからでは、という結論で、月曜は念のため様子見したが、今日は元気に保育園へ行っている。

次男は嘔吐下痢的な雰囲気ではなかったけど、珍しく、気持ち悪いといって夜中に数度起き上がったため、ペットシーツを敷き詰めてびくびくしながら寝たので、それがうつったのかもしれない。いや、たぶんそれ。

保健室はいま、体調不良の子を二人同じ部屋に入れる対応をしていないので、ほかに体調不良の生徒が出ると迷惑がかかる。早く行かねば。
嘔吐のかかったものを回収するためのビニール袋とタオル、新しい上着、そのまま通院が必要になったときのために財布とお薬手帳とスマホをトートバッグに放り込み、浴室に汚れ物をハイターするための桶を押し込み、浴室温風をセットしてあたため、洗濯機を空にし、自転車に飛び乗って小学校へ行った。

体操着に着替えた娘は蒼白な顔をして保健室のソファに座り、借り物のフリースを羽織って座っていた。

「ふだんの様子とどう違うかはわからないのですが、とにかくいきなり吐いたので、おなかを打ったとか、給食とかが原因ではないと思うんですよ」優し気な保健室の先生に言われて顔を見ると、表情がない。これはまだ気分が悪い時特有の顔だ。第二波あるかもなあ~。

いざというときの袋をかまえさせながら、汚れ物とランドセルを回収し、さっさと引き上げて、ふろ場でシャワーを浴びさせた。

だんだん元気になってくる娘。大丈夫か。

ちょっとはらはらしながら寝かせて、汚れ物をぜんぶ洗い、洗濯機に放り込むころには、ポケモンを見てニコニコしている。吐いたら楽になったやつかー。助かった。
昼もうどんを完食、一応ドキドキしながら経過は見守ったが、おやつも食べて具合が悪くなるようでもない。
まったく病人ぽくない。
ほっとして詰みあがった仕事を片付けながら、こんなことでも成長を感じるのであった。

なにしろもっと幼いころは、保育園から呼び出しがあると、数日は仕事を休まねばならなかったので……。

だいたいは発熱、それがおさまると鼻水、そこから副鼻腔炎や中耳炎。娘はRSで入院しかけたあとは肺が弱り、吸入を自宅でもし続けていたし、おととしの年末も肺炎になって救急へ駆け込んだ。

次男もRSで入院したが、娘ほどは引っ張らなかった。いまさら考えても仕方のないことだが、娘に入院の選択肢があったときにそちらを選んでおけば、数日は集中して手厚くケアしてもらえて、ここまで後遺症を引きずらなかったのではなどと思う。長男も幼く、娘に付き添って自分も入院してしまうと家族が回らないという考えのほうが、自分ひとりで背負い込んでしまっていたのでは。とか。

そんなことをつらつらと考えながら、ああ、いつ会社に行けるんだろう、と思っていた日々を過去にできたんだなと思った。

さて以下はおばちゃんの余計なおせっかいです。病児が発生した場合の話。

いま保育園でも発熱ブームの時期かと思う。もしお呼び出しがあり、緊急性がそう高くないのであれば、薦めておきたいのは、できれば食料を確保していくことだ。可能だったら立ち食いソバでいいからおなかに入れていったほうがいい。

乳幼児の場合、お迎えになると、だいたい夜までノンストップになるから。病院行って帰っても抱っこから降りないとか。

そんなとき、空腹だと抱っこもできない。子供の相手をするのがおっくうになって、そんな自分に嫌気がさして、という悪循環も起こりうる。

園では一応、子供対応のベテランの大人が数人と、看護士さんがいてくれる。なので、子供のために10分だけ時間をもらい、「その後」に備えるのが理想だ。※あくまで理想、です。

食事がはばかられるのであれば、コンビニに飛び込んでおにぎりやパンをいくつかと、チョコレートみたいな嗜好品を買ってから保育園にかけつけたほうがいい。自分が空腹のときにする対応は冷静さを欠くことがあるし、みじめさが増す。みじめさもまた対応や判断を誤る原因になるので。

一応、備蓄として発熱対応のために最低限イオン飲料は持っておきたい。台所の片隅に、ポカリの1.5Lがあるだけでだいぶ心強い気がする。

あと、病児にはうどんって言われますが……うちはどんべえです。

どうせ量を食べれないし、あれほどやわらかい麺ってないので。しかもカップだし。割高だが小さいのがおすすめです。

塩ラーメンも使う。塩ラーメンは自分がつわりで何も食べれなかったときの救世主だったが、病児もスープをよく飲む(薄目にはしているが、塩分取るにはよかろう、という判断より)。

熱発してるときって野菜などの具を入れても食べないし(場合によってはのどに違和感があって戻すし)、だしをとる余裕もないので、普通のうどんであればヒガシマルのだしを活用してました。雑な育児ではあるが、いちおう無事に五年生まで育ってます。

ご参考まで。

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