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8月だ

朝早く目が覚めると蝉の声がする。

6年前に父が亡くなったのはこの時期で、身辺にいろんな事件が重なった上に父も危篤が続き、よく眠れない夜が続いていた。細切れに眠って、早朝ふと眼ざめ、LINEに入っていた姉からの訃報をみたことを、この時期が巡ってくるたび思い出すのだろう。

東京都の感染者がうなぎ上りに増えているのに、テレビは連日オリンピック。学校が休みなことだけは少しほっとするが、このままだと9月に普通に学校がはじまりそうで、考えるだけで憂鬱になる。

夏休みのうちに、学校の先生や関係者の方のワクチン接種は終わっているだろうか。生徒内のクラスターは避けられないだろうに、それに対しての国の施策は何もされていないように思える。

保育園も日常が続いている。続けざるを得ない。社会は何も変わらない。会社は当たり前のように通勤前提で、帰途に見かける飲食店もビニールシートの感染対策はされているが、通常の光景だ。当たり前だ。

そうしないと生きていけないからな……もちろんウイルスが元凶ではある。でもほかにやり方があるのではないか。そんな気持ちで鬱々とする。

長男はファミコンの女神転生をやりこんでいる。こんな五年生の夏でいいのか。娘は次男を相手に学校ごっこをやっている。先生の口癖や学校の習慣がよくわかる。次男は鍵盤ハーモニカを覚えた。昔はピアニカと言っていたけどそうじゃなくなったようだ。

こんな感じで8月も過ぎて行って、秋になったら……秋になったら何か変わっているのだろうか。いまから変えておくことはできるのだろうか。

情報の海に溺れそうになるので、最近はスマホを見ながら寝るのをやめている。

でもこないだゴールデンカムイの全話無料開放がはじまったときだけはだめでした。寝落ちして、寝不足で起きて、読みながら朝子供を含む自分の身支度をし、その日は在宅勤務だったからだと言い訳したいが、保育園に行ったら上半身はパジャマだった……。10年来の付き合いの園長先生が爆笑してくれたのが救いだった。(金カムの話はもちろんしなかったけど)爆速で自転車をこいで帰宅した

そうやって飛び石のようにちょいちょい面白いこと、良かったことをはさみながら、この時期が過ぎるのを待つしかない。

そんな中で髪を切りに行った。

今の都下の状況で、いろいろ思うところはあるが、ご夫婦でされているこじんまりとした美容室で、席が少ないので子供もつれていくと1時間ほど貸し切りになり、子供の髪を旦那さんが次々と整えてくれているあいだに、腕のいい奥さんが私の髪も仕上げてくれる。終わるのはほぼ同時。マスクもしたまま施術。その間、ほかのお客さんも来ないので、よしと決断して直行直帰した。

さっぱりしたので、できるかぎり引きこもる予定。

この美容室に通ってもう6年になるが、そのあいだ、父の逝去、夫の病気や転職、私も病気につぐ病気など、いろんなことがあり、鬱の波が押し寄せて、数カ月おきに辛い顔をしながら切ってもらったことも多かった。

小学校にあがった長男の習い事を検討していたときは、フルタイムで働き続けるため付き添えないことや、金銭面の不安などで見送って、彼の可能性をつぶしてしまったのではないかと思うが、いま悩みはありつつも、そこそこ笑って暮らしてられる、それだけでも上等な気もしている。結果メガテンの夏なんですが……でも高齢・基礎疾患ありの義両親同居であれば、感染機会が増えるよりは良いのかもしれない。わからん。こればかりは。悩んでも結果は未来にしか出ない。

来年の夏にまた、そういえばこんなことで悩んでいたね、と言えたらいいなと思う。


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