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不倫とはシステムへの適応の結果

不倫後遺症とはただのラチェット効果

一度美味しい思いをしたり楽を覚えてしまうと人間は堕落してしまう。「ラブホの上野さんの相談室」ブログに寓話っぽいエピソードが載っている。

https://ueno.link/2021/03/02/akuma/

それこそパパ活にしろ売春にしろ大金が簡単に手に入るから、ラチェット効果で生活をダウングレードできなくなるからだ、というのが多くの人が思うところである。

こういうアンケート調査結果もある。

グループインタビューでも年の差カップルに肯定的な声が多く、
「年上の人は精神的に余裕があるからバランスが取れる」
「経済的にも余裕があるため、同年代の友達よりもグレードが高いデートが楽しめる」
など、精神・経済的な面での安定感を得られる点に魅力を感じていることが分かる。

経済的な面に目が行きがちなのだが、精神的な面で問題を抱えてしまう女性の事例が記事になっていたので紹介したい。

そして上2つの前後編を受けて、下のnote記事は興味深い指摘をしている。

不倫は多くの女性の人生を歪めてしまいます
・不倫相手との日々が女性の性に染みつき解脱できません
・不倫相手の愛情表現を他の男性に無意識に求めています
今日の社会は
・草食系男子
・肉食系女子
と呼ばれる時代社会です
つまり女性の性を満たしてくれる男性が激減している
時代社会なのです
そんな時、不倫する男性とは
・社会的地位がある男気の強い男性です
・多少の金銭的余裕のある男性です
・女心がわかり女性にマメで愛情表現も巧みな男性です
つまり女性からすると一線を引きたいのだけど、どうしても
憧れてしまう男性なのです
不倫する男性が強く意識するのは
・バレると地位も家庭もすべてが奪われる
・この子を逃がすと生きる楽しみが奪われる
この結果、不倫相手の女性を
・極限まで可能な限り露見しないように束縛します
・極限まで可能な限り女の喜びを与えます
結果、不倫を経験する女性は~
・歪められた人間関係の異常さを理解できません
・女性の僻みや嫉妬は底なし
ハイスぺ紳士と結婚したら糖尿で男性として役立たず
だった女性は生涯の生活の安定と公認浮気を公認証書に
したため男漁りを始めました
この貪欲の凄さは筆舌に表せません
分厚い一冊の小説が誕生するほどです
また、病的な早漏で3秒と持たない主婦の公認浮気の
男漁りも筆舌の限りではありません
根底に流れるのは私以外の女性は毎晩満足して
熟睡できているという焦りです
不倫女性の焦りは日の当たる処に出れないという
僻みであり嫉妬心で底なしです
この強烈な感情が日の当たる処にいる彼氏に対しても
無意識に不意に破裂する後遺症です

水商売女や風俗嬢が避けられるのは、その金銭感覚だけではなく、他の感覚もズレているので結婚相手には向かない、ということが言われる。

実は一度不倫を経験してしまうと、上で引用したような後遺症が残ってしまうという問題があるというわけだ。"業が深い"という表現を使いたくなるくらいの事例もあるようだ。

愛よりカネ?カネより愛?

結婚相手の現時点での収入が全てを保証するわけではない、という当たり前の現実があるのにもかかわらず夢は見たいのだろうか?

上のコラムでは、なかなか現実的な着地点を見せているが、一方でこういう極論もある。

田中理恵子『平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」』(2011年、光文社新書)にある議論をまとめるとこうだ。

女性からすれば離職のコストは高くつくし、家族賃金モデル(成人男性労働者の賃金は妻子あるいは家族を養うに足るものとするモデル)による制度設計から、周辺労働者にしかなれない。そして死後で頑張ってキャリアを積めば、男から選ばれなくなるリスクも高まる。

だから男性から最も重視される資源である「若さ」が使えるうちに稼ぎのある男を捕まえるのがお得である、と。

しかし著者の田中理恵子は「だが、この選択の未来は、決して明るくはない」と指摘する。それは社会経済情勢が変わって、男性の所得が減少傾向にある中、家族賃金モデルが成り立たなくなってきているからだ。

結婚観の保守化の真因

上掲書で田中理恵子は、家族賃金モデルを前提とした労働市場も雇用情勢も女性を無視しており、それが制度疲労を起こしていると指摘する。そして「現実」と「意識」の変化のタイムラグが悲劇を生むとも指摘する。

文化と言っても既に回っている社会システムを前提にした合理的適応戦略、という立場(→アンソニー・ギデンズの構造化理論)からすると、母親が専業主婦という前提で育った娘が、男性労働者の賃金を下げて妻を労働市場に放出させるという新・家族賃金モデルの社会に放り出された、と記述できるだろう。

一方で女性の社会進出のインセンティブを奪う傾向もある。

そして結婚観の保守化が起きる、というのが私のシナリオである。

虚しい男性

一方でこういう指摘もある。香山リカ『いまどきの「常識」』(2005年、岩波新書)には、こんなくだりがある。

「保守的な人生観、結婚観を持ち、理想の結婚のためには努力と投資をいとわない」
「良い結婚」とは「経済力があり、結婚後も地元に住めるような結婚」

これは「名古屋嬢」に関する記述だが、要は「玉の輿」狙いの結婚観を持つ女性のことである。

そして香山は

そもそも男性たちは、女性が自分の人間性ではなくて、収入や肩書きのみに魅力を感じているということに、虚しさを覚えないのだろうか。

と指摘する。これは先述の

男性から最も重視される資源である「若さ」が使えるうちに稼ぎのある男を捕まえる

という女性の考え方と見事なまでの鏡写しになっている。

さらに香山は不倫の構造に関して別のページでこう指摘する。

「若くて魅力的であること」を求める年上の男性と、「経済的に余裕があり知識や経験も豊富であること」を求める年下女性の利害が一致している
男性にとって「若い女性と不倫している」ということは、自らの社会的立場や経済力、さらには肉体的若さが認められるようにも思えるのだろう
男性が「オレもここまで来た」と自己確認するためには、若い女性と恋愛できる、ということを証明しなければならない、というのはやや寂しい話だ

逆に女からすれば不倫で付き合う男のスペックが重要なわけで、不倫というのは、社会的評価システムにおけるある種の合理的適応戦略なのだ。

その結末は宮台真司のコメントの通りだろう。

結婚も…

山田昌弘「結婚不要社会」(2019年、朝日新書)で、経済的な理由で離婚しない夫婦の存在を指摘した後で、こう指摘した。

そして結婚も、日本では経済的な理由と世間体でするものになってしまったのです。

そして結婚の意義自体が変質してきつつある。

しかし女性の欲望という名の勘違いは変わらないだろう。

そして女が「優秀な男、まともな男をあてがえ」と騒ぐようになるのかもしれない。

2021/10/07追記:それ以上いけない



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