やじーの焚き火考

日本的に言えば火の神って言うとイザナミに大火傷を負わせちゃった火之迦具土神(ホノカグツチ)なんだろうけど、オイラにとっての火の神(ヒヌカン)は沖縄の赤瓦のうちの裏手に台所(カマド)があってそこに祀られているやつね。台所にいる神様、すなわち食の神様。そっちがしっくり来る。鹿なんかがうろつく森とかで焚き火してるとつくづく思う。人間は火を手に入れたから特別なんだなーって。

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■近年の焚き火の肩身の狭さ。

そんな神聖な火を楽しむのが焚き火なのだが、これが近年、本当に肩身が狭い。人間エリアでやってれば、悲しいことに物凄い確率で警察が来る。

先日、焚き火音楽会と称して、某場所で焚き火をやったのだが、場所はインターネットには出せない。個々に連絡。悲しいことに、どんな風に情報が飛ぶかわからないので、ここはもう申し訳ないほどに秘密なのです。今の時代、通報っていう手があるのね。相手が見えないのです。

遡ること1年前、とあるビーチで焚き火を囲んで太鼓で遊んでたら”近所から火が危ないって通報がありました”って警察が来た。この時はオイラの明らかなミスだった。確かにちょいと離れたところにマンションらしき建物の明かりのついた窓が見えたのだ。でも火が危ないって何よ?オイラは聞き返した”火が危ないってどういうことですか?ちゃんと管理してますけど”この質問に警察は答えなかった。とにかく火が危ないと言う通報が入ったのでぇを繰り返す。

”死んでください”って通報が入ったら死ぬのかよ。警察の通報が入ったからっていうセリフを聞く度に、低レベルだとはわかってても、こんなことを思ってしまう。通報が入ればなんでもその人の言うとおりになるのかよ。ならば、オイラは”火が危ないって言ってるやつを止めてください”って通報入れ返せばいいのか?。多分、口に出してはいないと思うのだが態度に出ていたのかもしれない、事態は一向にらちあかない。

そんなオイラたちに警察はとどめを刺した。”消してください。”

まじか???

こんな時に駄々をこねると交番、もしくは警察署に連れて行かれることをオイラは経験上知っている。しかも、この時は未成年を含む10人弱がオイラの行末を見守っていた。仕方なく軽く火を埋めた・・・。

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その日は警察が去ったことをしっかり確認した後に、再び火を掘り起こし静かにウインナーやマシュマロをみんなで焼いて食べ、幸せな帰路についたのだが、確かに、気づけば、それなりの魅力ある場所には”直火がダメ””焚き火禁止””キャンプ禁止”の文字がけっこうある。

そして、ある日、ある時ようやく気づいたのだ。

焚き火跡の醜さよ!!・・・ひどいのは日中の人気のある浜で白煙をあげているものも見た。太い木に火がつくと環境によっては平気で1日2日は燃えるんだよ。まじか??

跡を残すな!!跡を!!これが追われてる身なら追跡されるぞ!!

って言うのは冗談で、でもマナーの悪さはひどいのから順に目についてしまうから、やはり酷い。酷いから目立つ。火がついてるとか論外でしょ。そりゃ嫌われます。オイラたちはちゃんとしてますと言っても、そりゃ友達でもないし信じてもらえませんわ。チーン・・。

焚き火はね、やる時に撤収のことをアタマに入れとかないと。水が十分に無ければ、穴に埋めるしかないんだし。撤収までの流れを事前に脳内でシュミレーションしましょう。森の中においても、そこに居た形跡を残さずにやれたら、そりゃもう美しい。その辺に美学が欲しい。

そんなわけで、オイラの焚き火方法は、なるべく目立たず行うことを第一に、その環境下でどれだけ楽しめるかになる。一人で気ままにやるのが一番安全なんだけど、たまには複数で火を囲みたいし。焚き火がちょー楽しいこと伝えたいし。火の神に向かって、ぼーっと日々のノイズを消して欲しい。

■オイラの焚き火スタイル。

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先述した通り、場所選びが大事、環境をきちんと観察すること。そして薪が集まらないところでは基本的にできない。薪を持ち込むって手もあるけど、これはかなりの重労働になります。薪がなければ始まらないので、場所が決まった後の準備はひたすら薪拾いになります。

火の大きさ、焚き火の時間なんかを考慮して集めますけど、これは経験則でなんとかしてください。結構、量いります。

この薪拾いですが、細いものから順繰りに太いものまで、満遍なく集めるといいです。お箸より細い焚きつけに使うような奴は最初しか使わないのでそれほど量いらんけど、これも経験則ですね。太腿より太い木は焚き火のベースにいいかもしれないけど、火にくべる薪にするにはノコギリ、オノやナタで細かくしないとですね。ナイフでバトニングするっていう手もあるけど、量が多くなると疲れます。浜の流木は多少濡れててもすぐに乾くし、燃えやすいです。森の場合は立ち枯れてる木なんかいいけど、まあその辺は臨機応変に。土に還る前のグズグズになりそうな奴なんかは火にくべたら煙が凄いです。笑っちゃいます( ◠‿◠ )

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(この時はカマドに入れるためにかなり短くしてます。)

最初の焚きつけは、今はいい着火材があるので、それでもよし。新聞紙なんかあると便利だね。それと針葉樹の葉っぱがいい。これは油含んでて燃えやすい。雨の日なんかは新聞は濡れちゃってダメだし、着火剤もなかったら、針葉樹を乾かすと使えますよ。中程度の雨ならタープ(もったいないからブルーシートでも可)があれば普通に焚き火できます。木にひっかけてかなり上に張らないと、プラネタリウムになっちゃうけど( ◠‿◠ )

場所を確定して、薪が集まれば、ここで火を生みます。

ロマンを求めるであれば、木の摩擦で火を起こすこともできるし、ファイヤースターター(火打ち石みたいに、こすると火花がドバッと出る奴)みたいなもんでつけてもいいんじゃないでしょうか。ただ、木の摩擦で火を起こしてた先人は、それなりに改良を重ねて、弓と受け皿みたいなものを作ってますし、ファイヤースターターなんかを使う時も、結局、火の粉を守り育てる最初の火口が必要で、ティッシュペーパーとか、麻をほぐしたものとか、・・・白樺の皮も揉めば使えるとか?、これはやったことないなあ。この火口の部分、ちょっと自然界からゲットしづらいのです。火口に集めた火の粉を大きくするのも若干のテクニックを要します。痛感しますが、ライター、マッチは革新的な人間の発明品なのです。これらは忘れずに持っていきましょう。

焚き火の時間に何を求めるのかは自由なので、求めるものに応じて必要あるものを持って行けばいいと思います。料理をするであればそれ相応のものを。串とか網とかは、そんなに嵩張るもんじゃないのであるといいね。これにヤカン、鍋(コッヘル?)が加わると一気にバリエーション広がる。鍋が万能だけど、少人数でお湯を沸かすのみであればヤカンが使いやすい。

この際、五徳とか持ってくのは大変なので石や木で台を形成しますが、大人数でやる場合、オイラが経験したなかで最強の三脚があるので参考までに。

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(2020年スマッシュ制作)

これ凄いでしょ、一口に凄いって言っても、いろんなことが凄いのです。数え出したらキリないです。そして、これこそが森の恵なのです。

他には、軍手&革手、トング(薪いじり用)、夜間になると火以外のところはもちろん暗いのでヘッドライト、もしくは懐中電灯。あと一つ盲点なのが、焚き火は匂いがつくし、火の粉も飛んできます。化繊の上着なんか着てると確実に穴があきます。ここは要注意。穴があいてもいいもの、もしくは綿素材みたいに溶けたりしないもの、すぐ燃えないものでガードしましょう。

■準備まとめ

①場所の決定・・・川など水場があると便利。飲料用にも使える川水であれば最強。撤収のイメージはつけておく。穴が必要であれば掘る。(要シャベル・・・折りたたみ式で小さくなるやつあります。)

②薪集め・・・軍手、細かいのを拾い集める時は工事現場なんかで使うガラ袋みたいなのがあると便利。大きいものはそのまま引きずって焚き火場で薪にする。

③焚き火開始・・・お好みの調理道具、食器、料理、お酒をどうぞ。

④撤収・・・消火、できれば焚き火の形跡を消す。

■持ち物

車で入れるとこなら荷物をいくらでも積めるけど、そういうところはあまり面白くないので、とにかく軽くコンパクトにすることを心がける。車で行けるなら、焚き火台を持ち込むのもいいかもだけど・・・結局、燃殻の処理は課題に残りますなー。

・持ち物・・・火の粉穴あきを考慮した服装(薪運搬時も大型を抱えたら汚れます。)軍手、食器(せめてコップと割り箸はあるといいかも)好きな食べ物、飲み物、敷物、ヘッドライト(懐中電灯)、あればナイフ(調理、クラフト、その他、いろんなことに使える。薪づくりするであれば→ナタ、オノ、ノコギリ)、その他、趣味のもの

・その場に一つあればいいもの・・・折りたたみシャベル、調理器具(鍋、ヤカン、網、)水運搬用の何か(ペットボトル可)(一つずつの購入が難しいもの、参加人数分→)竹串、ガラ袋(ちっちゃい薪を集めるのに便利)

■外で過ごすことのススメ

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(コロナでスタジオが使えなくなり、浜で太鼓で遊んだときの様子。この時に警察が来ちゃったんだ♪( ´θ`)ノ)

現代人は時間を時計で見るでしょ。それは分刻みに用事が入ってるから仕方ないことなんだけど、自然界に出ると全てが繋がっていて、それは区切れるものじゃないのね。朝から夜はいきなり来ない。日の出より前から光はどんどん変わっていって日没しても光はすぐに消えたりしない。徐々に明るさが消えていく。太陽と違って月は満ち欠けがあるから、それの光量も日によって随分違う。これらは全部繋がっている連続する世界。当たり前のことなんだけど屋内にいたらなかなか気づけない。風はどこからともなくやってきて、またどこかへ流れてく。波も雲も、地球が大きいことを教えてくれる。

こういうところにいると、自分、ワタシという殻の小ささに気づく。

ヒトは自分たちの快適さと安全を求めるうちに、自分たちが自然から生まれてきたことを忘れてしまったような気がする。虫や動物や気温て敵じゃないし、克服しなきゃいけないものでもないと思う。連続する世界で、仲良くやれるはず。今のまま、他の生き物、自然を蔑ろにして、自分帝国の建設を押し進めるであれば地球上の嫌われ者となって孤独のうちに滅びるでしょう。

だから、もし叶うなら、もう一回、自分ていう殻の外側、あっちのでっかさと優しさを思い出してほしいなぁと。

最近、外(キャンプ時)で演奏する機会が多くて、その度に感じるんだけど、歌は詩に共感してもらうためだけにあるわけじゃない。音楽は聴かせるためだけにあるんじゃない。イヤホンやスピーカーから流れてくるものが音楽の全てじゃない。金銭を伴わなくても音楽だし。自分に聴かせる音楽がある。鳥みたいに生きている自分の存在を確かめるための発声がある。自然には音楽が溢れている。

外に出ようよ!!♪( ´θ`)ノ

つづく


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