また行くの、一人で、ザ富士( ◠‿◠ )

7日だか8日だかに緊急事態宣言出まして、またスケジュールのキャンセルラッシュですよ。オイラなんか恵まれてるから精神を病まないでもいられるけど、ホント自殺者の寂しさもわかる。

週末予定されていた北八ヶ岳がキャンセルになったのは、別に緊急事態宣言のせいじゃないけど、相次ぐキャンセル連絡に嫌気がさしたので、急遽、富士山リトライを思いついた。今回はずるい企画(^ ^)”五合目まで車で行ってしまって頂上に挑戦してしまおー!!”

正月の富士山行きでテン場よりも上に五合目があるという情報はキャッチしていました。そこから行けば宿泊なしで頂上を狙える!!という誠に安易な発想でしたが、いざ単独となると緊張も真剣度も俄然変わる。もちろん雪がついていないからの状況下ではありますが、周りに言ったら止められると思ったので、シークレットに事を進める。別に人様に自慢しなくてもいいし、帰ってきても黙っていればいいだけだし・・・、とにかくあの見上げた頂上からどんな景色が見えるのか見たかったのです。

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今回は一人で行くから、地図買って、事前にいろいろなルートを調べてみました。いつも人について行くから、こんなのやった事なくて、でもこれやると地形がわかってくるし、山登りもより一層楽しくなる。期待に胸を膨らませながら、一つ気になる高度障害対策ね。一昨年エベレストBC→チベットで学習した。風呂に入らない、水分をとる、ニンニクがいい・・・の三点を実践してリビングでシュラフで寝た。

夜中の12時起床のつもりが1時起床になり、富士山には4時前に到着したのだが、まさかの事態に遭遇。

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富士山閉まってるってこれかー!!!!!五合目に入るルートが通行止め。

初めて知りました。これでみんな”今は富士山閉まってるよー”って言うんだし、スマッシュは一合目から登っていたわけですね!!

ここから13キロと書いてある。オイラの計算だと10キロ2時間だから、2時間半くらいか、しかも登り坂!!・・・今4時だから、えーっとえーっと・・・”だめじゃん!!”

出かけるに差し当たり、一応、家族には言ってあったわけです。なんかあった時に隠し事がバレるのはよくないと・・・そんで、一応、定時連絡と筋道と目安の時間は伝えてありました。その予想行動時間から推測するに頂上へ行ってから日没までに下山するのは無理とわかり、前回の出発地、水ヶ塚の駐車場に戻ります。

今回も宝永山&火口ルートにこだわったんですね。なんせ、動機が”この上に行ってみたい。この上からの景色が見たい”なので、他のルートはありえないのです。駐車場につくと、他のルートもネットでチェックしたところ、やはり五合目のルートはどこも厳しい(でも、聞いた噂によると富士吉田の五合目は賑わってるとか???)さて、帰るのか?

というわけで、まずは寝ることにしました。

起きるとあたりはすでに明るい。ヨメさんに送った非常事態発生メッセージも既読つかず、まーそんなもんでしょう。そろそろ森の中も明るい、これなら迷子にならない。まずは富士宮口五合目まで上がって、そこがどんなことになっているのかをチェックするという誠に地味な作戦を立てました。今回はダメでも次に希望がつなげるのか?のところです。

宿泊荷物がないので、身軽です。三時間弱で宝永山第一火口の上につきました。途中森林限界を超えたところで前夜に作っておいたおにぎりを食べたのですが、薄い手袋のままなんとかおにぎりのラップは外せたものの、その後、寒過ぎて普段使いの手袋では間に合わず、寒冷地用のごついのを取り出したのですが、もう人差し指の感覚がない・・・必死にグッパーグッパーして血を取り戻します。おにぎりを食べるだけでも真剣そのものです。気温計を見るとマイナス15度。

ちなみに、このおにぎりねー、行動食と言って、アウトドアでは朝晩はちゃんとご飯を作るんだけど、昼食の時間とはかは特にとらないのね。それで、チョコやらシリアルやらいろいろを自分の好みでアレンジして持っておいて、動きながら小腹が空いたら食べるんだけど、何がいいって、やっぱりおにぎりが一番美味しいし満足するのです。前回の富士山の時はスマホをザックの外付けケースに入れてあったので、取り出すと温度低下で電源が落ちたりして、リチウム電池はとにかく温度に弱いんだけど、人間も一緒、気温が下がるとまじ腹へる。うちの炊飯器は壊れてしまったので、なんと鍋でコメをたきながら(このオイラがですよ)夜のうちにおにぎりをいくつか準備しておいたのです。水が多くて緩めだったから凍ったかなとも思ったけど、少し冷たいのを我慢すればめちゃめちゃ美味しかった( ◠‿◠ )ちなみに、今回はスマホをずっと体にひっつけて使うときだけ取り出す作戦をしたところ、見事に成功しました。

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やっとの思いでたどり着いた五合目がこの雰囲気、車使えばなんもない平穏そのもの、笑っちゃう。

この時11時くらいだったのかな、ようやくヨメさんからの返信もあった。スマホがあるだけで、まーのどかです(^^)もしかして、現代的なピンチってスマホが通じないってことなんじゃないかな?行程の目安時間を参考にして次なるルートは宝永山に決める、前回、竜の風に阻まれて行けなかったところ。目標1時到着。

途中、歩きながら、やっぱり雪がついてたら、全く違うなと想像しながら歩きました。しかも聞くところによるとめちゃめちゃ硬い氷になると・・・、アイゼンって刃がついてる靴を履くんだけど、それが一ミリも入らないとか、この状況でさえ下り坂怖いのに・・・、だから、マイナスの気温と山遊びするのは今がいいかも。

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前回と違い、今回は突風がない。山の景色も全然違う・・・しかし!!静かだからよくわかるあの音、オイラは火口の縁を歩いてるんだけど、火口内部から音がする。よく見ると岩が落ちてるのね。なるほど、火口の下には岩がたまってる。音がする度に振り返るんだけど、砂埃が上がっているのが見える。ひえーってもんですけど。そもそも冒険に来てるわけですから、それでいいのです。管理されないというのはこういうことなのです。ちゃんとヘルメットはしております。ヘルメット以外のところに当たったら、それは仕方ないのです。致命傷にならぬように気をつけます。

一人で行くと、自分のペースで進めるのはもちろんのこと、休憩とかも自分のペース、暑くなったり寒くなったりするから着衣を変えるのも、グループだとなかなか大変、結構時間かかるから。それと、周りの景色を好きなだけ見てられるのもいい。綺麗な景色を眼球で捉えるだけでなく、深呼吸したり、そこの感じを探したりすると、またすごくいい。オイラが森の精霊に気づいた話もそのうちしますけど。そういった見えるだけのもの以外に、感じられるものってレベルがあって、結構深く行ける。気に入った場所なら、目をつぶって音だけを聞いてみたり、肌で感じてみたり。

一人で行くとびびるから無茶しないって話もありますが、それは本人次第かもしれませんね。オイラは明らかにビビるタイプなので安心です。そんなわけで、グループで行くのはもちろん楽しいんだけど、一人ってのもなかなかおすすめなのです。

ちなみに救出されなければならぬ状況に陥り、ヘリを出動させると、1分1万円だとヨメに言われましたので山岳保険にも入りました。YAMAP登山ほけん、1日だったので280円かな。ココヘリっていうサービスもあります。GPSの発信器を持っていくようです。去年かな、富士山の雪中で滑落した人に救出ヘリが向かったのですが、富士山は見ての通り着陸する場所がないので、レスキュー隊員が降りて吊る方式。この時は途中アクシデントがあり、吊った人間を落としてしまったそうです。落とされた方は死亡。落とした方も落とされた方も本当にかわいそうだと思いました。この話をしてくれたのはこの後出てくるHさん。彼が言ってました。雪山を自己責任とするなら、携帯の電波を届かなくした方がいい。・・・なるほど、確かに甘くないのです。

今回はいろんなデータがとりたかったので、会う人会う人に声かけまくりました・・・と言っても道中すれ違ったのは3人だったけど。宝永山の山頂で会った人に出発地と出発時間を尋ねるとオイラと同じ場所から2時間強の遅い時間から出発したらしいのです。早いですねーなんて話しながら観察してみるに、オイラはもう超低温でも耐えられるようにそこそこの金額かけて装備品揃えてますけど、この人の服装が全てにおいて普通服で、靴に至っては普通のスニーカーで、しかも破けているのです。視線を落としたオイラに気づいたのか靴の裏を見せてくれたのですが、ツルッツル。???むむむ、達人なのか?それとも変わった人なのか?見ているうちにザックにかけてあったペットボトルをはずして、水を飲もうとするのですが、案の定シャーベットなのね。それを汗の顔で美味しそうに飲んでいる。さらに、驚いたことに両手には軍手が!!もう指の感覚がないですよーとかおっしゃってましたけど、いや仕方ないと思います!!・・それの上に風よけ?みたいな白いカバー手袋を取り出された時には少し安心したのですが、見てて微笑ましいんですね。その方が”同じ道を帰るのはつまらないから御殿場ルートから一緒に降りませんか?と申し出てくれまして、一瞬”僕はペースが遅いのでついて行けないかもしれません・・”と、ひるみましたが、くだりだから大丈夫ですよとおっしゃっていただき、ついていくことにしました。これぞ、旅の醍醐味( ◠‿◠ )

坂を降る時は真剣です。日陰は凍ってるから滑ります。柔らかいところはスキーみたいに行けそう。景色がびっくりするほど広くて、でもついていくのがやっと。半も過ぎた頃にようやく写真をとることができました。

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振り返ると宝永山、富士山頂は遥かに小さくなってました。

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この坂道をおりきる前に西に進路を変え、森に入りました。富士山にはいっぱいルートがあるんですね。楽しみ方もいーっぱいある。森に入ればまた景色も一変します。雪が降っても森の中なら風も強くならないし楽しいですよーって聞きまして、そうなったらまた絶対来ようと思いました。

森に入ったらこのHさんがゆっくり歩行でたっくさんの話を聞かせてくれました。あまりにも間がないので、たまには沈黙もいいかなーとも思いつつ( ◠‿◠ )

話していたら、丁度、日没直後でまだ空に光が残っているくらいの時間に水ヶ塚の駐車場につきました。Hさんにお礼を言って別れ、自分の車まで行き、ザックをおろして装備を脱ぎ始めるのですが、手袋をはずしてちょこっと作業する間に指の感覚がなくなってしまいます。トイレに行って用をすませ、ズボンのボタンをしようとするのですが、チカラが入らず閉められない。結局、暗闇の中、あけっぴろげで車に戻り、大騒ぎの着替えが終わり車内へ・・・フロントガラスにみた事のない線が!!一瞬、寒さで破れたのかと思いましたが触ると氷でした。気温を見るとマイナス10度、さっきよりあったけーじゃねーか!!と思いつつ、感覚のない指でスマホ連絡、お腹で指をあっためながらしばらく動けず、ようやく指の感覚が戻ったところで家路につきました。

無事家につき、安心したところで気づくと各所に痛みが・・・、確かに前回の二泊三日の歩行距離を1日に押し込めたしなーなんて思いつつ、膝に鈍痛でびっこ・・・次の冒険までには治りますように!!

つづく

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