星を捕る人
安心なイソギンチャクはいませんかぼくと一緒に暮らしませんか
立ったまま眠る男の取り壊し工事が膝から始まっている
しあわせな私のためにこの帽子一杯分の海をください
しなかったことをノートに羅列してお昼ごはんにポテトを食べる
シロナガスクジラはちょっと大きすぎぼくの網ではすくえなかった
心臓にいくら投げても届かない衛星軌道に入ってしまう
背中からぱっくり割れて虹色の羽化がはじまる気配の猫背
古ぼけたボールが床に落ちていて投げても波に押し戻される
球場を後ろ向きのまま飛び出してそのまま星を捕る人になる
生ぬるい月の夜風がやどかりの隙間を抜けて港へ帰る
ピッチャーはそっぽを向いてキャッチャーもそっぽを向いてしずかな夜だ
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