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Albträume löschen~あなたの悪夢、消し去ります~

蜜柑色の彼女 ─No.01─

 耳元で鳴るガサガサという音で目が覚めた。周りには烏が寝床を漁った痕があった。
 橙色で絡まりあった髪をした彼女には名前がない。産まれて間もない頃に、ここに塵として捨てられ、物心がついたときには死にたくないと思いながらここで常にすいている腹を満たそうとしていた。

 今日も彼女は食物を探しに此所の裏路地を歩き回る。表通りを探しても少しはあるとは思っていても、路地裏に比べてはやはり少ない。路地裏を探した方がよっぽど効率的なのである。
 少し歩いていると生ゴミが入っている塵袋を見つけた。袋を開け、臭いを嗅いでみる。ほとんどが腐ってはおらず、新しく捨てられたようだった。食べられそうなものを口に運ぶ。
「……ウォエッ……」
 食べられそうなものだろうが所詮生ゴミ。臭いが滅茶苦茶に混ざりあって、胃酸が口の中へと戻ってくる。しかし、吐いてしまえば死がすぐ目の前に来ることは分かっていた。無理矢理喉に吐き出そうな物を押し込んだ。
「喉が痛い……」
 でも死ぬよりはマシ。そんなことを考えながら立ち上がり、また彼女は食物を探し回るのだった。

 彼女はふと瞳を空へ写した。そこには、今彼女が足をつけている汚い闇の此所とは正反対の、星が輝く美しい闇があった。
 彼女は近くにあった塵の山に姿を隠した。夜は鼻がいい獣がうろうろ歩いてくる。ある日、夜遅くまで歩いていると襲われかけてしまって分かったことだった。だから塵の臭いで少しでも自分を消そうとしたのだった。
 瞼が重たくなってくる。
 彼女は暗闇の中へと、旅立った。

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