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ネタバレ感想『キングスマン:ゴールデン・サークル』ハチャメチャの美学

「アメリカっぽさ」がすごい

予告だけでもバンバンに伝わってくるのですが、ステレオタイプ的なアメリカっぽさへの追求がすごい作品になっています。前作はイギリスっぽさの追求。グレードアップした今作ではイギリスっぽさを追求しつつも新たにアメリカっぽさをテーマにしているということなのです。だってアメリカの諜報組織「ステイツマン」表向きはバーボンウイスキーの蒸留所なのですが、そこの諜報部員”ウイスキー”の武器がムチって!日本酒っていう名前の日本人がニンジャの格好をしてスパイ活動をしているよな感じですよね。

今回の敵は50’sに影響された女性麻薬王。密林の拠点を50’s風に改造した彼女はとてもキャラが立っていて観ていて楽しいんですよね。ダイナーで人肉ハンバーガーを作るシーンはポップさとサイコパスさが相まってグロシーンながらも観れてしまうんですよね。同監督の作品、『キック・アス』もそうなのですが、グロシーンとポップさの融合が絶妙なので、リズムに乗りながら気づいたらそのシーンを楽しんでしまっているんですよね。これっていいこと?とにかく楽しいけど子供には観せられないですね。

ポップさのあるスパイ映画といえば『スパイキッズ』もありますが、あちらはグロシーンは一切ないので子供に観せるならそちらになりますよね。『キングスマン』のスパイガジェットって『007』のようでありながらも『スパイ・キッズ』のようなワクワクさもあるので、まさに大人のお子様ランチのようで好きなんですよね。

あと、本人役で登場したエルトン・ジョン。登場したときは笑ってしまいましたが、このキャスティングは監督たっての希望とのこと。結構ちゃんと活躍しているのがさらに笑っちゃうんですよね(笑)本人が登場して作品にさり気なく絡んでいくのは、『メン・イン・ブラック』シリーズを思い出しました。あっちもマイケル・ジャクソンやアンディ・ウォーホルを宇宙人だと言ってみたり、けっこうめちゃくちゃなんですよね(笑)

ギリギリを追求した前作オマージュ

” Manners maketh man”(礼儀が人を作る)

『キングスマン』といえばこのセリフですよね。今作でもこのシーンは登場しており、まさにセルフパロディーのようになっています。しかし、丸パクリではなく、少し変化が。前作同様ハリーがバーのごろつきをのしてやろうとドアの鍵を締めながらこのセリフを言います。しかしハリーはブランクがあったためにボコボコにされてしまいます。そこで見かねた「ステイツマン」の”ウイスキー”が同じセリフをつぶやきやっつけてしまいます。ニヤリとするようなギリギリのパロディがとても楽しいんですよね。

個人的にはハル・ベリーがツボ

同じイギリスのスパイ映画として、どうしても007シリーズと比べてしまうのですが、「ステイツマン」のサポート担当がハル・ベリーなんですよ!これはもう最初に予告を観たときから興奮してしまいました。ハル・ベリーは『007 ダイ・アナザー・デイ』にてボンド・ガールとして出演していました。自分は『キングスマン』をヤング『007』の感覚で観ているので、『007』のキャストが『キングスマン』出演しているとどうしても興奮してしまうのです。そうなのです。

ヤング”JB”として

今作『キングスマン:ゴールデン・サークル』。正直、前作とストーリー展開が変わらないといってつまらない印象を受けた方もいると思います。しかし自分はそうは思わないのです。むしろ同じ展開だからこそ安心する。最近の『007』シリーズはドラマチックな展開が多い作品になっていますが、昔の『007』を観てみると、それはもうベタな展開なのです。起承転結がはっきりしており、最後は忘れていたスパイガジェットで敵を倒す。これが逆に良いのです。今作『キングスマン:ゴールデン・サークル』からはそんな意気込みを感じました。『キングスマン』シリーズがずっと続きますように。そんな想いを感じずにはいられないのです。

次回作に超期待

『キングスマン:ゴールデン・サークル』のラストシーンでは、あんなに問題児だったテキーラが、スーツを身にまとい仕立て屋「キングスマン」の前に立っています。これは「キングスマン」再建のために派遣されたということなのでしょうか。そしてスパイと結婚の最悪な組み合わせのなかでエグジーとティルデ王女は互いの愛を保つことができるのでしょうか。

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