自転車屋の絵
会社の近くに自転車屋があった。
古びた看板。
うす暗い店内。
埃っぽい機械油と、
深く深く染み込んだ昭和。
昼休みにたまに通りかかる。
老主人が閑そうにテレビを聞いている。
なんとなしに覗き込んだ。
絵が飾られていた。
「パンクを直すお父さん」
画用紙、四つ切、水彩。小6くらいか。
課題は「家族の絵」といったところか。
老主人の子か孫か。
家業を継ぐのか否か。
継ぐにせよこのままは難しかろう。
この風景は数年以内に失われるに違いない。
勝手に想像して、
勝手に寂しくなった。
実家のことを思い出した。
避けているからこそ、
勝手なそれも暗くなるのだろう。
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