見出し画像

それはきじゅんがおかしい

遅刻をしない。

それどころか、
1時間くらい早く来る。

昼食を抜いても平気。
休憩が無くても平気。

必要なら、
残業も休日出勤もいとわない。

そして、少し想像力が足りない。

こういう上司を持つのは不幸である。


たとえば。

11時45分、電話が鳴る。

昼休み直前である。
嫌な予感はよく当たる。

トラブルである。

状況説明。
調査開始。

ほどなく昼休みのチャイムが鳴るが、
まったくもってお構いなし。

緊急度に関わらず最優先。
顧客の問い合わせには最速で応える。

そんな方針があるらしく。

30分や1時間くらいならまだしも、
長引くと腹の虫が黙っちゃいない。

さして広くない部屋である。
あちこちから独特の低音が響いてくる。

が、やはりお構いなし。

昼食を打診すると冷たい反応が返ってくる。
2、3回やられると黙るしかなくなる。

作業効率はじわじわと下がる。
悪循環がぐるぐるし始める。

仮に15時くらいに片がついたとして、
いざ昼メシといっても他の予定が邪魔をする。

ミスも増える。
リカバリも増える。

品質は下がるばかりであり、
コストも増えるばかりである。


最長記録は11時から21時だ。

朝から何も食べていない。
さすがに水分は摂るけれど。

ひたすらにウンザリしながら
作業を進めること10時間。

幸い、問題は解消してくれたが、
じゃあ、元の作業に戻ろうか、だって。

こりゃまた素敵な冗談だ、と、
無駄にゲラゲラ笑ってみたら怪訝な顔をされた。

どうやら本気だったらしい。

しかしこちらも既にやさぐれている。

じゃあ、昼メシ食べてくるので、と、
たっぷり1時間かけて戻ってやった。

ビジネス街の夜の公園は
なかなかに静かで居心地が良かった。

いまはもう懐かしいばかり。


サポート → 甘味 → 脳ミソの栄養 → 記事 → 🙂