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11/12/20 縫層についての徒然


11/11 2nd ep 縫層がリリースされました。
https://linktr.ee/OhzoraKimishim

普段は詳細なクレジットや、セルフライナーノーツのようなものは書きませんが、この盤は今までよりも沢山の人の手を借りているのもあるし、インタビューではなく自分の言葉で書いておく必要がある気がしたので、何曲かについては言っておこうと思い、感謝を込めて記します。

先行配信された笑止という曲は基本となるドラムは僕が打ち込んで、セクションごとに駿さんのドラムに切り替えたり、パーツだけ差し替えたりしています。鬼ベースは和輝さんに何度か宅録してもらって、ギターの音作り、アレンジと音像へのアイデア、ハードウェアのシンセの録音等は西田修大邸宅にてしゅーためんと二人でじりじりと詰めてゆきました。お互いにギタリストであり、全体を見通して音や構成を考えるのが好きな性分なので、しゅーためんと共同プロデュースのような形でこの曲ができたのは新鮮でとても楽しかった。曲中のギターは全てメタラー期の君島を現在に呼び戻して彼に弾かせています。ギターソロはallan holdsworthさんとeddie van halenさんに捧げます。合奏形態の音を今までの僕のフォーマットでやるような、ひとつ鮮度の有る奇妙な体温のやりとりを見つけられたのかなと思います。

笑止以外はいつも通りドラム以外全ての声、楽器を演奏して僕がミックスしています。録音場所は自部屋を中心に、ドラムは東池袋KAKULULUと前作からお世話になっている世田谷RECスタジオで録りました。縫層のドラムは去年に録音していたけれど、曲の景色や歌詞に悩みあぐねて8月あたりに仕切り直してまた作り直し始めました。傘の中の手のドラムも春頃に録っていて、これも同時期にミックスや音像を仕切り直して完成させました。どちらも見えたい窓が見えて 水分の多い音になれたかなと思います。そしてこの2曲はギターよりもベースを弾くのがとても楽しかった。和輝さんに借りてるベースなんだけど 好きな音するんです。

縫層という言葉には幾重にも薄い層が重なって厚くなってしまった層のイメージもあって、意識的に音数を増やしました。腰の軽い音源に嫌気が差して色々な楽器を結果的に声に差し替えています。笑止と傘、縫層の3曲は今までで一番トラック数を使いました。多分どれも200前後いっていたと思います。次は絶対にこんなのやらないだろうなと思いつつもやっぱりどうにもならなくなって軋み出すような音の多層が大好きです。PCがあつあつの夏でした。

去年夏にシングルで出した散瞳と花曇はこの音源の為に、そして時間が経ったのもあってミックスをぐいっと変えています。僕は、歌とギターは何テイクも録って残しておくので、どちらもシングルと違う部分があります。二曲とも今の僕の好みにとても寄った音像になっているので聴き比べて楽しんでいただけたら幸いです。どちらも少し優しくなっているかな。

旅の歌とローズは三鷹台 echo&cloud studio。この制作の最後に録りました。この盤の扉、窓?どちらにせよ入り口を作る為に盤の最初に入れました。今思えば歌を部屋以外で録ったのは初めてのことでした。エンジニアの松井さんは「僕がいるのを気にせず 自分の部屋のようにやってね」と言ってくださって ゆったりとした時間の中で録音をさせていただきました。旅の中でなっている音はほぼ全て僕の弾いたローズと声を加工した音です。静かで冷たくてとても好きな景色になりました。

音源のマスタリングは火傷に雨のシングルからやってくださっている(出会いは塩塚モエカちゃんとのサーカスナイトのカバーでした)木村健太郎さん。ベランダから雲に触れられるような山間のプライベートスタジオで、ゆったりと我儘に付き合ってくださいました。心の底から感謝を込めてここに記します。

鈍く光る膿みのような盤に力を貸してくださった方々に思いを馳せ画面越しですが静かな感謝を送ります。冬の小春日和にも似合うと思いますし 春の冷える日にも似合う音だと思います。どうか出会うべき耳に着いてと祈ります。

11/12/20 君島大空 自室にて

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