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映画の話 窮鼠&リスタート

『リスタートはただいまのあとで』『窮鼠はチーズの夢を見る』
映画館で、このポスターが二枚並んで貼ってあるのを初めて見た時には、正直びっくりした。
なぜかというと、両方BLものだったから。




なんか時代を感じるというか。
あくまでも、「正直」な感想ですよ。
「ほほぉ~・・・」と。

窮鼠は大倉忠義くんと成田凌くんが主演です。
これは、知っていたのかな、私。
あまり驚かなくて、ただ単に、「美しいポスターだなぁ」と思った。

リスタートの方は、存在すら知らなくて、古川雄輝くんと竜星涼くんという、私が好きな俳優さん二人の組み合わせだったので、ジャンルがどうというよりも、その二人が一緒の作品の中で見れるなんて!!!という喜び。

そんなわけで。

まずはチーズを観てきました。
いや、これは、内容を知らないで誰かと行ってはいけません。
R15だから、高校生の娘とお母さん、とかで行くこともあるかもしれないけれど、ちょっと気まずい空気になるかも。
結構な濃度のシーンが最初の方から何度も出てきます。
原作を少しだけ読んだことがあったから、どの程度?と思っていたのですが、
うん。なかなかです。
女性の胸を映画で見たのも久しぶりな気がします。

とにかく、成田くんがすごかったです。湿度が高い。
もう、気の毒になるくらいに相手を想う気持ちが溢れすぎていて。
中盤の恋敵である女性との対決シーンとか、どちらも強くて、そして切なくて。

大倉くんは、スーツが本当によく似合っていて。
こんなサラリーマンがいたら、大変よ。
優柔不断でちょっとクズな男の役なんですよ。
男にも女にも流されまくるタイプ。
うまかったですよ。
もがきながら、だんだん、だんだん、成田くん側の世界を受け止めようとしてみて、でもうまくいかなくて、またもがいて。

しっかり愛の物語でした。
よくある恋愛ものよりも、見ている間、ものすごく感情が揺さぶられる作品でした。ひたすらに、切ない。
タバコとハイチェアも小道具として効いてきます。
ハイチェアに丸まって座る成田くん、スラリとした足を伸ばしてそこに座る彼女。対比がもう、罪なくらいに。

ただ、ラストもすごく深そうに見えたんだけど、ちょっと、どう解釈すればよいのか、自分の感情をどう向かせて納得すればよいのかがわからなかった。
友達が今度観に行くと言っていたので、是非感想を聞いてみたいと思います。
うまく処理しきれず、少し重たい気持ちになりました。

リスタートの方は、これ、BLの要素、必要?というくらい、爽やかな恋の話、という感じでした。
でも、その要素があるからこそ、「家族」とか「愛情」とかについて、問うことができるのでしょうね。
血が繋がっていることとか、男と女であることとか、与えられた枠の中にある愛情だけが愛情だけじゃない。そこに自分が当てはまらないことを悲しまなくてもいい、あなたと繋がっていく人はその枠の外にもたくさんいるんだよ、と。

優しい優しい物語です。

うまく言えませんが、両方観てよかったです。
なんか、濃いものと爽やかなものと、あまりにも対照的な内容でしたが、それぞれに得るものがあった気がします。
平たく言うと、なぜ、人は人を欲するのか、一緒にいたくなるのか。
気持ちはどうにもならないもので、つらくても、人生は、それが無いよりはあった方が楽しいのだろうな、と。


少し話がそれますが。
両方とも、男性一人で来ている人が数人いて、ちょっと話をしてみたいと思ってしまいました。
この映画を男性一人で観に来るのは、少し思い切りが必要なのではと思ったので、多分、結構な邦画ファンの人なのではないかと思ったのです。