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映画の話 『流浪の月』


『流浪の月』を観てきました。
原作ファンであること、横浜流星くんが「あんな役」をどう表現するのかが鑑賞の動機です。

原作を読んでいる、という側からの感想としては。
まずは、
「これ、今だったり、いきなり過去だったりするけれど、読んでいない人、混乱して集中できなくなっていない?」
という点。
逆に、知らないからこそ、繋がった時の「そういうこと!!!」という快楽ポイントもあるかと思うので、逆に「知らずに観たかったかも」とも思います。

次に、
「ああ・・・あそこの場面を入れないのかぁ・・・」という点。
まず、導入部。
更紗の小学生の頃の友達との日常。そこから描いて、あの雨の日に繋がるシーン。

そして、ファミレスのシーン。
あそこも未来に繋がる大事なところ。

そしてそして、原作ラストの部分。
冒頭のファミレスの話にも繋がり、読んでいるこちらの気持ちに希望というか、納得感を残してくれる。
それは、自分達にしかわからない選択への肯定感を私たちに伝えてくれる。
この作品を読んで、観て、ならではの気持ち。
公式サイトを見ると、配信サービスで「エピソード0」があるようなので、もしかしたら、そこに描かれているのかしら。
でも、私としては、映画の中に盛り込んで欲しかったポイントです。

最後に横浜流星。
とても、よかったです。
思ったより、セクシーなシーンも多かったので、ちょっとドギマギしてしまいましたが、「怖い」シーンは本当に怖いし、そこからの「哀れ」感も素晴らしくて。
こういう汚れ役?初めてなんじゃないですかね。
ヒーロー要素はありません。
でも、ある意味、いい役をもらえたと心底思います。
横浜流星だったからこそ完成した役だったのではないかと思います。

まとめて言うと。
私は、原作者の凪良ゆうさんの作品のファンなので、出版されたら先に読んでしまう運命にあります。
でも、まだ読んでいない人は、先に映画を観てから、後で原作を読むと、よりイメージもしやすいし、物語の深さも補えて良いかもしれません。
まずは、鑑賞中の「ん?どうなってるの?」という突然のシーン展開にはあまり捉われずに、ひたすら集中して観てほしい、かな。

あと、映画で「ああ。想像はしていたけれど、やはりこういうことなのか。」と納得できたことがあったので、そこも映像として観た意味がありました。
原作だけだと、それがどのくらい文にとってつらい状況なのかは、正直よくわからなかったので。

衝撃的なシーンが散りばめているけれど、静かな静かな映画です。
「本人にはどうすることもできない、いろんな人生がある」ということ、それを受け容れて生きていくこと、そして何より、人と繋がる意味、について静かに噛みしめる作品です。