分断された技術たち

いま、クッキー工場で働いている。
毎日せっせと完成する前の、未熟なクッキー達と
向き合って、形を整えてやったり、一つ一つの材料を
確認したりと、まあ率直に言えば超がつくほどの”単純作業”だ。

ところで、大学は経営学部にいたのだけど、
授業に積極的に出なかった俺でも、まあ少なからず
経営学部生らしく、「経営管理」とかそんな言葉は知っている。
テスト勉強で必要だったから覚えた。

その中で工場の管理についての話が
あったのを仕事が始まってから思い出した。
そのときは
「従業員は役割分担をさせて、ただひたすら同じ
 作業をさせると、職人としての技術力があがる。」
というような一節があったのを記憶している。

「単純作業に技術も何もないだろ。アホか。」
というのが正直な感想だったけど、現実はそうでもなかった。
というかそもそも”役割分担”という言葉への認識が
全く異なっていたみたいだ。

工場での仕事は例えば、
・クッキーに挟むチョコレートが割れてないか一枚ずつ確認する
・成形後のクッキーのずれを直すために、1つずつソフトタッチする

とか、本当に一瞬の作業の連続だ。
それを一日中やるもんだから、多分回数としては
万単位になるかもしれない。

それだけやってると、確かに技術力が上がる。
一日の作業を終えた時に確かに早くなった感覚があったし、
仕事が早くなったから他の作業員のサポートもできた。

僕が一日八時間クッキー作りの一部を
やり続けたことは役に立つことはないだろうけど、
早く成果を出したいと思ったら、超細分化された事を
八時間ほどやってみると意外とうまくいくかもしれない?

まぁ、作業風景が夢に出てきて
目が覚めるっていう弊害があったが....。