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老親の在宅介護療養を支えた4+1のインフラ

今回は、老親が90歳代まで、夫婦で在宅で介護・療養生活を続けることができた 条件、「基盤 =インフラ」についてご紹介します。
介護そのものの話ではありませんし、少し個別の事例になりますが、お付き合いください。


組織や環境を語る切り口として「ヒト」「モノ」「カネ」という言葉があります。この切り口で、老親の在宅生活を支えた基盤、環境条件を考えてみます。


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ヒト=人、この場合は人的資源を指します。
福祉、医療サービスで提供される各種資源は大きく2つに分けられます。

<福祉サービス資源>

福祉事業所、そのサービス体系、ケアマネ、介護士、ヘルパーの力量が、自宅のある地域でどの程度利用可能か、充実している地域かということ。

<医療サービス資源>
かかりつけ医がいるクリニックや、整形外科、成人病、歯科、眼科など高齢者が通える専門病院がどの程度、立地しているか。
それに付随して<交通資源>もでてきます。

クリニックや専門病院、薬局に、雨の日や風の強い日でも、徒歩、タクシー基本料金で通える距離にあることはとても大事です。また、訪問診療の視点では、夜間、休日、電話したとき、看護師さんや医師の迅速な往診を期待できる立地ともいえるでしょう。

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モノ=物。
住宅が在宅介護や療養に対応可能な広さ、機能を備えているか
、ということです。

<ゆとり>
ヘルパーさんや看護師さんが来ても、掃除、清掃やトイレ、入浴の付き添いで仕事しやすい。広めの規模の居間、寝室、台所、トイレ、浴室。療養用の電動ベッドが収まる寝室。

<バリアフリー>
床段差がない、ドアの間口が十分確保されていて、屋内用の歩行器がラクラク通れる、手すりを付けても邪魔にならない壁。できれば、各室の水回りは温水給湯。これは、介護が始まってから簡単に改造できないので、まだ元気なうち、家を建てる時に準備しておく必要があります。いざとなると、大きな影響があります。

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要は医療、介護に係る家計負担

高齢者医療保険や介護保険の保険料は、年収により応能応益的な料金(所得、世帯人数に応じて)が設定されています。厚生年金受給者ですと、夫婦2人で年収(年金)の15%は徴収されます。利用サービスの自己負担も、1割から3割かかります。
介護認定のサービスを充実させようとすると、老親の場合、持病の治療費も加えて年収の3割くらいになっていました。いきなり生活費を抑えるのは無理。

60歳までには、年金支給額(収入)と家計支出(支出)の損益計算(P/L)を把握しておくのがいいと思います。(余談ながらB/S、相続資産の計算も……
ちなみに、老親の場合、医療費の負担(介護費用、医療費)を保険組合のサービス料全額に換算(1割負担なら10割に)すると、年収を超える医療・介護費用が利用されていました(納税者の皆さんに感謝感謝)。

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ここでいう情報は福祉制度の情報量ではなく、それら福祉情報が
 ☑ 自分に適しているのか
 ☑ 利用して在宅生活がうまく回るのか
 ☑ かえって不便にならないか
などを情報収集し、ケアマネに相談し、最後は自分の判断で決断、選択できる力量のことです。
紙の知識ではなく、自分の生活に利用した場合の効用、生活や要望と知識、情報を結び付け、判断、決断できるインテリジェンスを指します。
わたしは、これが一番大事で、しかも大変な負担だと思います。
効用を判断すること、利用を決断すること。社会人としての判断能力やマネジメント能力と通じるものがあります。

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最後に付け加えるとしたら自己の判断や行動を律する「倫理観」
自分の責任で判断し、結果を受け入れる責任感、老親に対する思いやり、時には老親の意向を押し切って非情な決断を下す倫理観。
周りはともかく、老親からも不満を言われても動じない、熟慮と確信にもとづく決断、選択
私の場合、在宅介護療養にかかわることで、考えさせられたこと、それなりに成長したと思うことが多々ありました。老親が納得しているかは別ですが……。


いかがでしょうか?
今回は、老親の在宅介護療養を支えた4+1のインフラを紹介しました。

<まとめ>
01 ヒト =福祉サービス資源/医療サービス資源 +交通資源
02 モノ =住宅が在宅介護や療養に対応可能な広さ、機能を備えているか
03 カネ =医療、介護に係る家計負担
★60歳までに、年金支給額(収入)と家計支出(支出)の損益計算(P/L)を把握してのが重要、できればB/S、C/Fも
04 情報 =生活や要望と知識・情報を結び付け、判断・決断できるインテリジェンス
+1 倫理観 =自己の判断、行動を律する力(力量)



私も介護に介入することは、最初はこんな大変で重責なこととは思っていませんでした。終末期の人生マネジメント。ついでながら、私が終末を迎えた時、託す親族(=託す力量のある)はだれか、どう育てるか。施設の人に任せるのか、家族は納得するのか。終末期の人生マネジメントの代理人(子ども?信頼できる施設の人??)を育てる準備が必要です。
ここを考えると、程度の差はあれ、在宅や訪問の介護や医療に従事している専門家のおかれている環境(責任の重さ)に感謝と畏敬の念で一杯です。
皆さんの感想はいかがでしょう?
機会があれば、ほかの事情も、ぜひお聞きしたいと思います。


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