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「メンタルがしんどい!」そんな時におすすめするメタル・ハードコア音楽5選

先日、STUDY HACKERの記事で、こんな面白そうな記事を発見した。

見出しをみて「なんじゃこりゃ!」と思いましたが、メタルのようなヘヴィな音楽を好む僕は即反応。記事を読み進めていった次第である。

「不安を直視したほうが良い」という実験結果

記事の中にこのようなコメントがあった。

不安とパフォーマンスの関係については、2011年にシカゴ大学の心理学者シアン・ベイロック氏らが実験を行い、「試験についての不安を試験直前に書き出すことで、成績が向上する」とする実験結果を発表しました(※1)。学生をふたつのグループに分けて2回の試験を受けさせ、1回目と2回目の成績を比べました。このとき、まず2回目の試験前に重要な試験であることを伝えてプレッシャーを与えました。そのうえで、片方のグループには10分時間をとって「試験について不安なこと」を書き出させ、もう一方のグループはただ静かに座らせたのです。すると、不安を書き出したグループのほうが、1回目のテストより正答率が5%向上し、もう一方のグループは正答率が12%も下がったという結果が得られました。
(本文抜粋)
※1:Writing about worries eases anxiety and improves test performance, Jan 13,2011, uchicago news
https://news.uchicago.edu/story/writing-about-worries-eases-anxiety-and-improves-test-performance

なるほど・・・何となく、わかる気がする。

更にこんなコメントも。

思い起こせば、わたしが学生のころ、音楽は「渋谷系」の全盛期でした。でも、そんな音楽をきれいごとに感じる人にとっては、いくらピースフルな音楽でも逆効果です。若者の恋や日常感覚を軽やかに歌われても、「ウソつけ!」となってしまう(笑)。むしろ、不安傾向が高い人には、「現実に向き合え!」「騙されるな!」と歌ってもらったほうが、「うんうん、そうだよな」と納得できるものです。
「世界は残酷で噓だらけの場所なのだ」とあらかじめ認識しておくことで、心の安定に寄与することがあるというのがわたしの考えであり、また偽らざる実感でもあるのです。

わかりみが深い・・・!!

ということで、中野先生著の「メタル脳 天才は残酷な音楽を好む」(KADOKAWA)をAmazonではなく楽天ブックスでポチったところ。

暴力性=感情を違うベクトルで表現

よく、メタル音楽は「暴力的で苦手だ」という感想を聞くことが多い。
でも、暴力的なのは音だけで、意外と知られていないのが歌詞のメッセージ性。もちろん、暴力的な歌詞があるのも事実だが、ここではメタル系音楽の代表的なジャンルである「ハードコア」について触れていく。

僕は学生時代にメタルというよりニュースクールハードコアにドハマりした。特にBloodAxe168系やcosmicnoteを好んで聴いていた。ちょうど2000年代半ば。いわゆる日本のインディーズハードコアシーンの全盛期だった頃だと思う。当時流行していたのは、JPOPであればハロプロ系や浜崎あゆみ、インディーズシーンでは「青春パンク」(この言葉は好きではないが、あえてわかりやすく表現する)と呼ばれるニュージャンルだった気がする。

その時、京都で活動しているnaiadというバンドに出会った。
Precious thingsという楽曲がとてつもなくエモい・・・・
その曲の歌詞について、和訳を紹介する。

これ以上何が欲しいの?
僕の周りにも 君の周りにもなんだってあるじゃないか
僕達は物に満たされ過ぎて大切なものを失った
欲しいものは何でも手にはいって
僕達の心は満たされたように見えた
でも、引き替えに大切なものを失っていたんだ
僕達が生きてるのは
そんな儚く、悲しい時代の真ん中
もっと感じて 感じて
心を輝かせなきゃいけない時が来てる
そうしなきゃ今に僕は僕でなくなるだろうし
僕達は僕達でなくなってしまう
もっと素直に もっと自然に
もっと感じて
不自然な物に囲まれて
無駄なほどある”物”や”情報”にながされて
気づかない内に善悪の判断基準まで壊されてるんだ
物や情報に選ばれていてはいけないと思う
選ぶのは僕達なんだ
便利ばかりを求めた代償はとても大きく、深い
言葉では言い表わせない程、深い
でもここから始めるしかないんだ
現実を否定することは誰にでも簡単にできる
でも僕達は意識、意志を強く持って生きていくことで
僕達自身を取り戻していく
僕達自信を取り戻す
忘れたらいけない大切なことがある
守りぬくべき大切なものがある
それと共に生きているってことを忘れたらいけない
それを忘れて、ほったらかしにしたら
人間なんてすぐにいなくなっちゃうと思うんだ
(動画概要欄 抜粋)

....人間のあるべき姿を問う。暴力的な節など全くない。

また、メタル音楽ではないがポストロックの代表格であるenvyの「Farewell To Words(さよなら言葉)」を聴いてほしい。

絶滅した信頼 保護された悩み 殺された夜明け 確立した支配

イントロ明けのこのフレーズ。なんとも哲学的である。そしてカオスである。

恋や愛、友情、失恋の想いを伝えるPOPミュージックとはまた違うベクトルのこのジャンル。人間の奥底にある悩み、葛藤を暴力的なサウンドと哲学的なリリックで表現する。社会風刺を暴力的なサウンドで表現する。それがメタル系音楽の代表格であるハードコアというジャンルの真骨頂。

共感だけでなく、それぞれの考察が重要

哲学的な歌詞は1度聴いただけでは理解しがたいものがある。
そして、その歌詞を理解するためには、オーディエンスの理解力と考察力が必要となる。

共感が生む力ももちろん重要であるし、それがもっともニーズの高いことも承知しているが、あるあるだけでは語りきれない多くのことがメタル系音楽には詰め込まれている。

そして、それを理解するチカラ。哲学的な歌詞をどう解釈し、吸収していくか。こればかりは頭脳が試されるといっても過言ではない。

サウンドとリリックのその先を考える。音を楽しむだけでなく、その先にあるものを推測し、新たな問題を提起する。こういった頭脳のルーチンが必要となる音楽である。「天才は残酷な音楽を好む」というのも頷ける。

ハードコア好きにはインテリが多いという傾向

ハードコアバンドのメンバーは、専業でミュージシャンをしているというよりはフリーランスもいればサラリーマンもいる。知ってる限り、おおむね高学歴な人が多い傾向にある。ゆえに、メンバーの海外転勤がきっかけでメンバーチェンジがあったバンドもある。(そのバンドメンバーは某証券会社勤務のエリートサラリーマンであった)

それもそうだ、でないとこんな哲学的な歌詞にはたどりつかない。

ライブ会場でも、オーディエンスの中には高学歴が多かった印象である。
あと美人がめちゃくちゃ多い....(おいw)

科学的根拠などはわからないが、インテリや高学歴が多い印象を受けた。

メンタルがしんどい時にオススメする5曲

やっと本題。メンタルがしんどい時にオススメする5曲を紹介する。
いずれも僕の好きなジャンルからの紹介であるが、是非聴いて、腕を突き上げたり、振り回してほしい(もちろん、人に迷惑の掛からない範囲で)。

1.Terror / Keepers Of The Faith

VoのScottVogelはこういう。「Keepers Of The Faith、これは自分自身、それから自分が築き上げてきた人生、選択してきたことを信じよう、という意味なんだ。」(激ロックインタビューより

2.Loyal to the Grave / Footprint

日本のハードコアシーンが好きな人でこのバンドを知らない人はおそらくモグり。激しいモッシュとビートダウンで大暴れできそうな一曲。是非体を前後に、左右に揺らしながら聴くことをおススメする。

3.Shai Hulud - Reach Beyond the Sun

叙情派ニュースクール系の代表Shai Hulud。
ソリッドだが感情を揺さぶるギターサウンドが特徴である。
Reach beyond the sun!!!!とシンガロングするパートはとても気持ちが良い。

4.EARTH CRISIS - Total War

アメリカのニュースクールハードコアバンドの代表格であるEarth Crisis。 動物の権利運動の支援、ストレート・エッジや菜食主義の啓発をしたり、社会問題や政治問題を取り扱うバンドとしても知られている。1989年結成、2001年解散、2007年より活動再開。自らの信念を「押し付けるのではなく叫び続ける」それが彼らの魅力なのかもしれない。

5.Hatebreed - I Will Be Heard

ゴリゴリのタフガイ系バンド。ミリタリックで力強いその音に感動すら覚えた。無論、ビートダウンで体を揺らしながらシンガロングする。気が付けば頭の中がスッキリしている。

メタル系音楽に魅了されていた頃は活力が異常だった

最後になるが、僕がメタル系音楽に魅了されていたのは2000年~2008年頃。
この頃、学生時代真っ只中ではあったものの、やけに活力が異常だったことを思い返す。ライブハウスでは、この動画のようにゴリゴリにモッシュをかまして、腕を振り回して大暴れしていた時期である。人に危害を加えるとかそういう意味ではない。それがこの音楽での感情の表現方法なのである。いわゆるメンタルヘルスマネジメントの一つでもあったのだと思う。

昨今の日本では、こういった「暗黙の了解」ですら「迷惑だ!」と槍玉を挙げられる。郷に入ったら郷に従えとは言ったものの、騒がしい居酒屋に自ら足を踏み入れて「お前らうるさいから静かにしろ!」と喚く輩が多い。それは果たして正義なのだろうか?と思うことはしばしばある。

今はメンタル障害をもつ当事者として、日々無理のない範囲で動いてはいるものの、やはりこの頃の思い出や記憶は拭い去れない。それほど、自分の人生が輝いていた。そして、思い詰まっている時期でもあった。

先日、中野先生のインタビュー記事を読んで、忘れかけていた何かに気が付いたような、そんな感覚である。

日々思い悩み、謎の苦悩に包まれる。考えなくていいことを考えてしまう。思い悩むことで、どこか自分の中に拭い去れないでいる不安を洗い出しているのだろう。そういう思考は簡単にどうこうなるわけではない。考えている時間がツラくもあるが、基本的に好きなのである。

きっとこれから長い時間、メンタル障害とは付き合っていかねばならない。その覚悟は出来ている。もっと気楽に考えたら?そういわれてもあまり響かない。それはきっと、自分の根幹にある思考が「考えて生み出す」ところにあるからだと思う。

これらの音楽出会ってしまったことで、人生が変わった。それは後ろ向きな意味合いではなく、前向きな意味合いである。

暴力的と思われがちな音楽の本当の意味を知る。でも、暴力的な音楽に酔いしれて、ライブハウスで全身を使って表現する。

以上、ヤギ(Yuta Aoyagi)による音楽ネタの投稿。最後までお読みいただき、恐悦至極に存じ奉りまする。



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