育ち直しをしているのか
私は元保育士だ。
10年くらい保育園や子育て支援施設、ベビーシッターなど子どもに関わる仕事をしてきた。
子どもと関わることは本当に楽しくて、日々学びの連続だった。今は子どもと直接関わることは減ってしまったけれどまたいつか何らかの形で保育に携わりたい。
さて、今の仕事を始めてから、保育士の同僚が言っていたことを思い出した。
「保育士になる人は自分の生育歴に何らかの納得のいかない感情を抱いていて、保育士として子どもを育てることで自分自身の育ち直しをしている」と。
なるほど
たしかに保育士というのは良くも悪くも個性的な人が多いからそれは一理あるのかもしれない。
もちろん保育士全員がそうであるとは思わないけれど、私は妙に納得してしまった。
私の育ちに問題があるとは思わない。
しかし思うところもあるのでここで吐露しようと思う。
私は3人きょうだいで、落ち着きのないやんちゃな弟とご機嫌取りの難しい妹のお姉ちゃんだ。
下の2人がそんな感じだから母は必然的に2人に手がかかりいつもイライラしていた。
今思えばワンオペで子ども3人を育て上げたのだからすごいとしか言いようがない。
そんなわけで私は母の言うことに背かない、いわゆる「いい子」だった。
弟が言葉を話せるようになる頃、私は親から名前ではなく「お姉ちゃん」と呼ばれるようになった。
お姉ちゃんと呼ばれることに不満はないものの、いつも自由奔放で大して怒られることもない下の2人が羨ましかったのは確かだ。
だから私は心の奥底で、自分でも気付かないようなふかーーい心の底で自分自身の育て直しをしたくて保育士になったのかもしれない。
「お姉ちゃん」ではなく、1人の私としての人格を尊重するために、保育士として関わってきた子どもたちに自分の子ども時代を投影したのかもしれない。
もちろん保育士全員がそうではないので、これは私に限った話だ。
だが普通の会社員という選択をしないで、保育士という職業を選ぶには何か理由が欲しかったのだ。ただそれだけのはなし。
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