経済学のフロンティアが分かる!

ブログ記事[2014/7/3]からの転載です。

先日発売された『現代経済学の潮流2014』に拙稿「学校選択問題のマッチング理論分析」が掲載されました! 本書は昨年2013年に神奈川大学にて開催された日本経済学会春季大会の中から、一部の<厳選された(?)>報告内容を書籍としてまとめたものです。経済学のフロンティアを日本語で伝える数少ない貴重な文献の一つですので、(過去のシリーズも含め)ご関心のある方はぜひお買い求め頂けると有り難いです。


目次は以下の通り。第1章は会長講演、第2章は石川賞講演、第3~5章は特別報告、第6、7章はパネル討論を記事にしたものです。

第1章 非伝統的金融政策の効果:日本の場合──本多佑三

第2章 法とマクロ経済──柳川範之

第3章 景気循環における異質性と再配分ショック──小林慶一郎

第4章 学校選択問題のマッチング理論分析──安田洋祐

第5章 高年齢者雇用安定法の影響分析──近藤絢子

第6章 日本の経済学術誌の将来性:編集長の視点(パネル討論1 )
     ──芹澤成弘・伊藤秀史・大垣昌夫・福田慎一・矢野 誠

第7章 日本国債(パネル討論2)
     ──北村行伸・井堀利宏・岡崎哲二・齊藤 誠・二神孝一



はしがきで、僕の担当した章が次のように紹介されていました。自分で書くよりも客観的だと思いますので、ここで引用させて頂きます(太字は私が付けました)。ちなみに、他の章の紹介を含むはしがき全文はこちらの出版社サイトからご覧頂けます。ご参考まで!

第4章「学校選択問題のマッチング理論分析」は,安田洋祐(大阪大学)による特別報告をもとに書かれている.マッチング理論とは,人と人,人と組織など,2つのグループのメンバー同士をパートナーとしてマッチさせる問題を扱うゲーム理論の一分野である.公立学校の生徒が複数の選択肢のなかから学校を選べる制度が1980年代後半から各国で導入されているが,どのように生徒を学校に割り当てればよいかという問題が明確な理論モデルによって検討され始めたのは,ほんの10年ほど前である.しかしその研究成果はすでに,米国のニューヨーク市やボストン市で用いられている.本章では,マッチング理論に基づく学校選択問題の基本的なモデルを解説したうえで,最近の新たな研究動向までを紹介している.とくに,学校選択問題では,学校側の生徒に対する優先順位において同順位が見られること,くじによる同順位の解消が用いられることに特徴がある.最近の研究では,これらの特徴を考慮に入れることで,これまで望ましいと考えられていたマッチング方式の問題点が明らかになり,従来は問題があると考えられていた方式も再評価されるようになるとともに,新しい方式が提案されてきている.本章では,こうした学界の最先端の動向が高度な数学を用いることなく,わかりやすく語られている.経済理論が身近な制度に影響を与える重要な実例において,現実の問題を的確にとらえることの重要性を示した本章は,非常に示唆に富む,有益な論考であるといえる.

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