見出し画像

「殺人ロボット」(続編) その後の大塚愛子4

24

「愛子さん、本当に犯人は知らない人ですか?
遺体の確認をして頂きたいのですが・・。」

と強く言い、女刑事は愛子の顔を見た。

愛子の目には止めど無く涙が溢れている。
先程の涙とは違う意味の涙にも見える。

…何故悲しむの?愛子さん。あなたの知らない人なのでしょう!。それとも、貴女の愛する人なの?。……
と、疑問が膨らむが、その答えは予想できてはいる。

「遺体を確認して頂きたいのですが?
どうでしょうか?」
とさらに、聞く女刑事。

「解りました。・・・確認します」
と、覚悟を決めたのか!愛子は言った。

取り調べ室から、霊安室までの距離は愛子には遠かった。
階段を一段一段降りていくのであるが、
その一つ一つの階段が、彼の思い出を消すかの様に思えてくるのである。

……加山さんと石田さんとは別人のはずだ!
でも、私のには同じ人に思えてならない!……
愛子はその様に感じていた。

霊安室は地下にある。
ひっそりとした、静かな霊安室に
一人の遺体が安置されていた。

顔には白い布が被せられ、部屋の中はクーラーの温度が低いのか
冷んやりとしている。

髭面刑事がそっと遺体の布を取る。

愛子は少し躊躇いながらも顔を見る。

穏やか表情の加山。
まるで寝ているかの様だ。


…加山さんは石田さん?!
左の耳の後ろにあるホクロ。
これは、石田さんと同じホクロだ…

またも涙する愛子。

「知っている人ですか?」
と、女刑事が聞く。

「・・・・・。私の知っている人に似てるだけです。」
と、曖昧な答え方だ。

「知っている人に似てるとは、どう云う事でしょうか?
この人を知らないと云う事でしょうか?」
と、問い詰める女刑事。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?