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桃太郎の裏話 (ボケ学会投稿作品)➕追伸

桃太郎の話

鬼ヶ島は騒然としていた。
人間達が、この島の財宝を狙っているとの情報を
有る物から伝えられたからだ。

青鬼が青ざめた表情で、泣きごとを言う
「何で、私達の財宝を奪いにくるんだ!
私達は何も悪い事をしてないのに〜」

赤鬼は顔を真っ赤に染めて、
怒りの言葉を吐く。
「奴らを返り撃ちだ!この時こそ鬼族の力を人間達に見せつけよう」
と、全員に鼓舞する構えだ。

「でも、僕たち顔は怖いけど弱いよ。戦などしたことも無いよ」
と、黄色鬼の弱気な発言に場は沈黙する。
その雰囲気を変えるかのように、キジが口を挟む。

「襲ってくるのは、子供です。名前を桃太郎という奴です。
あとは猿と犬です。仲の悪い二匹です。
鬼さん達が力を結集すれば、勝てます。」

その、キジの言葉に鬼達は勇気付けられる。
「そうだ!子供何かに負けないぞ!」
と、青鬼が奇声を上げる。
かくして、桃太郎と鬼達の一戦が幕を開けるのであった。

鬼達は一斉に桃太郎に襲い掛かる。
だが、桃太郎の圧倒的な勝利。

何故なら鬼達の身体の大きさは、
1cmにも満たない小さい物であるため
全員桃太郎に踏み殺された。
哀れな鬼達の死骸が並ぶ。

桃太郎は意気揚々と鬼達の宝物を奪うが、
あまりの小さい品々では
何ら価値も無く、得る物は何一つ無かった。

桃太郎は手ぶらで村に帰っていく。

何の為に桃太郎は遠くから鬼ヶ島まで来たのか?
何も悪い事もしていない、
鬼達を踏み殺しただけ。

答えを見いだせ無いまま、
帰り道を急ぐ桃太郎。

桃太郎の胸に去来する物は、後悔の念。

悲しき想い。

追伸
最後はボケの落ちでは無く、
悲しいオチのなってしまいました。

戦とは虚しい物。
勝者は財宝(賠償金)を得る為に戦うのか?
戦争に負けば多くの賠償金を支払わされる。

戦争は勝っても負けても、虚しい物。
人間はその事を知っているのに愚かにも繰り返す。

また、キジは鬼の身体の大きさを知りながら、
何故、桃太郎との戦を煽っていたのか?

記事(キジ)に、煽られ常識的な判断を逸すると、
不幸が訪れるのは言うまでも無い。

国民は物ごとを見極め賢くならねばならぬ。

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