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ある死刑囚(6)

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霊になると便利なもので、全ての物をすり抜けて
悪徳弁護士の元に俺は行った。
いつもの様に奴の上を旋回し観ていた。
天使も同じ様に旋回し観ている。

不思議な事に、守護霊が見当たらない。不思議に思い
「守護霊が居ないのか?」
と、天使に聞くと天使はこの様に答えてくれた。

「人によっては、守護霊が不在の人もいます。
その人は、嫌われている人ですね。
誰も憑くのが嫌みたいです。
そんな時は、閻魔様が強制的に守護霊を憑かしますね。
国選弁護人みたいな物です。」

「今なら、俺が取り憑いても良いのか?呪っても!」
と、おれの声が弾んでいる。

「少しの間なら取り憑いも良いですが、守護霊が来たら変わらないといけません。それと取り憑いても良いのですが、呪ってはいけません。呪うと貴方は・・・・。貴方にとって良く無い事が起こります。辞めた方がいいです。
こんな奴は、どちらにせよ良い守護霊は来ません。
自然と悪くなっていきます。」

「『呪っては、いけない』って言うけど、俺は呪う為に此処にきたんだ。また呪うと、どんな事に俺はなるんだ?」

「人を呪う時のエネルギーは、想像以上に大きなエネルギーを消費します。それだけのエネルギーを使うと天界に行く事は難しくなり、
悪霊、怨霊となり最後は地縛霊となって、この地に縛られてしまいます。そうなると天界には行く事が出来ず、次の生命を得る事が出来なくなってしまいます。
そうなったら、貴方は不幸です。次の生命を得る為には、この地球が崩壊するのを待たねばなりません。それは物凄く永い時間を要します。
『人を呪わば穴二つ』と言われている様に、呪っても貴方は幸せにはなりません。お解りになりますか?」

「・・・・・・・」

俺は何も言えない。
あれだけ、復讐を考え実行する事が、
俺の死に甲斐だったのに!
反論する事が出来ずにいた。

「でも、おまえと最初会った時は、『私の希望を叶えにきた、手伝いにきた』と言っていたぞ
それは嘘なのか?」

と、少し焼け気味に聞いた
「それは、最初から貴方の希望している事を
否定したならば、私を拒否すると思ったからです。」

「だったら俺はどうしたらいいんだ」

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