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近未来の出来事(一分では読めない小説)


西暦20XX年
医学の進歩により、高齢化が急速に進み
少子化が加速し人口の分布バランスは
大きな歪みを描き出していた。
この状況下において、人工知能を備えたロボットが、
人間の職場に次々と進出し大量の失業者を作り出す。
しかし行政は何ら打開策も示さず、社会不安は日に日に深刻度を増していた。

…このままでは、人類は滅亡する。
少なくても日本は壊滅する…
不安を持ち悩む私の前に、少女が現れる。

その少女は、両親も無く親類も居ない
天涯孤独だった。
一人で暮し疲れているみたいだ。
顔色はあまり良く無く、元気がない。
一目は普通の少女の様に見えるが、
彼女は人を惹きつけ虜にする力を持っていた。
また、彼女の特殊まれな天然のボケは、人々を笑いの渦に引き込んだ。

しかし、私は彼女の能力はこの程度の物では無い事を見抜いていた。
彼女なら今のロボットに溢れた社会から解放してくれる
と、信じていた。

少女は、ある特殊能力の持ち主であった。
そう、少女は奇怪な能力の持ち主なのだ。
それは、彼女が触れた機械は何故か故障してしまうのだ。
私がそれに気づいたのは、彼女と会ってから一週間経った時だった。

ある日私の腕時計とスマホに異常に気がついた。
昨日迄は、何とも無かったのに腕時計が壊れ、
スマホは連絡が出来ないのだ。

不思議ではあったが、最初は彼女の仕業だとは思わなかった。
だが、彼女と会うたびに他の電気器具が壊されていく。

電気店に故障の修理をお願いすると、
「修理不能」と言われた。
いったい何故?
想い当たるのは、少女が私の家に現れた時に、
この様な現象が起こるのだ。

「人迷惑な女だ!」
と、思っていたのだが、この能力を利用して巷に氾濫している
ロボット達を破壊する事を、私は計画する。

ロボットを破壊する事で、
ロボットから奪われた人間の職場を取り戻すのだ。

私から仕事を奪った憎きロボット達に復讐するのだ。

私の復讐心は燃えたぎっていた。

私は、その計画を少女に素直に打ち明ける。

私の言葉を黙って聞く少女。

少女の目から涙が溢れだす。
「おじさんには、いつも親切にしてもらったわ。
でもおじさんの言うことは聞けないの。御免なさい、許してください」

「何故だ!『君だって働き場所が無い』って嘆いていただろう。
今こそ、君の力でロボットに復讐する時だよ。
解らないのかい!」
と、言葉を強め少女を説得したが、少女は涙ながらに言う。

「私、機械を壊してしまう為、ロボット界から追放されたの。
私、機械を壊してしまう電磁波が出ているみたいで不良品なの。
私はロボットとしては失格なの。だからと言って、人間と組んで
ロボットを壊してたりして、裏切ったり出来ないの。」

静かに話す少女は、ロボットだった。

私は、人間とロボットの違いも解らない
悲しきボケ老人。

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