27 仕事だと思っていません(半分は嘘)

 前回ヒキにいたしました「喫茶店茶の湯論」はちょっと準備がいるので次回以降に……。(謎にひっぱる)

 

酒癖の悪い中高年は過去の自分に執着しがち。昔の功績にこだわってる人は自慢話したり他人にマウントとったり今の若い者はーって説教したり。反対に後悔が多い人はあの時あんなひどい目にあったとか怒りだしたり。どちらも話が長ーい。それを聞くのも仕事のうちなんだけど疲れる。

https://note.com/rikayama/n/n6754f801eff3

 たまたまこの文章を見かけて、いろいろな側面から「わかるー」となりました。本筋の「過去の自分に執着しがち」という視点も非常に面白いというか、「いやほんとそれ」と思うことが多いのですが、今回は脇に置いて。一言だけ言うならば、「現在の話をしなくなったらやばい」。


「それを聞くのも仕事のうちなんだけど」。これも「わかるー」なわけですが、僕はあんまり夜学バーを「仕事」だと思っていないので、自慢話や説教を聞いてあげる義理もありません。
 この世の中において自分が果たすべき役割、みたいな意味では、夜学バーは立派な仕事だと思っていますが、「お金を稼ぐための労働」というような意味では、あんまり仕事とは思えません。だって儲からないから……。それはもちろん儲ける努力をしていないからです。儲ける努力を優先すると、僕の能力では、つまんなくなってしまうのです。自分も、たぶんみんなも。「モテる努力をしないでモテたい」と歌う曲がありましたが、儲ける努力をしないで儲けたいもんです。
 仕事というのは「儲ける努力をする」ってことかもしれません。

 雇われの身だったり、知り合いのお店を手伝ったりしてる時なら、「これも仕事のうち」ともちろん思います。そのお店にはそのお店のスタイルがあるので、そのお店における「仕事」を誠実にこなします。
 しかし夜学バーというのは本当に「利潤の追求」をかなり蔑ろにしているし、「お客さんが快楽を得る」ことをぜんぜん重視しない場。気持ちいい、ということより、「学ぶ」ということのほうをとる。自慢話や説教や愚痴も、存在してはいけないというわけではないけど、そこからどうにか学びへと跳躍、飛翔させなければ「夜学バー」としての機能を果たさないことになる。

 ソクラテスがやっていたことはわけがわかりません。おしゃべりなのか教育なのか口喧嘩なのか。しかし少なくとも「仕事」ではなかったでしょう。でもソクラテスはああやってべらべらしゃべることによってまあたぶんご飯とお酒くらいは奢ってもらえていたんじゃないでしょうか。うー、そのくらいの生活、憧れますね。

 自慢話や説教。禁止するわけじゃないけど、そういうのがもし始まったら僕は耳を澄まして、「今ここでその話をすることの問題点」を洗い出し、当人に伝えます。いろいろなケースがあるので絶対にそうするというわけではありませんが基本路線はそうです。

「儲ける努力」は二の次で、「楽しむ努力」を全力で。


「君が君の仕事をする時 偉大な宇宙が薫る」と歌う曲もあります。
 ここでいう「仕事」は、もちろんお金を儲けることとは別の側面にスポットが当たっています。
 そういう意味でいえば、僕の仕事はなんじゃろな? いろいろあります。がんばってます。世の中を良くするために日々ジュビリー。夜学バーにまつわることを仕事だとは思っていません。が、宇宙を薫らす偉大な仕事だという自負もあります。同時に。
 全く矛盾していないと僕は思いますが、言葉って難しいですよね。


「それを聞くのも仕事のうち」というのも、ネガティブな側面からは「お金を儲けるためにはダルいこともしなきゃいけない」なんだけど、ポジティブな側面から見れば「そういう話を聞いてあげることによって相手は心地良くなって明日からの生活をまた頑張れる」みたいな美学もあります。同時に。

 注意してあげることが必要な時もあれば、優しく甘やかすことが必要な時もある。その見極めを、みんながそれぞれ、各自の持ち場でしているのでしょう。

 いろんな人たちがいろんな仕事をして世の中は回っております。仕事のお金以外の側面を見つめて、それぞれをより良きものにしていけば、きっと世の中はよくなっていくものでございます。蹴っ張ります。



【定型文】
 2022年6月のみ更新されるnoteです。毎日17時に投稿され、一定時間経過後にTwitterで告知されます。(企画詳細
 この1ヶ月はお店の営業がほぼありませんが、僕(店主尾崎)以外の人が何かをやっていることもあるので、ぜひホームページ等をご確認ください。僕もいるかもしれません。
「ぐうたらする」ゆえ今月は6桁の赤字が見込まれております。よろしければ存在への対価というおねだりページをご覧くださいませ。あるいはなんらかの方法で。

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