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オリジナル戦法「メイド九間飛車」色々な変化の解説

こんにちは、夜詠桜です。

この記事では、動画にて発表したオリジナル戦法「メイド九間飛車」の基本から、色々な基本的な変化まで解説します。


動画:

・目次
0. はじめに 戦法名の意味と狙い
1. 飛車先を端歩で受ける
2. 端角で反撃する
3. メイド九間飛車の成功例
4. 耀龍ひねり飛車への変化
5. 一歩持ち角換わりへの変化
6. 角換わりに変化すれば平凡だが・・・?
7. 後手の対策への対応
8. 意地でも9筋にひねる
9. おわりに この戦法の唯一の欠点


・0. はじめに 戦法名の意味と狙い

「メイド九間飛車」は先手の相掛かりでのみ指せる戦法です。
▲7八金の代わりに▲7八銀と上がり、ひねり飛車にする戦法となっております。
7筋に飛車を振れない場合、代わりに9筋に振るのが本戦法の特徴です。
9筋に振るのは7筋にひねれない変化のみで、一番の狙いは▲7八銀型で7筋に飛車を振る「耀龍ひねり飛車」です。
耀龍(ようりゅう)ひねり飛車とは、大橋貴洸先生が研究されているひねり飛車戦法の名称です。

本解説では、耀龍ひねり飛車とメイド九間飛車の違いについて説明しながら、基本的な変化を追っていきます。

・1. 飛車先を端歩で受ける

開始局面から▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
メイド九間飛車では、相掛かりの飛車先を▲7八金に代えて▲9六歩で受けます。

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すぐに後手が飛車先を交換してきた場合、以下のように進行して先手大優勢です。
△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲2四歩 △同歩 ▲2三歩

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・2. 端角で反撃する

▲9六歩に対して飛車先交換は後手が悪いので、△3二金と受けてきます。それに対しては▲7八銀と上がります。

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ちなみに、▲7八銀と上がらずに▲2四歩と飛車先交換をするのが大橋先生の耀龍ひねり飛車です。

ここですぐに後手が飛車先を交換してきた場合、先手は馬を作ることができます。

△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲9七角 △8二飛 ▲5三角成

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本解説は、「先手が馬を作った局面は先手が良いから、後手は飛車先交換ができない」という前提で進めます。


・3. メイド九間飛車の成功例

後手は5三の地点を守るため、△4二玉(あるいは△5二玉)と上がります。
ここで、先手は飛車先交換をします。
△4二玉 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2六飛

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先手は2六に飛車を引きます。
ここで後手が角道を開けてくると、先手は角道を開けられません。
これだとひねり飛車にできないのですが、この問題を解決するのが▲9五歩です。
△3四歩 ▲9五歩

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飛車を9六の地点に持ってきて、角は7九に引きます。
すると、9九の香車には飛車の紐が付いているため、▲7六歩を突くことができます。
これがメイド九間飛車の狙いです。
△6二銀 ▲7九角 △4四角 ▲9六飛 △2二銀 ▲7六歩

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9筋の飛車、そしてメイドシステム(7八銀7九角)の形によって成立する戦法のため、メイド九間飛車と命名しました。

この後は、振り飛車のように囲って捌きます。
通常のひねり飛車に比べて、▲5八金左の一手で三枚の美濃に組めるのが強みです。


・4. 耀龍ひねり飛車への変化

「耀龍ひねり飛車」とは、大橋貴洸先生が研究されているひねり飛車戦法の名称です。

飛車先交換後、このように△9四歩と突かれて9筋に飛車が回れない場合、耀龍ひねり飛車を目指します。
2.から△4二玉 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2六飛 △9四歩

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先手が先に角道を開ければひねり飛車にできるため、ここでの△9四歩に対しては▲7六歩と角道を開けます。

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このままだと▲7七角と上がられるのが後手は嫌なので、後手は飛車先を交換してきます。
その場合は以下のように進行し、先手はひねり飛車を目指します。
△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩 △8二飛 ▲7五歩

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ここから▲7七桂と跳ねればひねり飛車になります。

もし△9四歩と端を突き返されていなかった場合、先手にはもっと強い変化があるのでそちらも指せると強いです。

2.から△4二玉 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2六飛 △8四歩 ▲同歩 △同飛 ▲9七角 △8二飛 ▲7七桂

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ここで△7四歩とされたら困る、と思う方は「耀龍ひねり飛車」の本に詳しい変化が載っておりますので、是非ご購入して読んでみてください。

5. 一歩持ち角換わりへの変化

先手が角道を開けた局面、先ほど後手は飛車先を交換してきましたが、代わりに角道を開けてきた場合。

4.から▲7六歩 △3四歩

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ここでは▲2二角成で先手が指しやすくなります。
△同銀に▲7七銀と上がり、先手だけ飛車先を交換した角換わりへと変化します。

▲2二角成 △同銀 ▲7七銀

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先手は手損がありますが、飛車先の一歩を手持ちにしているおかげで相腰掛け銀戦なら先手が指しやすいです。
後手が早繰り銀なら、先手の浮き飛車が守りに効いてきます。

・6. 角換わりに変化すれば平凡だが・・・?

開始局面から▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲9四歩 △3二金 ▲7八銀 △9六歩

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▲7八銀に対してすぐに△9四歩と突いてきた場合は、▲7六歩と角道を開けます。
▲7六歩に対して後手が△3四歩と先手の角を狙ってきた場合、▲7七角と上がります。△同角なら角換わりに合流します。

▲7六歩 △3四歩 ▲7七角

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▲7六歩に対しては、△8六歩と後手が飛車先交換をする手も考えられます。
これが非常に厄介で、1.と同じ9七角から馬を作る手に対して△3四歩が強烈な反撃です。

▲7六歩 △8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲9七角 △8二飛 ▲5三角成 △3四歩

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この変化になっていいのか、あるいはもっと別の方法があるのか。
それについてはまだ研究中です。
△3四歩に対しては▲2四歩と対抗していきます。

▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △8八歩 ▲2二飛成 △同銀

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バッサリと飛車を切ってしまい、ここから▲8三歩と飛車の頭を叩いていくのですが、一応ハメ手があります。

▲8三歩 △同飛 ▲8四歩 △同飛 ▲6六角 △8二飛 ▲8三歩 △同飛 ▲2二角成

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△同金なら即詰みなので、後手は馬が取れません。
なので▲6六角を打った後の▲8三歩の叩きを後手は△同飛と取れません。
▲6六角さえ打てれば先手は指しやすいはずです。
▲6六角を打つ前の▲8四歩の叩きを取らずに△8二飛と逃げる場合は、▲7七桂と桂馬をかわしておけば互角です。

▲8三歩 △同飛 ▲8四歩 △8二飛 ▲7七桂 △8九歩成 ▲同銀

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互角の変化ならば、より深く研究している方が有利です。
メイド九間飛車戦法の変化は少ないので、この変化に慣れておきましょう。

・7. 後手の対策への対応

後手が先に角道を開けた場合、耀龍ひねり飛車にできません。
さらに9筋の端歩も突き返された場合、メイド九間飛車にすらできません。
そのような局面にならないよう、先手は警戒する必要があります。

▲7八銀に対して△3四歩と突いてきた場合、先手は飛車先を交換します。

2.から△3四歩 ▲2四歩

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▲2四歩 △同歩 ▲同飛に対して、△5二玉、あるいは△4二玉と受ける手があります。
ここで先手が飛車を2六に引いたとき、後手は△2三歩を打たずに△9四歩と突く手が成立します。

2.から△3四歩 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △4二玉 ▲2六飛 △9四歩

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こうなってしまうと先手は角道を開けることができず、9筋に飛車を回ることもできません。
なので、ここでは飛車をすぐに引かずに▲9五歩を急ぐ必要があるのです。

・8. 意地でも9筋にひねる

飛車を引かずに▲9五歩とした場合、後手は飛車先を交換できます。

2.から△3四歩 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △4二玉 ▲9五歩 △8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩 △8四飛

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ここからメイド九間飛車に組むことはできますが、後手の飛車先の歩が切れているため、すぐに▲7六歩が突けません。

▲2六飛 △2三歩 ▲7九角 △4四角 ▲9六飛 △6二銀 ▲7六歩 △8八歩

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このように△8八歩と打たれるのを避けるため、先手は駒組の途中で一旦▲8四飛と飛車をぶつけ、△8五歩を打たせる必要があります。

8.から▲2六飛 △2三歩 ▲7九角 △4四角 ▲9六飛 △7二銀 ▲4八玉 △2二銀 ▲3八銀 △2四歩 ▲3九玉 △3三桂 ▲1六歩 △1四歩 ▲2七歩 △2三銀 ▲2八玉 △3一玉 ▲8六飛

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先手陣は7八銀6九金の形が飛車の打ち込みに強く、後手陣に隙ができた瞬間に飛車をぶつけられます。
飛車交換で先手が有利になる局面なら、後手は△8五歩を打たざるを得ません。

その後に▲7六歩を突いて、7六から桂や銀を活用していきます。

9. おわりに この戦法の唯一の欠点

今回の解説は以上です。
オリジナル戦法にしては、特に目立った弱点は今のところ見つかっていません。
しいて言うなら「後手番で指せない」のが欠点です。
後手番メイド九間飛車の研究、あるいは先手番での様々な変化の研究をしていただけるなら大歓迎です。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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