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つみき

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エッセイを集めたマガジンです。つみきのように日々や考え、想いを積み上げるというコンセプトで、考えや経験を書いています。
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#日記

親愛なるクソ上司へ

4月ですね。新社会人として歩みだした方、あるいは転職先で新しい仲間たちと出会った方、さまざまな方々がこの季節に胸を震わせていることと思います。 私は今春、新社会人として世に出てからは11年目、フリーランスになってからは6年目、法人成りしてからは3年目を迎えます。年齢はかぞえで33歳、社会人として未熟という意識はいまだありつつも、ある程度はキャリアを重ねていると認識されるお年頃になってしまったなぁ、と正直焦っています。 こうして春になると、毎年ふと思い出す人がいます。私が新

ただいま東京

歌の修行をするためにフランスへと旅立っていた親友が、一時帰国して東京でライブをすると連絡をくれたので、すぐに飛行機のチケットを取った。本来は「雪かきがあるから…」とこの時期は動かないようにしているけれど、今回は特別。 年始からいろいろと心を砕くことが続いており、家に引きこもっていることが多かった。実際、ドカ雪の影響で一歩も外に出られなかった日もある。原稿が進まず窓の外を見ると、曇天を霞ませるように大雪が吹きつけている日が多くて、気持ちが余計に沈んでいた。居心地のいい家のはず

くらげの日

私はくらげが好きです。 いつだったか、水族館で初めてくらげに出会ったとき、こんなに美しい生きものがいるんだ、と感動して泣いてしまったのを覚えています。あのとき一緒に居たのが誰なのかは思い出せないけれど、「水族館で泣くほど感動する?」と、驚いたような、すこし戸惑ったような笑いを浮かべられたのは思い出せます。誰なのかは、どうしても思い出せないのに。 くらげはふわふわしていて、輪郭がはっきりとは見えません。たしかに個体としてそこに在るのだけれど、じいっと見ていると、ほんとうにそ

ひとりじゃなんにもできないぜ、冬

先週の土曜日、「朝イチで厄払いに行こう」と厄年同士の友だちと約束した。久々に朝から車を出すために、早朝から雪かきをした。けっこうな積雪だったのでヒイヒイいいながらなんとか車を出せる状態をつくる。いざシャワーを浴びて化粧をして、友だちに「今から出るよ」とLINEしようと思ったら……。 あれ?スマホがない。 日ごろからスマホをどこに置いたか忘れる女なので、いつものことだ。「アレクサ~、スマホ鳴らして~」とお決まりのお願いをする。しかし家の中は静まり返っている。 あれ? 洗

地元の友だちとお茶をする

先日、地元の友だちと3人でお茶をした。近所の神社でお参りをして、おみくじを引いて、カフェに行って数時間話した。ちなみにおみくじは小吉。「パッとしねえなぁ」とぼやいて笑った。 30代女性は10年間のうち6年間が厄年だそうで、まーた厄払いに行かねばならんという話から始まり、厄年に起因するであろう互いのすったもんだを共有しあう。 老後の話と、病気の話と、家族の話で盛り上がった。こんな地味な話題ばっかりなのが30代って感じだよな、と日が暮れるまでひとしきり話してからしみじみ振り返