庶幾の唄

浮ついた気持ちであって欲しかった。
出来心だったんだ、なんて
手を伸ばしたら届く位置にいて欲しかった。

今はあなたを大切に出来ないけど
強くなるからまた俺の事好きになって、
そんなふうに言って欲しかった。

ねえ、きっと私が密かに細やかに
文章を書きためている事も君は忘れているんでしょう。

甘味が苦手な君が
初めて会った日に飲んでいたから
だからバレンタインはキャラメル味にしたんだよ。

君の夢も覚えてるよ。
あの秋も。ねこの名前も。
私の隣で見せてくれた顔も、声も、
ずっと覚えてるよ。


誰にでも喘ぐ人生だから
人として好きになれないと言われた事も
ずっと持ってるよ。

先輩との2回目の夜に
帰るのが淋しくてそっぽ向いて泣いていたら

「おこった、かなしい、さみしい、」
どーれだ。

そうやって布団に篭もる私にあやす様にキスをされた時に


君と最後に会った日、同じようにふてて黙り込んだ私に

何?分からない 好きにして って

バラバラの方向いて寝たことを不意に思い出して
堪らなくなってしまって。


いつの間にか恋人を作って
幸せそうな君が
私とでは作れなかった幸せを得ていたら
いいなあ。と。

そんなふうに強がれるうちに
どこか行ってしまえばいい。

手を伸ばさなくても、
隣にいてずっと繋いでいてくれるような
そんな君でいて欲しかった。




彼との間を 数のアーティストの表現に重ねる。

#庶幾の唄 #最後の彼女になりたかった
#Lovers #遠恋 #スペアキー




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