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普段映画を観ないやつが『えんとつ街のプペル』を観た感想

最近プペル関連でいろいろ荒れているのであえて書く。
あくまで作品に対する感想であり、荒れている内容や西野亮廣本人の活動内容云々に関しては言及はしない。

まずはじめに、私は普段ほとんど映画を観ない。
最近観たものは原作を読んでいた『鬼滅の刃』と、そもそもファンである日向坂46の『3年目のデビュー』を3回観たくらいだ。
ここ5年で観たものはその2作と『超高速!参勤交代』シリーズ2作だけである。
あれは面白かった。コメディ時代劇っていいよね。
嘘ついた。『名探偵ピカチュウ』も観た。おもしろかった。

話が逸れたが、西野亮廣に対しての好き嫌いの感情は一切ない。
強いて言えばゴッドタンでいじられる西野を見てゲラゲラ笑っているタイプで、「作家西野亮廣」ではなく「キングコング西野」が好きな人間である。
また本作品に関しても、元々一切の興味関心はなく、むしろ「西野キモいわ、なんやねんディズニー倒すって。寝言は寝て言え」と思っていた人間であり、今回たまたま友人に誘われて「見ずに否定するのはダサいな」という考えから鑑賞したまでであることを断っておく。

なお、事前情報としてはキングコングが出演した『あちこちオードリー』にて西野本人が軽くネタバレしていた内容程度である。

作品を素直に受け取った感想


「”NISHINO”を作品を通して無理矢理刷り込まれる作品」

だと感じた。
ここで言う”NISHINO”とは、先述した『あちこちオードリー』にて本人が使った言葉であり、西野亮廣の世界観や考え方を表す言葉として使っている。

表現を言い換えれば、西野亮廣という人間がこれまでいろいろなチャレンジをする中で発現した考え方や、過程で受けた批判や苦難のことを指す。
この作品はそれらをそのままルビッチというキャラクターを通して見せられる作品、と感じた。

「俺と同じようにやったやつだけが批判しろ」というメッセージがとくに強烈で、いわゆる”意識が高い人間”ではない人にはちょっとしんどい。

ストーリーに対する感想

前半は正直クソつまらなかった。
突飛な話で視聴者を置いてけぼりにしていた。
正直もうちょい説明がほしい。
とくに、途中にあったルビッチとプペルが何やら頑張っている場面を挿入歌付きで見せるシーン、これがストーリーを分断してしまい、置いてけぼりを加速させた印象。
映画観てる途中で急によくわからんバンドのアニメPVを見せられた感覚。
YouTube見てたら急にわけわからん広告が割り込んでくるのと同じ感じ。
しかしながらラストへ向かう盛り上がりはテンポも良く、作品に入り込めた。
ただ、ラストに向かうにつれて”NISHINO”要素も強くなるので、ストーリーの面白さと世界観のえぐみでお腹いっぱいになってしまう。
”意識が高い人間”であればその世界観のえぐみは感じずに楽しめると思う。

キャスティングについての感想

まず俳優と芸人で固めてるのが気に食わん。
本気でディズニーしばくならプロの声優使えよと思った。
窪田正孝や芦田愛菜をはじめとする話題性重視のキャスティングだったが、「俳優にしては上手い」程度。
ジブリも同じようなキャスティングをしているようで、話題性をとれる俳優とともに声での演技力の高い俳優を起用している。
それに対して本作では話題性と仲良し芸能人起用というのが透けて見える。

メインキャラの中で唯一上手いと思ったのはオリエンタルラジオの藤森慎吾で、配役であるスコップの登場シーンには衝撃を受けた。
すぐに藤森慎吾とわかる声ではあるが、心地よく聞けるマシンガントークはとてもよかった。

総評

いろいろと言ってきたが、作品を総合的に見ると「良い作品」だと感じる。

「批判を恐れず諦めず、信念を貫いて努力すれば結果はついてくる」

というメッセージを子どもたちに伝えるため、子どもたちに気づいてもらうために観せるというのであればとても良いのではないかと思う。
この作品自体のターゲットを考えるとやはりそれは子どもであることに変わりない。
それもあるため本作の商法や西野亮廣本人に対して嫌悪感を持っているのであれば無理に観に行く必要もない。

しかしながら、なぜそのターゲティングで「ディズニーを倒す」と豪語したのかは疑問。
ディズニー作品自体、子ども向けではあっても大人もきちんとターゲットのうちに入っているが、本作品は駄駄を捏ねるガキのごとく「ぼくの考えを理解してくれ!」と吠えるだけではそら無理やろうと。
感想が西野信者の浅い「感動した!」ばかりなのも残念ながらうなずける。
勝ちに行くはずが、オンラインサロンという井の中で横綱相撲をとったのではないかと思わせられる。
もしこれが彼の作品でなければ、もうちょっと注目されてもうちょっとちゃんとした評価をされていたんだろうなと思うと、とても残念である。

これから観に行くという人は一旦絵本を読んでおいたほうがいいかもしれない。
絵本を読まずに素面で観に行くと、”意識の高さ”に免疫がない人は胃もたれすること必至だろう。

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