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#133 タチの悪いうどん屋さん

ヤマダは会社の昼休みに、行きつけのうどん屋さんに入った。

その店は細い路地を一本入ったところにある古びた立ち食い形式のお店だが、店主は香川県の有名店で修行を積んでおり味はピカイチだ。

ヤマダが店に入ると、店内は混み合っていた。店内は厨房を囲むようにコの字のカウンター席があり、ヤマダは唯一空いていた一番奥の席に立つ。そしていつも注文する「ちくわ天うどん大盛り」を注文した。

ほどなくしてカウンターの内側から、店員がちくわ天うどん大盛りを持ってきた。

しかしその時、店員の手が滑りうどんを全てぶちまけてしまった。

「大変申し訳ございません!!」

店員が大慌てでカウンターの内側から飛び出してきた。

「すぐに新しいものをお作りいたします!申し訳ございません!お洋服汚れてませんか?」

「あ、大丈夫ですよ。」

「本当に申し訳ございません。」

店員は急ぎながらも丁寧にカウンターにこぼれた汁を拭き取った。

「本当に申し訳ございませんでした。こちらちくわ天うどん大盛りです。それとこちらお詫びの気持ちと言ってはなんですが、天ぷらの盛り合わせとトッピングの牛すじです。」

「え、いいんですか?」

「はい。よろしければお召し上がりください。」

「うわー、なんか逆にすみません。」

「とんでもございません!ごゆっくりどうぞ!」

店員は深々とお辞儀をすると、カウンターの内側に去っていった。

ヤマダは半分申し訳ない気持ちになりながら、うどんと天ぷらの盛り合わせを平らげた。

「すみません。お会計お願いします。」

ヤマダがそう言うと、店員がヤマダの元へ寄ってきた。

「今日は本当に申し訳ございませんでした。」

「いえいえ、色々気使ってもらってありがとうございました。」

ヤマダはそう言いながら、ちくわ天うどん大盛りの値段520円を財布から取り出しカウンターに置いた。

「ごちそうさまでした。」

ヤマダが店を去ろうとすると、店員がヤマダを呼び止めた。

「あ、お客様!ちくわ天うどん大盛りが2つと牛すじ、えび天、とり天、なす天でお会計1940円になります!」

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