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【エッセイ】ホームボタン

 「ご利用の3Gサービスの提供ですがもうすぐ終了します」の機種変更を促すメールが頻繁に届くのでショッピングモール内の家電量販店で携帯を買い替える。ホームボタンは必須。十年前に購入し、以後、長らく愛用した古いスマートフォンになるべく操作が近い方が都合が良いと思ったからだ。使いやすさを重視したい。店員に借りたカタログを真剣に眺めると条件に適うスマホが案外早く見つかり、在庫の確認をお願いした。正直ほっとした。今回の件に限らず、例えばスーツといった身の回りの製品を新調するにあたってもこれまで使い続けたのと同じ、あるいは、見た目か、特徴にどこか類似性が表れたやつを探す傾向が著しい。ただあくまで意識して優先度を高めるだけで、目新しさに触れて感動が勝つ場合だって日常茶飯事だが、極端な変化を抑え、置き換えることによって得られる安定を心の片隅で信じている。そうやって共通点を欲しがるのは私だけ? ではないはず。