音楽遍歴のようなもの。 #2 「松田聖子」
小学一年生での私の推しアイドル、田原俊彦。
そして、もうひとりは松田聖子。
聖子ちゃんの代名詞といえば「ぶりっこ」
私はそのあざと可愛さが大大大好きな小学生だった。本当に本当に可愛かったから、トシちゃんが結婚しないなら私が結婚したいと馬鹿なことを思うくらいには大好きだった。
聖子ちゃんはただ可愛いだけじゃない。無敵の(当時の私の中で)歌唱力を誇り、その清純な輝きで圧倒していたように思う。
その彼女の記念すべきデビュー曲、「裸足の季節」は聖子ちゃんの楽曲の中で最も好きな曲だ。
日曜日の昼前、「スター誕生」の提供が資生堂でこの曲が起用された洗顔料「エクボ」CMが流れていて、あっ聖子ちゃんの声だ!とその短いひとときにときめいていた。
その時の聖子ちゃんの声は後のキャンディーボイスにはまだ到達していない、まだ青くてやや硬質な響きをしていた。
私にとってはそこが聴き惚れるポイントだったようで、いまだにこの「裸足の季節」の聖子ちゃんの声が最も心地よく感じる。
単なる好みなだけの話だが、この伸びやかさと軽やかさ、愛らしい仕草、笑顔、聖子ちゃんの魅力を余すことなく伝えていたし、なにより音を外さない抜群の安定感がたまらなかった。
デビューしたてなのにあれだけ肝の座ったパフォーマンスをしていた「松田聖子」の存在感たるや、目を見張る素晴らしいものだったと思う。
「裸足の季節」
作詞:三浦徳子 作曲:小田裕一郎/編曲:信田かずお
他に好きな曲を挙げるとしたら、まず「Only My Love」だ。
デビュー年に発売された2枚目のアルバムに収録されている。
最初に聴いたのは多分レッツゴーヤングでだったと思うのだが確信がない。
ただこの曲は私の中にあった「ザ・アイドル松田聖子」像を揺るがすものだった。
ある意味衝撃だった。
可愛いだけじゃない。
芯のある強さを子供の私はその時感じてしまった。なんだかカッコいい、と初めて思ったのだ。
多分大人びた雰囲気に取れたのは歌詞と8分の6拍子による印象だったのかもしれないけれど、今でもこれを聴くと「やっぱり名曲だなあ」としみじみ思う。
「Only My Love」
作詞:三浦徳子 作曲:小田裕一郎 編曲:信田かずお
「裸足の季節」と同じ布陣。初期の松田聖子を形成するにあたり核となっている三者は実に偉大だ。
もう一曲、いや、もう一枚挙げさせて貰えるならば、15枚目のシングル「瞳はダイアモンド / 蒼いフォトグラフ」だ。
これは私の中で二曲で一体というか、この一枚で完成形になっている偏愛全開の楽曲である。
この感覚を他にも持っていらっしゃる方がいるとしたら全力で握手をしたい。
これを語りだすと長くなるのでまた別の機会に是非ともお聞き頂きたいと思う。
語り尽くせぬ「松田聖子」
名曲だらけの彼女の楽曲に耳を傾ける秋の夜長などいかがだろうか。