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『 まさかの合格 』

翌週、月曜日いつも通り学校に行った。

担任の益田先生が、出欠席を取り終わったあと

「 shimaさんから、一次面接 についてのお知らせがありまぁぁす。」

と、言った。

「今から、名前を呼ばれたひとは
二次面接に行ってくださぁぁい。」

ホントにかわいいお婆ちゃん先生。

「あいうえお順でいきますねぇぇ

猪鼻さぁぁん、小川さぁぁん、
窪内さぁぁん、牟田さぁぁん、

その4人は明日、授業が終わったら
掃除もしなくていいですからぁぁ

そのままshimaさんに行ってくださいねぇぇ。」と言った。

教室にどよめきがおこった。

自信満々だった、加藤くんはガックリと肩を落としてした。

※ちなみに、加藤は自意識過剰で、上から目線なのでクラスでは嫌われていた。(僕は仲良かった、自信やヤル気のないやつより、よっぽどいい)

まだ、一次だけど、周りからの称賛を
受けた。

僕と、小川と、窪内は「明日、何着て行こうか?」と話した。

牟田さんは、少しロシアっぽい、ハーフ顔の女子だった。

翌日の二次面接は、そんなに硬い雰囲気ではなく、
グループごとに行われた。

僕は、お気に入りの黒ジャケットに、
広襟のシャツをジャケットの上に重ね、大きめのリボンタイを付けて行った。

そこでは、もうある程度、具体的な話しになっていて

あとは、交通手段の確認、shimaの理念、

本人の確実な就職意思などを聞き、あとは

簡単な質疑応答があった。

そのときの、面接官は、

shimaのディレクター、

八木岡聡氏(のちに、代官山でDabを立ち上げる)と、

もうひとりのディレクター、小金澤勇治氏 だった。

けっこう、八木岡氏に、意地悪な質問などをされたのだが、小金澤氏が、
いろいろフォローしてくれたのだ。

正直に言うと、八木岡氏にはいい印象はない。

小金澤氏には、あきらかに僕を合格させようとしてくれているのがわかった。

小金澤さん、ありがとうございます。

無事に、二次面接を終え、外に出ると

小川、窪内が待っててくれた。

三人が揃って口にしたのは

これって、もしかしてオレたち…

結果はすぐに出た。

数日後のホームルームで

益田先生が、いきなり切り出した。

今日は、点呼の前に報告がありまぁぁす。

名前を呼ばれたひとは、前に出てきてくださぁぁい。

猪鼻さぁぁん、小川さぁぁん、窪内さぁぁん

shimaさんから、合格通知が届きましたぁ。

みなさん、拍手をお願いしまぁぁす。

クラス中から、拍手喝采が起こった。

益田先生から、三人が合格通知をうけとると

牟田さんが、「先生!わたしは絶対合格してます!もう一度確認してください!」

益田先生は、声のトーンを落として言った。

「あなたは不合格でした」と。

牟田さんは、その場で泣き崩れ、信じられない!

おかしい!と訴えた。

益田先生は、「あなたのその姿勢に問題があるのでは?」と言った。

益田先生は、付け加えて

山野で、一クラスから、三人にの合格が出たのは快挙だと言った。

ほとんどのクラスは、ゼロ、もしくは多くてひとりとのこと。

益田先生は、僕たちのことを褒め称え

『shimaさんで、しっかりと頑張ってくださいねぇぇ。』と言った。

ホームルームが終わると、廊下に出て、思いっきり、三人で

喜びを分かち合ったのだった!

※そのときには、牟田さんのことは頭になかった。(ごめんなさい)


引き出しにしまってあった、合格通知。
思い出すだけで、胸が熱くなります。




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