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クリーンハンズの原則

Column~№16
 「クリーンハンズの原則」という言葉がある。解釈を見ると「自ら手を汚した人間を法は手助けしない」とか、「違法な手段によって手にした権利は行使できない」などいろいろとある。そんな諸説の中で私は「法の執行者であるべき人間が法を犯しては人を裁くことはできない」と教わった。つまり人に対して注意をしたり不利益を与える者は、自分自身が真に誠実でなければ人を注意したり取り締まったりはできないということだった。
 世の中には自分のことは棚に上げて立場でものを言っている人は大勢いる。実際にそんな上司と仕事をした方も大勢いることだろう。そんな意味で今回のテレビ局関係者の事件に不快感を覚える。
 報道によればマッチングアプリで知り合った女性と合意があった上で関係を持ったとの主張に対して、合意はなかったとして書類送検に至っている。不同意性交を任意事件として処理していることを考えれば、テレビ局関係者の主張も一理あると警察は判断したのであろう。そうでなければ逮捕しているはずである。
 一方で示談が成立したことから逮捕せずに書類送検に至った可能性もある。ただ公表に至った情報ではその事実は判然としていない。
 私は人の色恋を批判するつもりはない。だが人を批判して飯の種にしている人間が批判を受けるような行為をすべきではないと思っている。特にテレビ局はマナーやモラルを番組にして放映している。それを考えると「仕事は仕事」、「仕事と私生活は別」なのかと言いたくなる。誰もが聖人君子ではない中で人を批判するなら、批判されるようなことは厳に慎むべきだと考える。
 少し古い話になるがオリンピック期間中に選手や関係者に対する中傷誹謗が8500件を超えたという記事を目にした。時に批判や叱責が必要なものもあるだろう。だが一生懸命頑張っている人に無関係な第3者が平然と批判する現代社会を私は非常に切なく感じている。
 物事をどう思い、どう感じるかは自由だが、口から言葉を発するのであれば、そこに責任を伴うということを誰もが自覚するようになれば人への批判も少なくなるのではないだろうか。

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